一年目のご褒美。
約一年前から「ペアレントメンター」のお仕事をやっています。
「ペアレントメンター」というと、子どもになんらかの問題がある保護者に対して、同じような子どもを育てた経験がある親が相談相手になるというのが一般的なのですが、わたしがやっているのはシンプルに「子育て」という経験だけを基に、現役子育て中の保護者の話し相手になるというお仕事です。
偶然目にした求人広告に導かれるように申し込み、実際に業務を始めたところで突然、自分のコミュニケーション能力に問題があることに気づきました。
そういえば、どこに辿り着くかわからない会話に入るのニガテだった!
井戸端会議とかほとんど参加したことなかった!!
ママ友もいなかった!!!
……とっとと辞めよう……。
そう思ったものの、周囲のひとに励まされ続けてなんとか一年経ちました。
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そんな、やっとの思いで続けてきたことではありますが、今月は嬉しい報告がたくさんありました。
高校生の子ども2人を持つ保護者さん。昼夜ダブルワークで休みなく働いているその方から、
「来年、大学を受験しようと思います。」
と教えてもらいました。
ちょうど18年前の大学受験の時に、妊娠がわかったため進学を断念せざるを得なかったそうです。
小学6年生の不登校の子どもを持つ保護者さんからは、子どもが卒業文集用の作文を自主的に書いたことを教えてくれました。学校でからかわれたことをきっかけに、いろいろ調べ始めたら自分の特技で人々を楽しませることができるかもしれないと気づいたとのこと。国語が嫌いで、自分の胸の内を誰かに明かすのが苦手なその子どもが、自主的に自分の内側に起こったそのプロセスを言語化してくれたのです。
今年、高校を卒業する子どもを持つ保護者さんに「18年間、大変でしたね」と言うと、その子どもが小学校に入る前に大病で入退院を繰り返していたことを教えてくれました。
その頃、生後半年の次女を抱えていた保護者さんは、昼は長女の看病をし、合間に次女に授乳をする生活をしていました。そんな生活が半年ぐらい続いたある日、自身のズボンが自然にスルッと落ちてしまったことで、体重が30キロ台まで落ちていたことに気づいたそうです。鏡を見る暇もない生活だったんです。
その保護者とはこの一年、次女の不登校について話してきたのですが「あの頃、生きていてくれさえすれば学校なんか行かなくていいって思っていたことを、今思い出しました。」と涙をこぼしておられました。
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誰にでも、きっとこういうストーリーがあるんだと思います。
けれど、毎月、話し続けてきたからこそ、こんな宝物をシェアしてもらうことができました。
子どもとか親とか関係ないんです。みんななんらかの良きプロセスの途中にいて、ある日とつぜんそのプロセスの意味のようなものが、ぱぁんと明らかになる瞬間がある。いまゴロゴロと石が転がる歩きづらい道を、ひたすら足元を見ながら登っていても、とつぜん美しい景色とともに歩いてきた意味を理解する時がやってくる。
悩みながらこの仕事を続けた一年のご褒美は、そんな素晴らしい瞬間を立て続けにシェアしてもらえたことでした。
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