見出し画像

#2 分子栄養学とメガビタミン健康法の違いとは? メガビタミン健康法とオーソモレキュラー療法は全くの別モノです!

オーソモレキュラー療法とメガビタミン健康法のそれぞれの成り立ち

オーソモレキュラー療法とメガビタミン健康法それぞれが誕生した理由を知る上で、まずは分子栄養学の歴史を理解することが重要です。

分子整合栄養医学(ぶんしせいごうえいよういがく)とは、食物から摂取した栄養素や食品成分が、体内でどのように働くかを分子レベルで解明する学問のことです。分子整合栄養医学は、20世紀後半に北米で活躍した2名の科学者、ライナス・ポーリング博士(1901-1994 年)とエイブラム・ホッファー博士(1917- 2009 年)により確立されました。

現代の医学では病気を予防したり治療を行うことが目的なのに対し、分子整合栄養医学では、私たちの身体がもつ本来の力を最大限に引き出し、オプティマムヘルス(単に病気を予防するだけに限らず、心身ともに最高・最善の健康状態)の実現を目指す事が最大の目的です。

分子整合栄養医学は、人によって分子栄養学(ぶんしえいようがく)やオーソモレキュラー療法、オーソモレキュラーニュートリション、栄養療法などと呼ばれることもありますが、基本的にどれも同じものを指しています。

これら言葉の利用傾向としては、基礎理論である座学に対して分子栄養学や分子整合栄養医学などと呼ぶことが多く、対してクリニック等で提供している分子整合栄養医学を元にしたサービスに対しては、オーソモレキュラー療法や栄養療法と呼ばれる傾向にある印象です。

このサイトでも、わかりやすく解説するために分子整合栄養医学の基礎理論を解説する場面においては「分子栄養学」とし、クリニックで提供されている分子整合栄養医学を元にしたサービスを解説する場面においては「オーソモレキュラー療法」という表現を用いています。

オーソモレキュラー”Orthomolecular”という言葉の意味は、ギリシャ語の「正しい」という意味に由来するortho(正常な)と molecule(分子)を組み合わせた造語です。この言葉は、ノーベル賞受賞者でもあり、分子栄養学の第一人者であるライナス・ポーリング博士が提唱しました。

分子整合栄養の理念多くの疾患は、体内の分子が本来あるべき正常な状態ではなくなる事と考え、分子を正常化するために不足している栄養素を至適量補給することによって自然治癒力を高め、病態改善が得られる。

ノーベル化学賞受賞 ライナス・ポーリング博士

ポーリング博士は、自身が研究する鎌状赤血球症という病気の背景に、ヘモグロビン分子の異常が潜んでいることを発見し、「分子病」という病気の概念を新たに確立したことで知られています。

鎌状赤血球症とは、赤血球が本来丸いお餅の真ん中をへこませたようなへん平な形をしているのに対し、草を刈る鎌のような三日月に変形してしまう病気です。赤血球は全身に酸素を運ぶ役割を担っていて、本来のへん平な形をしていれば、細い毛細血管内でも柔軟に形を変えて通り抜けることが出来ます。

しかし、赤血球が三日月型に変形してしまうと、毛細血管など細い血管が通れなくなって詰まってしまい、壊れやすくなってしまいます。その結果、慢性溶血性貧血、慢性疲労、疼痛、臓器障害など、さまざまな症状につながってしまうのです。

ポーリング博士は、この鎌状赤血球症という病気の背景に、赤血球の中のヘモグロビン分子の異常が潜んでいることを発見しました。ヘモグロビンは、アミノ酸など様々な分子が組み合わさって出来ています。このヘモグロビンに含まれるたった1つのアミノ酸分子の違いが、鎌状赤血球症の原因となるのです。この発見こそが、分子の乱れが人間の病気の原因になることを世界で初めて示した瞬間でした。

それ以降、ポーリング博士は自身の研究を通じて「生体内の分子の乱れが病気の発症に関与しているのではないか」と考えるようになります。そして、前述した「多くの疾患は、体内の分子が本来あるべき正常な状態ではなくなる事と考え、分子を正常化するために不足している栄養素を至適量補給することによって自然治癒力を高め、病態改善が得られる」事を提唱したのです。

これは、私たちの身体の中に正常にあるべき分子(molecule)を至適濃度に保つ(ortho)充分量の栄養素(nutrition)を摂取し、それを適切に消化・吸収・代謝することによって生体機能が向上し、病態改善が得られるという理論です。

ここで言う分子とは、私達が普段摂取しているタンパク質や脂質、ビタミンやミネラルなどの栄養素のことを指しています。例えば、私達の身体は200種類以上、およそ数十兆個の細胞が集まって出来た細胞の集合体です。これら細胞が集まることで心臓や脳、肺や血管、皮膚や筋肉などの組織が作られ、組織が集まることによって私達の身体が作られています。

では、この細胞自体を作ったり、動かしたりするエネルギー源や材料は一体何なのでしょうか?

これこそが、「タンパク質」「脂質」「糖質」「ビタミン」「ミネラル」などの栄養素(分子)であり、生命活動を営むために欠かせない成分のことです。

私達の皮膚や組織などの細胞を一つ一つもっと深く見ていくと、やがてこれ以上小さく見ることが出来ない「分子」という状態になります。

分子はビタミンやミネラル、アミノ酸などの分子(栄養素)のことで、これら分子(栄養素)が集まって構成された物が細胞です。

そして細胞は、糖質や脂質などの分子(栄養素)をエネルギーとして利用することで体温を作り出したり、身体を動かしたりしています。

私達の筋肉や臓器、骨なども、タンパク質やミネラル等で作られている事はご存じですよね。これらタンパク質やミネラル、糖質や脂質などは、胃や腸などの消化管を通じて消化(繋がった分子をバラバラに)した後、血管を通って細胞に必要な分子が送り届けられています。

つまり、私達は食事を通じて細胞に必要な分子(栄養素)を得て、組織の機能を維持し、生命活動を行っているのです。もし、この時に胃や腸などの消化管に問題があったり、食事の内容やバランスが悪くなったりしていると、体内の分子(栄養素)の量やバランスが乱れてしまい、細胞の正常な働きが出来なくなってしまいます。

この乱れた分子(栄養素)を個人個人、必要な量を補給することで、細胞の働きを本来あるべき状態に整え、病態の改善や予防、オプティマムヘルス(心身ともに最高・最善の健康状態)を目指すのが分子栄養学です。


メガビタミン健康法は、一冊の本からブームに

そして、メガビタミン健康法は、一冊の本からブームとなります。メガビタミンに関しては複数の方が書籍を出版していますが、その中でも精神科医である藤川徳美先生が書いた本が有名です。

具体的には、2018年11月に発売された「うつ消しごはん」(藤川徳美著)や、2020年11月に発売された「心と体を強くする! メガビタミン健康法 」(藤川徳美著)という本によって、メガビタミン健康法が大きく知れ渡るようになりました。

この他にも、「薬に頼らず子どもの多動・学習障害をなくす方法」(藤川徳美著)や「お金をかけないアンチエイジング! 若さを保つ栄養メソッド」(藤川徳美著)など数々の書籍を出版しています。これら分子栄養学について藤川徳美先生は、主にホッファー博士が書いた本など書籍で学んでいるようです。(参考;https://ameblo.jp/kotetsutokumi/entry-12599647084.html)

また、メガビタミンに関しては他の方も本を出版しており、Amazon.co.jpでは小西伸也 著による「超簡単 メガビタミン入門」や「高タンパク食で小学生・中学生を元気に」三石 巌(著)による「三石巌全業績 15 DNAとメガビタミン 」など多数の書籍が販売されています。

基本的にメガビタミンというと、前述した「ATPセット」などの情報を元に、主に症状に対して海外サプリメントを使ってメガドーズを行っていくことが主流となっています。

そして、メガビタミン健康法では、高額な血液検査を受ける必要も無し、高額なサプリメントを使用する必要は無しと言われており、サプリメントをメガドーズすることによって、自分で不調が改善出来るとされています。

メガビタミン健康法は、個人でも手軽に安く出来ることから、このような書籍が元となって多くの人に知れ渡るようになりました。インターネットやSNS上では、メガビタミン健康法に関する情報発信を行っている方も多く、更に認知度が広まっています。

では、対するオーソモレキュラー療法の方は、どのような成り立ちがあるのでしょうか? オーソモレキュラー療法では、メガビタミン健康法と違って血液検査を行い、その結果を基に専用のサプリメントで栄養補給を行っていくものになります。



※この記事は、下記記事から一部を抜粋・改編したものです。記事全文は下記記事をご覧下さい。元記事はこちら↓



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?