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宮島 あなごめし屋の1人1品ルールで嫌な思いをした話

飲食で働く人たちに聞いてみたい。
1人1品ルールはどんなお店でも客が守って当たり前ですか?
というのも、大学生の頃に初めて訪れた広島県宮島観光で、ひどく嫌な思いをしたことを思い出したからだ。

大学生になりたての妹と訪れた宮島。フェリー乗降口近くから食べ歩きつつ島の奥へと進み、最後に名物のあなごめしを食べようと言う話になった。
半日ほど島を楽しんだ後だったので、そこそこお腹は満腹に近い。
一品頼んで、シェアして食べられるか聞いてみよう、と適当に入ったお店の軒先で接客のお姉さんに声をかけた。

「2人で一品注文したいんですけど」「わかりました、どうぞ」

と返ってきたので、妹と2人でカウンターに座り、あなごめし一つを注文した。が、カウンターの向かいで注文を聞いていた女将さんらしきおばさん(おばあさん?)が独り言の体で私たちに向かってこう言ったのだ。

「2人で一つ?そんなに量多くないんだから食べられるでしょう」
「一人一品注文するのが常識だけどねえ」

直接ではなく、まるであえて耳に届けるかのような台詞に、思わず妹と顔を見合わせたのを覚えている。
こちらはちゃんとシェアの確認をとってから注文した。なのに何だ?随分じゃないか。口コミもそこそこ良かった気がするのに。
とにかく率直に、ひどく胸糞悪い思いがした。

その後も聞こえるようにぶつぶつと文句が耳に届いてきたけれど、結局もう一品注文したところで美味しく食べられそうもないので、一つのあなごめしを気まずい思いで早々に食した。もちろん味なんて覚えていない。

飲食店に入った後はいつもご馳走様です、と一声かけて立ち去るようにしてきたが、とてもじゃないけれどそんな気分にはならなかった。
無言で店を出た後から、哀しみを超えて沸沸と怒りが湧いてくる。この出来事から10年経つが、2度目の宮島には訪れていない。行くことがあっても、もうあなごめしを食べようなんて思わない気さえしている。

今でも宮島の地図を見れば、なんとなくこのお店だったかなと思い当たるお店があるのだが、店名も不確かなので論っても仕方がない。なのに、未だに自分の中で上手く昇華できていない出来事の一つだ。

今でこそコロナ禍で飲食関係で働く人は厳しい思いもしている。外でお金を落とす大切さも心得ているが、それとこの出来事とは話が別。
何の説明がなくたって、一人一品注文は当たり前。そんな暗黙のルールを知らない学生の私たちが無知で馬鹿だったのだろうか?
そうだとしたら、“外食を楽しむ”とは今も昔も迂闊に楽しめない肩の凝るイベントだと正直に感じている。



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