ノンアルもわるくない
最初に言いたい。
「ノンアルコール飲料って、つまりジュースでしょ?」
「お酒飲めないんだ?じゃあジュースにする?」
という全国のお酒が飲める人達へ。
私も最初はそう思ってました。
でも違うんです。
ノンアルとジュースは一緒じゃありません。
2020年1月。なんとなく、「もしかして?」と思い、それまで浴びるように飲んでいたお酒をやめた。
その数週間後、お腹に息子がやってきた。
母乳育児だったので、産んだからといって「そろそろ飲めるかも」という兆しすらなかった。
三時間ごとの追われるような授乳間隔が開いてきたな〜と思ったら、入れ違いに息子の脳が発達して、"おっぱい"という単語を理解した。
「おっぱい飲む?」
と聞くとへらっと嬉しそうに笑って寄ってくる。
そんな顔をされるとあげないわけにもいかない。
結局二年半以上、今も一滴も飲んでいない。
とはいえ、妊娠するまでは毎晩必ずお酒を飲んでいたので、妊娠初期は「これからは飲んではいけない」という事実にまず心が追いつかなかった。
スーパーの酒類売場で、飲める夫を激しく詰ったこともある。
同じ親になろうと言うのに母親だけ飲めないなんて。
あの頃は、手が震えるほど飲みたかった。
「これで我慢して」と買い与えられたノンアルコールビールを
「こんなもんが酒の代わりになるか!」
と大声で馬鹿にしたのに、半年ほどで
「ノンアルでいいや」
と思えるまでに落ち着いた。
酒が飲みたいには飲みたいが、子どもを私欲の犠牲にはできない。
どうやっても今は飲めないんだから、耐えるか代替品に順応するしかない。
酒飲み友達に
「夜になると無性に酒が飲みたくなるんだよね」
とこぼすと、
「代わりと思ってジュース飲んだら?」
と言われた。
違うんだよ、ジュースは。お前も酒を飲むなら分かるだろうが。
友人は「たしかに」と苦笑っていた。
同じ清涼飲料水でも、ジュースは酒の代わりには中々ならない。
食事と一緒に楽しめないことが多いからだ。
「いやいや、コーラとハンバーガーって美味しいじゃん」
「サイダーでも飯は食える!」
という人もいるだろうが、ハイボールやジン、甘くないワインを食事と一緒に楽しみたい者からすると甘味料の味がするだけでもう駄目だ。
お酒が最初から一滴も飲めないという人の中にも、ジュースでごはんを食べるくらいならお茶か水しか選択肢がなくて良いという人もいるだろう。
その人達の方が、まだきっと話が合う。
ノンアルコール飲料はアルコール0%を前提に、かつ甘くないという選択肢がある。最近ではハイボールテイスト、ジンテイストのノンアルコール飲料も量販店で見かけるようになった。ノンレモンビールなんてのもある。
コロナ禍を経たこの一年でどどどっと選択肢が増えた印象だ。
以前まではノンアルコール飲料ほど知る人ぞ知る酒造メーカーや飲料ベンチャーがひっそり実験的に生産していたイメージがあったのに。
だからこそ、日常的に飲もうと思うと決してお手頃ではなかったけれど。
コロナも私の妊婦生活も駆け出しだった二年前は、そのへんの量販店で買える"ノンアル"といえばビールかカクテルのほぼ二択。たまにワインテイストの小さな瓶を見かけても、近づいて行って貼り付けてある値段に憤慨したものだ。
「これが一瓶500円?バッカでー」
と思った。こんなの二口じゃん、と。
庶民なので、たかが数百円、されど数百円。
いつかスーパーのノン酒類売り場で、ずらりと並んだノンアルコール飲料を片目に、夕食の献立とのペアリングに悩めるくらいのラインナップになってほしい。
今こんなにもお世話になっているのだから、お酒を解禁した後も、ノンアルコール飲料を手に取る機会はこれからもきっとあるだろう。妊婦二巡目の機会がもしあれば、間違いなくまた数年お世話になる。
飲料メーカーにお勤め、もしくはなんらかで携わりのある皆々様。
ノンアルコール飲料をもっと増やしてください。
ノンアルコールでペアリングが楽しめるくらい種類豊富に開発してください。需要あります。
無理なら開発できるまで働くので私を雇ってください。情熱ならあります。
あと、うちから一番近いファミマにはノンアルコールビールが二種類だけというあってないような寂しい選択肢しかありません。
ファミリーマート関係者の皆様も、どうぞよしなに。
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