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#1 分子栄養学とメガビタミン健康法の違いとは? メガビタミン健康法とオーソモレキュラー療法は全くの別モノです!

分子栄養学と言われているものに、「メガビタミン健康法」と「オーソモレキュラー療法」があります。

メガビタミン健康法とは、主に海外サプリメントなどを使ってサプリメントをメガドーズする療法です。対してオーソモレキュラー療法は、血液検査を行って専用のサプリメントで栄養療法を行っていきます。

同じ分子栄養学と称されているのに、やり方も考え方も全く異なる療法が混在しているのは何故なのでしょうか?

今回は、メガビタミン健康法とオーソモレキュラー療法の違いについて、詳しく解説します。

メガビタミン健康法とオーソモレキュラー療法、一体何が違う?

同じ分子栄養学として称されているものに、海外サプリメントで独自に栄養補給を行うメガビタミン健康法と、クリニックなどで提供されているオーソモレキュラー療法があります。また、似たような言葉として「メガビタミン療法」という言葉がありますが、こちらは主に高濃度ビタミンC点滴を指す言葉として使われていることが多いようです。

オーソモレキュラー療法では、血液検査などを行った後に、専用のサプリメントで補給を行うことが基本とされています。メガビタミン健康法やオーソモレキュラー療法は同じ分子栄養学だと言われていますが、一体何がどのように違うのでしょうか?

まず、メガビタミン健康法と、オーソモレキュラー療法の2つでは、そのやり方も考え方も全く異なります。メガビタミン健康法では、主に「症状に対して不足していると思われる栄養素を海外サプリメントなど安いサプリメントを使ってメガドーズ(大量摂取)していきましょう」というのがメガビタミン健康法の考え方です。

例えば、うつ病など精神的な不調は原因の1つとして「鉄欠乏性貧血」が関係している事があります。鉄欠乏性貧血とは、その名の通り鉄分の摂取量が足りない場合や、体内で鉄分が不足してしまっている場合に起こる貧血です。全体の貧血原因の約7割が鉄欠乏性貧血だと言われています。

ただ、鉄欠乏性貧血といっても、単に鉄分が足りないだけで無く、タンパク質が足りていない場合も鉄欠乏性貧血となる事があります。これは、体内で鉄を運搬、貯蔵、利用するためには、タンパク質の利用が欠かせないためです。

そのため、メガビタミン療法ではうつ病に対して基本セットとなる「ATPセット」と呼ばれるサプリメントセットの摂取が推奨されています。ATPセットとは、「プロテイン」「ビタミンB」「ビタミンC」「ビタミンE」「アミノ酸キレート鉄(フェロケル)」の5種類のサプリメントのことです。

これらサプリメントを、例えば次のような量摂取することがメガビタミン健康法の基本的な考え方です。


ATPセットの標準量とメガ量の例

標準量;

  • ホエイプロテイン・・・20g〜30g×2〜3回

  • ビタミンB50:2錠、朝夕。

  • ビタミンC1000:3錠、朝昼夕。

  • ビタミンE400:1~2錠、朝。

  • キレート鉄(フェロケル)36mg*2~3、もしくは27mg*3~4。夜に摂取。


メガ量;

  • ホエイプロテイン・・・20g〜30g×2〜3回

  • ビタミンB50、3~6錠、朝昼夕。

  • ビタミンC1000、9~12錠、朝昼夕(腸耐性用量の2/3程度)。

  • ビタミンE400、3~5錠、朝。

  • キレート鉄(フェロケル)36mg*2~3、もしくは27mg*3~4。夜に摂取。

※プロテインの量はお腹の調子をみて減量する場合がある。
※男性の場合は、鉄の摂取は非推奨

https://ameblo.jp/kotetsutokumi/entry-12412449253.html より


これらメガビタミン健康法で用いるサプリメントは、主に海外サプリメントを用いることが推奨されています。

通販サイトを通じて海外サプリメントを個人輸入し、ATPセットの摂取量を参考に各個人の判断でメガドーズを行ったり、調節したりしていくことがメガビタミン健康法の流れです。この中のビタミンCに関しては、ドラッグストアなどで安く売られている食品に添加するパウダー状のものでも大丈夫だとしています。

このメガビタミン健康法では、うつ病以外にも発達障害やADHDを対象としているなど様々な症状に対してのメガドーズ方法が案内されており、それぞれの症状に対して摂取するサプリメントの種類や量には違いがあります。

また、メガビタミン健康法の効果には個人差があり、メガビタミン健康法で体調が良くなったという方もいれば、逆に体調が悪くなってしまったという方もいます。

このように、ある特定の症状に対して不足していると思われる栄養素を海外サプリメントなど安いサプリメントを使ってメガドーズするのが、メガビタミン健康法です。

対してオーソモレキュラー療法では、「体内の分子(栄養素)が乱れるのには必ず原因があるとし、専用の血液検査を行って体内の栄養状態や健康状態を客観的に分析してから、治療と併せて専用のサプリメントで根本原因から栄養アプローチを行っていきましょう」というのがオーソモレキュラー療法の基本的な考え方となります。

例えば、先ほどのうつ病に関しては、鉄欠乏性貧血以外にもうつ症状を引き起こす疾病があります。関連があると考えられている疾病については、例えば次のようなものです。


うつ症状との関連があると考えられる疾病の例

  • ピロリ菌感染による消化能力の低下と栄養欠損

  • 更年期障害

  • 低血糖症

  • 甲状腺機能障害

  • PMS、PMDD

  • SIBO(小腸内細菌増殖症)

  • リーキーガット症候群(腸漏れ症候群)

  • 機能性ディスペプシア

  • 過敏性腸症候群

  • 副腎疲労症候群

  • 脳の炎症


このような疾病は、消化吸収能の低下や自律神経の乱れを引き起こし、結果的に栄養欠損の状態になりやすくなります。栄養欠損の状態では、自律神経の調節に必要な栄養素が不足してしまうことから、うつ症状などが引き起こされてしまうことがあるためです。

オーソモレキュラー療法では、症状の背景にこのような疾病が隠れていないかどうかを血液検査や画像診断などで分析し、必要であれば疾病に対して薬物療法を行うなど西洋医学的な治療も併せて行われます。

また、例えその方が貧血だったとしても、貧血には様々な種類があり、その原因も様々です。例えば、亜鉛が足りなくて貧血になる亜鉛欠乏性貧血や、再生不良性貧血、大球性貧血や小球性貧血、慢性炎症における鉄の利用障害や、溶血性貧血、消化管などからによる出血、婦人科疾患による出血量の増加など、貧血を引き起こす原因は様々なものが関係しています。

そのため、症状だけで鉄欠乏性貧血だと決めつけるのでは無く、血液検査を通して客観的に判断し、それぞれ適切なアプローチを行うことが大切です。加えて、先ほどの「うつ症状と関連のある疾病の例」で挙げた疾病と貧血にも関連があることから、貧血を引き起こすには必ず理由があります。

消化管から出血している場合には、まず消化管からの出血を止めることが第一ですし、婦人科疾患によって出血量が増加していた場合は、婦人科疾患の治療を先に行うことも必要になります。ピロリ菌の感染やリーキーガット症候群などで消化吸収能が低下していた場合は、その対策も必要です。

この原因からきちんと対処しなければ、いくらサプリメントで鉄を補給したとしても、血液や栄養素がザルのように体外へ流れ出てしまってほとんど効果がありません。そのため、オーソモレキュラー療法では単に足りない栄養素をサプリメントで補うだけで無く、栄養欠損を引き起こした原因に対しても適切なアプローチを行います。

そして、それぞれの疾病とその方の個人差を考慮し「分子栄養学実践専用サプリメント」を使って至適量の栄養補給を行っていくのがオーソモレキュラー療法です。

この使用する分子栄養学実践専用サプリメントは、市販されているサプリメントや海外サプリメントと比べて、より高品質なサプリメントであり、体内での崩壊や消化吸収なども考慮された設計・製造になっています。また、有効成分が高濃度で配合されている、有効成分同士が反応しないようコーティングを行うなど、非常に手間とコストがかかる作りになっています。

そのため、分子栄養学実践専用サプリメントでは、市販されているサプリメントや海外サプリメントと比較して値段が高額です。どのくらい高額かというと、例えばドラッグストアで売られているサプリメントが1,000円前後だとすると、分子栄養学実践専用サプリメントではその3倍〜5倍、ものによっては10倍近くします。(2024年現在)

また、海外サプリメントも同様で、1つあたり1,000円〜3,000円程度で購入することが出来るのに対し、分子栄養学実践専用サプリメントではその金額の3倍〜5倍程度の差があります。(2024年現在)

何故このような高品質で値段が高いサプリメントが必要になるかというと、市販されているサプリメントや海外サプリメントの中には胃や腸で全く溶けないものや、薬品成分が混入しているもの、有効成分が酸化・劣化して効果が無くなっているものなどがあるためです。

例えば、独立行政法人国民生活センターでは、『錠剤・カプセル状の健康食品は、外見上医薬品と誤認されることが多いものの、医薬品並みの品質管理がなされているものではないとされています。また、成分が一定量に調整されていない商品や、消化管の中で確実に溶けて、吸収されるように作られていないと思われる商品があるともいわれています。』と解説しています。

そして、独立行政法人国民生活センターが市販されている商品を実際に購入して崩壊性を調べた結果、なんと100銘柄中42銘柄が、医薬品に定められた規定時間内に崩壊しなかったという結果になりました。

市販されている商品に関するテスト

 市販されている商品をテスト対象として、崩壊せず体内で吸収されない可能性があるか、表示されている機能性成分(注6)が表示どおり入っているか、微生物や重金属に汚染されていないか等、品質について調べました。消費者へのアンケート調査の回答結果を参考に、多くの消費者が摂取すると考えられた機能性成分を10カテゴリー(「マルチビタミン」、「GABA」、「黒酢、香醋(こうず)」、「コエンザイムQ10」、「酵素」、「HMB」、「ルテイン」、「乳酸菌類」、「グルコサミン」、「DHA、EPA」)選定し、神奈川県内、東京都内及び徳島県内のドラッグストアの店頭やインターネット通信販売の大手ショッピングモール(Amazon.co.jp、楽天市場、Yahoo!ショッピング)、検索サイトGoogleにて市場調査を行い、各カテゴリーにつき10銘柄ずつ、合計100銘柄を選定しテスト対象としました。100銘柄中には、栄養機能食品が21銘柄、機能性表示食品が11銘柄含まれています。
崩壊性を調べた結果、100銘柄中42銘柄が、医薬品に定められた規定時間内に崩壊しませんでした。

利用途中の健康食品に関するテスト

 消費者の利用状況等が錠剤・カプセル状の健康食品の品質に影響を及ぼすかを調べるために、徳島県内で利用途中の健康食品を収集し、同時に、対面でその健康食品の利用実態に関するアンケート調査及び聞き取り調査を実施しました。容器を移し替えておらず、かみ砕いて摂取する錠剤ではない合計105商品をテスト対象としました。ハードカプセルの内容物が硬化しているものがみられました。
医薬品に定められた規定時間内に崩壊しなかったものが半数あり、未開封品よりやや高い割合でした。
収集した利用途中の健康食品の多くでは、未開封品と比べると機能性成分の量がわずかに少ない傾向がみられました。

https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20190801_1.htmlより

また、既に利用中の健康食品の崩壊性を調べた結果もあり、テスト対象とした合計105商品のうち、医薬品に定められた規定時間内に崩壊しなかったものが半数あったとの結果にもなっています。

このことから、市販されているサプリメントのおよそ半数は、医薬品に定められた規定時間内にきちんと崩壊していないという事実があります。当たり前ですが、どんなに良い原材料を使った高濃度の有効成分が含まれているサプリメントでも、それが胃や腸できちんと崩壊しなければ全く意味がありません。

そうなると、栄養素としての効果は期待できません。栄養素は消化・吸収されて初めて意味があるので、きちんと消化・吸収されることが実証されているサプリメントを選ぶことが非常に重要です。

また、人によっては胃酸の分泌量が少ない、胆汁酸の分泌量が少ないなど消化吸収に問題を抱えている場合があります。胆汁は、水と馴染まない脂質や脂溶性のビタミンを水に馴染みやすく(乳化)して血管内に吸収出来るようにする働きをしています。

もし、胃酸の分泌量が少なかったり、胆汁酸の分泌量が少ない場合は、タンパク質が上手く消化できなかったり、脂質や脂溶性のビタミンが上手く吸収出来なくなってしまいます。

このような場合は、予めタンパク質が低分子化されているプロテインを選んだり、胆汁酸の分泌量が少なくても吸収出来るようにミセル(自己乳化型)加工されているものを選ぶことも重要です。

それから、サプリメントによっては栄養素よりも人工甘味料を始めとした添加物のほうが多いものや、栄養素が既に酸化・劣化して効力を失っている物、自然界に存在しない化学構造に加工された物、日本では承認されていない医薬品成分が混入しているものなどもあります。

特に海外サプリメントの中には、日本で承認されていない医薬品成分が混入している事件が相次ぎ、厚生労働省も注意を呼びかけています。このような混入成分は、パッケージの成分表示には記載されていないことから、成分表示だけを見て混入しているかどうかを判断することは困難です。


例えば、2017年には「ANAVITE」という海外製サプリメントに、ドーピングで禁止薬物であるタンパク質同化ステロイドが検出された事件が発生しています。

この他にも、愛知県衛生研究所が平成18年4月1日から平成19年3月31日までの一年間で、国内で販売された健康食品の成分を調べた結果、66のサプリメントから医薬品成分が検出されたとの結果が出ました。

この情報からも分かるように、国内外問わずサプリメントに薬品成分が混入している事例が相次いでいます。基本的にサプリメントには成分をすべて表示する義務がないため、パッケージの栄養成分表示を見ても薬品成分が混入しているかどうかは分かりません。

サプリメントは薬のような見た目をしているので「どれも一緒だ」と思われる方が多いのですが、サプリメントの善し悪しは見た目や味、値段やパッケージの表示成分を見ただけでは判断することが出来ないのです。

このように、サプリメントには粗悪に作られた物も多いことから、オーソモレキュラー療法では分子栄養学実践専用サプリメントを用いて行います。対してメガビタミン健康法では、このようなサプリメントの質に関しては殆ど考慮されていません。

どちらも「分子栄養学」と謳っていますが、メガビタミン健康法とオーソモレキュラー療法とでは、やり方も考え方も全く異なります。では、なぜ同じ分子栄養学と称しているのに、このようなやり方の違いがあるのでしょうか?

それは、この2つが異なる成り立ちによって広まっていったためです。メガビタミン健康法もオーソモレキュラー療法も、元々は同じ分子栄養学を参考にしていますが、それぞれ成り立ちが異なります。メガビタミン健康法とオーソモレキュラー療法の根本的な違いを理解するためには、この両者の成り立ちを知ることが重要です。



※この記事は、下記記事から一部を抜粋・改編したものです。記事全文は下記記事をご覧下さい。元記事はこちら↓


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