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#1 保険診療でオーソモレキュラー療法は出来る? 保険診療とオーソモレキュラー療法の違い、薬とサプリメントの違いとは

近年、オーソモレキュラー療法や高濃度ビタミンC点滴など分子整合栄養医学を取り入れるクリニックが増えてきました。ここで言うオーソモレキュラー療法は、主に専用の血液検査を受け、専用のサプリメントを用いて行っていくサービスのことです。

ですが、このオーソモレキュラー療法で行われる検査やオススメされるサプリメントは、保険診療と比べてとても高額になっています。受けようとした方は、あまりの金額の差に驚いたのではないでしょうか。

では、なぜオーソモレキュラー療法は保険診療と比べて高額なのでしょうか? また、オーソモレキュラー療法を保険診療で受けたり、保険診療の検査や薬を使ったりしてオーソモレキュラー療法は行えないのでしょうか?

今回は、保険診療の検査や薬を使ってオーソモレキュラー療法が出来るかどうかについてと、保険診療とオーソモレキュラー療法の違い、薬とサプリメントの違いについて解説します。

オーソモレキュラー療法は保険診療で受けられる? 検査代やサプリメントは、何故あんなに高いのか

オーソモレキュラー療法とは、基本的にオーソモレキュラー療法に対応するクリニックで専用の採血を行い、その結果を基にサプリメントを用いてアプローチしていく療法です。

このサプリメントは1回購入して摂取するだけでは足りず、毎日定期的に摂取を行い、これを年単位で継続することではじめて意味があります。そして、自身に足りない栄養素を至適量補給することで細胞レベルから栄養状態を整え、身体が本来持っている機能を取り戻すことが出来るのがオーソモレキュラー療法と呼ばれている療法です。

この身体が持っている本来の機能を取り戻すことが結果的に病気の改善や予防へと繋がることから、オーソモレキュラー療法では様々な病気の改善も期待出来ると言われています。

改善が期待出来る具体的な病気・状態としては、次のようなものです。

このように、様々な病気や状態の改善に効果が期待出来るのがオーソモレキュラー療法になります。上記に当てはまる方なら、是非受けてみたいと思いますよね。

ただ、オーソモレキュラー療法を受けようと思った方はご存じかと思いますが、オーソモレキュラー療法の検査やサプリメントは、健康保険適用の検査や処方箋と比べて高額です。

例えば、人によっては検査代が2万円〜5万円、受けるクリニックによっては10万円や20万円以上するケースも見られます。また、使用するサプリメントは人によりますが一月に3万円〜10万円程度かかることもあります。保険診療で受ける検査が数千円から高くて1万円程度である事を考えると、かなり高額であることが分かりますよね。

では、なぜオーソモレキュラー療法の検査は高額なのでしょうか? オーソモレキュラー療法の検査代が高額になってしまう理由は、主に三つあります。一つは、「健康保険が適用されず、すべて自己負担となる自費診療」である事、二つ目は、「抱えている病態が多ければ必要な検査の数も増えてしまう」こと、三つ目は、「クリニックによって値段や検査項目などが違うこと」が主な理由です。

まず、オーソモレキュラー療法の検査が高くなってしまう第一の理由は、健康保険が適用されないことです。SIBO(小腸内細菌増殖症)検査やリーキーガット症候群(腸漏れ症候群)検査など、そもそも健康保険が適用されない検査も多くあります。このような検査では、そういうものとして納得していただくしかありません。

また、オーソモレキュラー療法を受ける方は、現在何らかの不調や病気を抱えている方が殆どです。病院の治療を受けても体調が良くならなかった方、原因不明の体調不良が続いている方、ガンと診断されて治療法を模索していた方等、状態に差はありますが、ほぼ何らかの不調や悩みを抱えている方々になります。

そうなると、必要な検査の項目が増えてしまうのは仕方がないことです。当てずっぽうで行う事は出来ませんので、必要な検査は適切に行い、きちんと状態を把握してからオーソモレキュラー療法を行うのが当然の流れになります。

ということは、検査代が高額な方というのは、それほど状態が悪い方や病態を抱えている方ということになります。状態や病態が悪い方ほど検査代や治療代が高額になるのは、オーソモレキュラー療法に限った話しではありません。

ただ、オーソモレキュラー療法と一言で言っても、提供している組織やシステムは様々です。どこで受けても同じように見えるかも知れませんが、やり方も異なれば検査料金も異なります。安く提供してくれる所もあれば、高めに料金が設定されているクリニックもあります。

例えば、オーソモレキュラー療法を提供しているクリニックの中には、オーソモレキュラー療法の基本検査だけで25,000円以上、これに遅延型アレルギー検査や有害重金属を調べるための毛髪検査、食事指導などを受けるための相談料などがセットになっている事もあり、検査料金は10万円〜20万円以上する場合があります。

対して、当方が推奨するオーソモレキュラー療法の場合、人にもよりますが初回検査で2万円を超えることは殆どありません。

この事から、一言でオーソモレキュラー療法と言っても、受けるクリニックによって料金や内容は様々です。当然ですが、より詳しく複数の検査を行うクリニックでは料金は高くなる傾向にあります。このクリニックの方針によって検査内容や料金に違いがあることも、オーソモレキュラー療法の検査が高くなってしまう一つの理由です。

では、オーソモレキュラー療法の検査は健康保険適用にならないのでしょうか? また、健康保険適用の検査結果で、オーソモレキュラー療法を行う事は出来ないのでしょうか?

結論としては、現時点でオーソモレキュラー療法の検査を健康保険適用で受ける事は出来ません。また、現時点でオーソモレキュラー療法が健康保険適用になる可能性も低いです。これは健康保険の制度的な問題で、保険適用にするには政治や健康保険制度そのものが変わる必要があるためです。

ただ、逆に「健康保険適用で受けた検査結果でオーソモレキュラー療法が出来るのでは?」と思う方もいますよね。普段通っているかかりつけのクリニックで受けた検査結果をもとにオーソモレキュラー療法が出来れば、一石二鳥です。

また、会社の健康診断や人間ドックで受けた検査結果でオーソモレキュラー療法が出来たら、かなり安く済ませることが出来ますよね。果たして、これら保険診療で受けた検査や健康診断の検査結果で、オーソモレキュラー療法は出来るのでしょうか?

オーソモレキュラー療法の検査と保険診療、健康診断で受ける検査の違い

保険診療や健康診断で受ける血液検査でも、オーソモレキュラー療法で受ける血液検査といくつか項目が同じ場合があります。これらを活用すれば、保険診療で受けた検査や健康診断の検査結果で、オーソモレキュラー療法が出来そうな気がしますよね。

しかし、保険診療や健康診断で行う血液検査でオーソモレキュラー療法を行う事は出来ません。なぜなら、オーソモレキュラー療法で受ける血液検査と、病気の時に受ける血液検査や、健康診断などで受ける血液検査とは全く異なるものだからです。

では、保険診療や健康診断で受ける検査と、オーソモレキュラー療法で受ける検査では、一体何が違うのでしょうか?

まず、保険診療や健康保険で行われている検査と、オーソモレキュラー療法で行われる検査では、その目的と判断基準が異なります。

例えば、病気の時など健康保険を使って行われる血液検査は、病気である場合や病気の疑いがある事が前提に行われる検査です。こちらは、主に病気に関連する項目のみで、病気を診断したり経過を観察したりする目的で行われています。

もう一つの人間ドックや健康診断などで受ける検査は、病気が隠れていないかを判断するためのものです。こちらは保険で行われている検査と比べて項目数は多いですが、栄養状態を把握するためには使われていません。

対してオーソモレキュラー療法の血液検査では、体内での栄養状態や、体内で栄養がどのように働いてるかを調べるためのものです。血液には、食事から取り込んだ栄養素や、それを代謝して体内で産生した様々な物質が溶けています。この血液中の成分を詳しく調べることにより、身体の栄養状態や健康状態を正確に把握することが可能です。

例えば、当方が推奨するオーソモレキュラー療法の血液検査では、口腔内の状態を確認するための唾液検査と、腎機能などを調べる尿検査を含めた全60項目以上の検査を行っています。

この検査では、肝臓で作られている酵素の量や、血清タンパク量、血球量などを調べることにより、体内でタンパク質やビタミン、ミネラル等が十分に足りているかどうかを調べています。また、血糖値や脂質代謝関連などを見る事によって、血液の状態や摂取エネルギーが足りているかどうかも判断しています。これらは単一の項目で見るのでは無く、複数を組み合わせて総合的に見る事が重要です。

なぜ、このような60項目以上にも及ぶ血液検査を実施するのかというと、保険診療での血液検査や、健康診断の結果では、身体の栄養状態を正確に把握することは出来ないためです。なぜなら、保険診療の検査や健康診断の検査は「病気の発見や経過を観察する物」であって、栄養状態を把握する検査ではありません。

例えば、女性に多い不調として「身体が冷える」「眠れない」「疲れやすい」「やる気が出ない」「生理不順」などの不調があります。これら不調の原因の1つとしては、鉄欠乏性貧血を始めとした潜在性のミネラル不足が関係していることが挙げられます。

鉄欠乏性貧血とは、その名の通り鉄の摂取量が少ない場合や不足している場合に起こる貧血のことです。この鉄欠乏性貧血は、特に月経のある20代〜40代日本人女性のおよそ7割が鉄欠乏性貧血もしくは隠れ鉄欠乏性貧血といわれています。

この理由としては、女性は毎月の月経によって定期的に出血してしまうことに加え、食べないダイエットや菜食主義、加工食品の摂取量増加など食生活の変化によって、鉄の摂取量が不足してしまっている事が挙げられます。また、貧血の中には「貧血と診断されていないけど貧血になっている隠れ鉄欠乏性貧血」に陥ってしまっている方も多くいます。

隠れ鉄欠乏性貧血は、またの名を「潜在性鉄欠乏性貧血」「隠れ鉄不足」「隠れ貧血」などとも呼ばれ、貯蔵鉄である「フェリチン値」のみが低値を示している状態のことです。

通常、貧血を診断する検査では、「ヘモグロビン」や「ヘマトクリット」などの数値のみで貧血の診断を行っています。これらの数値が基準値を上回っている場合では、基本的に「問題なし」とされてしまうことが一般的です。

しかし、隠れ貧血の状態では、「ヘモグロビン」や「ヘマトクリット」などの数値は正常範囲になっていても、体内の鉄の貯蔵量である「フェリチン」が少なくなっています。

フェリチンは、出血してもすぐさま貧血とならないよう、ヘモグロビンや赤血球を作るための鉄を貯めておく役割を担っています。このフェリチンの量が少なくなってしまうと、いざ出血してしまったときにヘモグロビンなどに使う鉄が十分にありません。

すると、通常時は貧血と診断されていなくても、月経などで出血した場合には、すぐにヘモグロビン値が低下してしまい、貧血に陥ってしまうのです。このような状態の事を、隠れ貧血といいます。

この隠れ貧血の問題点は、貧血と診断されていなくても貧血と同じ不調が引き起こされる事が挙げられます。鉄欠乏性貧血は、めまいや息切れ、疲れやすい、やる気が出ない、身体が冷えるなど、様々な不調が引き起こされる原因です。

このように、保険適用の血液検査では問題なしと言われているのに、貯蔵鉄であるフェリチン値が低く、出血するとすぐに貧血となってしまう状態が隠れ貧血です。このフェリチン値の検査は、保険診療の検査や健康診断の検査では行われていません。

つまり、体内の栄養状態を正確に把握するためには、血清フェリチン値を含めた多くの検査項目が必要です。健康保険や健康診断で受ける検査は安く受けられる分、必要最低限の項目しか受けられません。これでは、体内の栄養状態を正確に把握することは出来ないのです。



※この記事は、下記記事から一部を抜粋・改編したものです。記事全文は下記記事をご覧下さい。元記事はこちら↓


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