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#6 ピロリ菌に感染していると低血糖症発症リスク大。ピロリ菌と低血糖症の関係と、除菌成功率を高める分子栄養学的アプローチをご紹介

ピロリ菌が見つかってもいきなり除菌はNG! 除菌成功率を高める分子栄養学的アプローチとは②

実は口腔内にも潜むピロリ菌。再感染を防ぐためにも口腔ケアが重要です。

ピロリ菌の除菌が完了しても、これでピロリ菌との縁が切れたわけではありません。実は、除菌が完了してもピロリ菌に再感染してしまうリスクがあります。というのも、最近の研究でピロリ菌は口腔内にも生息していることが分かってきました。ピロリ菌は胃粘膜だけに住みつく菌だと思われがちですが、それ以外に口腔内でもカンジダ菌というカビ菌の一種と共生していることが分かったのです。

カンジダ菌はカビの一種なので、どこにでも存在する常在菌です。食べ物にも付着していますし、空気中にも舞っています。この菌が増えすぎると口腔カンジダ症などの病気を発症する原因となりますが、普段は私達の免疫力が働いているのでカンジダ菌が増えすぎることはありません。

ただ、このカンジダ菌は酸性環境に強いという特徴があり、過酷な口腔内でも生きていけます。そんなカンジダ菌に守られながら、ピロリ菌は口腔内で生息していけるようなのです。

ピロリ菌が口腔内に生息しているとなると、懸念されるのがピロリ菌の再感染です。私達は毎日のように物を食べたり唾液を飲み込んでいたりします。この時に口腔内にピロリ菌がいると、食べ物や唾液と一緒にピロリ菌も飲み込む事になってしまいます。そうすると、飲み込まれたピロリ菌が胃の中まで到達、増殖し、ピロリ菌に感染するリスクが高まってしまいます。

このようなリスクを減らすためにも、ピロリ菌除菌前後から口腔ケアもしっかり行うようにしましょう。口腔ケアを行う事は、ピロリ菌の再感染リスクを抑える以外にも歯周病のリスクを減らし、低血糖症対策や動脈硬化、認知症など他の病気の予防にも繋がります。特に歯周病と低血糖症とは関連が深く、低血糖症の改善には歯周病のケアを中心とした口腔ケアが重要です。

一見すると、低血糖症と歯周病には何の関係性があるの?と思いますよね。実は口腔内環境の悪化は低血糖症に限らず全身の健康状態と関係していて、例えばアルツハイマー病や心筋梗塞、脳梗塞、動脈硬化や関節リウマチなど、様々な病気を発症するキッカケになっています。

具体的な病気への進行は、歯周病菌の出す毒素や炎症が関係しています。
歯周病菌は主に食べかすや磨き残しをエサに、歯と歯肉の間で増殖します。この菌がドンドン増殖していくと、そこで大量の毒素を分泌し、歯肉に炎症が発生します。

この炎症が進行していくにつれて歯肉が弱くなり、歯肉から出血します。弱くなった歯肉中の血管から歯周病菌が 歯槽骨に侵入し、歯を支えている骨を破壊して溶かすなどの影響を与えます。この状態が慢性的に進行したり続いてしまったりすることで全身へ毒素や炎症が飛び火し、先ほどの動脈硬化やアルツハイマー病など全身性の疾患へと進行してしまうのです。

この歯周病菌が出す毒素によって発生する炎症は、先ほどのピロリ菌感染による慢性炎症と同じく、インスリン抵抗性を引き起こし、糖代謝を悪化させる事が分かっています。

メカニズムとしては上述したピロリ菌感染の時と同じく、弱った歯肉組織から侵入した歯周病菌や毒素をやっつけるために、マクロファージが活性化します。このマクロファージが更に炎症を起こすサイトカイン(TNF-α)を放出することで、インスリンの機能が低下し、インスリン抵抗性が高まってしまうのです。

この事は特に、糖尿病と歯周病との関連として最近よく言われるようになってきました。糖尿病を抱えている方ほど歯周病が重症化しやすく、歯周病が重症化するほど糖尿病が悪化していきます。これは低血糖症も同じで、口腔内環境が悪化することで消化不良や腸内環境の悪化を引き起こし、糖の吸収や代謝が落ちて低血糖症を引き起こします。つまり歯周病と低血糖症はお互いに悪影響を及ぼし、悪循環を形成してしまうのです。

私達は食べ物を食べるときに、「よく噛む」事で唾液が分泌され、唾液に含まれる「アミラーゼ」によってデンプン質をブドウ糖まで分解しています。これと同時によく噛むことでインスリンの分泌が促され、血糖値が上がりすぎないような機能が備わっています。

もし、歯や歯茎が悪くなって噛めなくなったり唾液の分泌量が減ってしまうと、十分に噛むことが出来ません。十分に噛むことが出来なくなってしまった場合は、食べ物を大きい塊のまま飲み込むことになり、胃に負担がかかって消化不良を起こしてしまいます。

その結果、未消化の大きなタンパク質や分子が小腸や大腸に流れ込み、これをエサにする悪玉菌が増殖してしまいます。この悪玉菌が体内で悪さをすることで腸に炎症が発生し、更に体内で炎症が促進します。この炎症が自己免疫疾患や菌血症などにつながり、最終的にはまた口腔内環境を悪化させるという悪循環に陥ってしまうのです。

このような悪循環が、口腔内の環境悪化が引き金となって引き起こされていきます。ですので、低血糖症を改善するためには口腔内のケアも欠かせません。

この口腔内のケアは先ほど解説したピロリ菌の除菌とセットで行う事が望ましく、また腸内環境が悪化してしまっている場合は腸ケアも同時に行う事が望ましいです。歯肉から出血する方や便秘のある方など心当たりのある方はこれらもセットで行うようにして下さい。

口腔内をケアし、糖尿病と低血糖症の悪化を防ぐ

低血糖症の改善とピロリの再感染を防ぐためにも、しっかりとした口腔ケアを行う事が重要です。口腔内環境が悪化する最も多い原因としては歯垢の磨き残しですので、電動歯ブラシやウォーターピックなどを使って歯と歯の隙間もしっかりケアしていきましょう。ここでは、オススメの口腔ケアグッズをいくつかご紹介します。

電動歯ブラシ

磨き残しが多く残る原因は、やはり手磨きによるものです。手磨きだと適切な磨き方が求められる上に、歯垢をしっかり落としきるまで磨くには時間がかかります。
このような問題を解決するためにも、是非電動歯ブラシを取り入れてみて下さい。

電動歯ブラシであれば、短時間で確実に歯垢を落とすことが出来ます。電動歯ブラシには音波式など振動するタイプのものとブラシが回転する回転式がありますが、歯垢をしっかり落とすなら回転式ブラシがオススメです。歯垢は細菌が出すネバネバ物質に覆われており、これを物理的にそぎ落とせる回転式ブラシが最も効果的です。

この回転式の電動歯ブラシにもピンからキリまでありますが、あまり高いものを選ぶ必要はありません。機能面と価格面のバランスが良い真ん中あたりのモデルを選ぶと良いでしょう。オススメは、ブラウンのOral-Bシリーズです。僕自身も、ブラウンのOral-Bシリーズを愛用しています。お好きな色や形で選んでみて下さい。

ウォーターピック

電動歯ブラシは短時間で歯垢を落としてくれるものの、やはり歯と歯の隙間の汚れまではしっかり落としきることが出来ません。この歯と歯の隙間をしっかり落とすのに有効なのが、「ウォーターピック」や「ジェットウォッシャー」と呼ばれているものです。

仕組みとしては、高圧の水流を歯や歯肉に当てて汚れを落とすというもので、高圧洗浄機で有名な「ケルヒャー」の口腔版といった感じですね。高圧の水流を当てて歯と歯の隙間にある汚れを効率よく落とします。電動歯ブラシだけでは落とせない汚れもしっかり落とせますので、歯ブラシ後にウォーターピックやジェットウォッシャーを併用するようにしましょう。

歯周病の状態によっては使い始めに出血するかも知れませんが、使っている内にだんだんと出血量が減ってきます。およそ3ヶ月程度使用すれば殆ど出血も収まり、歯周病の状態も改善してきますので、始めは出血したり痛みがあっても根気強く続けるようにしてみて下さい。

ウォーターピックやジェットウォッシャーには類似品が安く売られていますが、水圧など機能面から見てもちゃんとしたメーカー品を購入するのがオススメです。メーカー品の値段は高めですが、使いやすさや機能面、耐久性や汚れの落ちやすさなどしっかり考えられています。これで今後、歯の治療費や病気の治療費が減ると考えると、かなり安い投資かと思います。一度買うと家族で使える上にずっと使える物ですので、是非勇気を持って購入してみて下さい。

口腔内環境改善サプリメント

歯の汚れをしっかり落としたら、次に口腔内の細菌バランスを整えていきましょう。細菌バランスと言えば腸内環境を思い浮かべるかも知れませんが、実は口腔内にも悪玉菌と善玉菌が生息しています。悪玉菌の代表は虫歯菌や歯周病菌、カンジダ菌などで、これらが善玉菌よりも多くなってしまうと口の中で悪さをし始めるのです。

ですので、歯周病菌やカンジダ菌などの悪玉菌が増えないように、善玉菌を増やしていく事が重要になってきます。口腔内の善玉菌としては、「ストレプトコッカス・オラリス菌」や「ストレプトコッカス・ウベリス菌」「ストレプトコッカス・ラッタス菌」などです。これらの有用菌は虫歯菌や歯周病菌のすみかを奪い、過酸化水素を微量に産生することで歯周病菌の殺菌作用をもたらします。

特にストレプトコッカス・オラリス菌とストレプトコッカス・ウベリス菌が歯周病対策に有効な菌で、これら菌が歯周病菌の住処を奪って過酸化水素を産生することで歯周病菌の増殖を防ぎます。ストレプトコッカス・ラッタス菌は虫歯の原因となるミュータンス菌と住処と栄養源を奪い合うことで、ミュータンス菌に対して増殖抑制作用を示します。

歯ブラシとウォーターピックなどでしっかり汚れを落とした後は、これらの菌が含まれている口腔環境改善サプリメントも利用して、口腔内をケアしてみて下さい。実際に口腔環境改善タブレットを4週間使用した方は、虫歯の原因菌や歯周病の原因菌が減少した結果が出ています。

この口腔環境改善タブレットの具体的な製品については、オーソモレキュラー療法の一環として用いられています。
ご興味ある方は、是非オーソモレキュラー療法を受けてみて下さい。

それから、歯周病菌の出す毒素や炎症によって弱ってしまった歯肉を修復するためにも、歯肉の材料となる栄養補給も同時に行いましょう。歯肉がダメージを受けたままや出血している状態では、血液に含まれる鉄分をエサにして増えるカンジダ菌など悪玉菌が増殖しやすくなります。

歯肉は「コラーゲン」繊維で出来ており、コラーゲンはタンパク質やビタミンC、鉄などを材料に作られます。有用菌の補給に加えて、これら栄養も補給して歯肉の修復を行うようにして下さい。

歯肉を強くする栄養素

  • タンパク質

  • ビタミンB群

  • ビタミンC

  • コエンザイムQ10

これら歯周病や虫歯対策の口腔ケアは、同時に口腔内に生息するカンジダ菌やピロリ菌の抑制にも繋がります。菌は単に殺菌しただけではまた増えてしまいますので、悪い菌が増えないよう歯肉を強化するアプローチや口腔内の菌のバランスを整えるアプローチもしっかり行うようにしましょう。





この記事は、下記記事から一部を抜粋・改編したものです。記事全文は下記記事をご覧下さい。元記事はこちら↓



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