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積立王子と考える長期投資~セゾン投信中野会長とNVIC奥野特別対談~その1

皆さん、こんにちは。NVIC note編集チームです。
今回は8月に開催されたセゾン投信中野会長とNVIC奥野のパネルディスカッションの模様をお届けします。

セゾン投信さんが展開される2つのファンド、「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」と「セゾン資産形成の達人ファンド」、そしてNVICが運用・助言を行う「おおぶね」シリーズは、ともにJAバンクが取り扱う「セレクト・ファンド」として選択されています。
今回の対談は、JAバンク神奈川さんにて開催された投資信託研修会の特別プログラムとして実現しました。

ともに10数年前、まだ日本の資産運用業界において「長期投資」の考え方がほとんど認知されていなかった時代に長期投資ファンドを立ち上げ、日本に長期投資を根付かせるべく走り続けてきた二人。意外にもその接点は多くはなく、10年以上前に一度面談して以来、2回目の対面となりました。

新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、ソーシャルディスタンスを確保したセミナー会場と10数か所の拠点をZoomでつないで実現した、二人の「長期投資のパイオニア」の対談。その内容は、口角泡を飛ばす非常に熱いものとなりました。
JAバンクの担当者向けのメッセージではありますが、個人投資家の皆さまにも示唆の多い内容になっていると思います。是非、お楽しみください。

【スピーカー紹介】
中野 晴啓氏
セゾン投信株式会社代表取締役会長CEO
セゾングループの金融子会社にて債券ポートフォリオを中心に資金運用業務に従事した後、投資顧問事業を立ち上げ運用責任者としてグループ資金の運用のほか外国籍投資信託をはじめとした海外契約資産等の運用アドバイスを手がける。その後、株式会社クレディセゾン インベストメント事業部長を経て2006年セゾン投信株式会社を設立。2007年4月代表取締役社長に就任。2020年6月より現職。
現在2本の長期投資型ファンドを運用、販売している。「セゾン資産形成の達人ファンド」は数々のファンドアワードで最優秀ファンド賞を受賞。顧客数14万5千人、預かり資産額は3,000億円を超える。
著書に「“税金ゼロ”でお得すぎ!iDeCoとつみたてNISAにダブル投資入門(扶養社)」などがある。

Withコロナ時代の長期投資

司会者:今日は非常に熱を持った長期投資家お二人の対談ということで、私自身も楽しみにしています。事前に参加者の皆さまから頂いているご質問にお答えする形で進めていきたいと思います。

足元では新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済活動の停滞が心配されていまして、「長期投資」しようと思いつつも不安を感じていらっしゃる投資家さんも多いと思います。そんな中で、長期投資のスタンスは何か変わったのか、あるいは変わらないのか、お二人のご見解を伺いたいと思います。


中野会長
:これは色んなところで本当によく聞かれるんですが、一言で言えば「何も変わりません」

企業の本源的価値を見据えていくことが本当の長期投資だとすると、コロナのような事象で何か変わるということは、あり得ません。コロナの状況というのは永遠に続くものではなくて、恐らく1年か2年でしょう。長い目で見れば経済の大きな流れの中の、ほんの一瞬の出来事にすぎません。

あえて何かをやったと申し上げるとすると、自分たちが投資している先に変化が起きていないかどうか、その本来の事業の「価値」というものが、影響を受けているのかどうか、何か前提が変わっていないか、ということは考えました。前提が変わっていなければ、一時的に株価が下がっても問題なく買うことができます。当社のファンドは積み立てで購入されている投資家さんがほとんどですから、新しく入ってきたお金は安く買うことに使うことができたと思っています。

「コロナの局面に合わせて、投資銘柄をこう変えます」というファンドも多いと思いますが、僕はそれはちょっと違うな、と感じています。


奥野
:同感ですね。我々も運用に関しては何も変えていません。

さはさりながら、やっぱりあれだけ市場が動揺すると、投資家さん、特に最近積立投資を始められたような方は不安になると思います。自分の虎の子のお金を預けているわけですから。その不安にどう寄り添っていくか、ということは改めて考えさせられました。

僕たちは運用者なので、ファンドの運用成績で投資家さんの期待にお応えすることは当然です。それに加えて、投資家さんにどれだけ納得して保有してもらえるか、というのも長期投資を続けていただくうえで非常に重要だと思います。

NVICはもともと機関投資家さん向けを中心にビジネスをやってきましたから、月に一回とか四半期に一回、実際に投資家さんを訪問して、投資先の企業がどうなっているのかを説明するということは、普通にやってきました。個人投資家さんに対しては、個別に訪問して、という訳にはもちろんいかないのですが、月次レポートなどでなるべく丁寧にお伝えするということはやってきました。

そういう意味で、しっかりと説明する、ということはもともとやってきたつもりではあるのですが、このコロナをきっかけに情報発信のやり方をより強化しました。具体的には、Zoomなどを使って、月次でライブの運用報告会のようなものを始めました。そこまで求められているかは、正直わからないのですが。


中野会長
:きっと求められていると思いますよ。私たちもコロナ禍の中で受益者向けのビデオメッセージなどを出しましたが、非常に大きな反響がありました。特に「変わらない、と言ってもらえて安心しました」という声が多かったです。


司会者
:受益者さんに対して、「売りっぱなし」ではなく、アフターフォローをどうやっていくかという点は、JAバンクでも重要なテーマとして議論しています。


中野会長
:今年の市場ワーキング・グループのメインテーマの一つが、まさに金融機関による「アフターフォロー」です。特にこういった市場が変化する局面で、しっかりと受益者に向けてフォローができるか、という点は非常に重要だと思います。

(次回に続く。次回は10月2日更新予定です)