見出し画像

#6 保険診療でオーソモレキュラー療法は出来る? 保険診療とオーソモレキュラー療法の違い、薬とサプリメントの違いとは

薬とサプリメントの具体的な違い。同じように見える物でも何が違う?④

薬で使われるビタミンEと分子栄養学実践専用サプリメントのビタミンEは何が違う?

次に、薬で処方されるビタミンE製剤と、分子栄養学実践専用サプリメントのビタミンEの違いについてです。

お薬で使われるビタミンE製剤は、主に「動脈硬化」など虚血性疾患のリスクが高い方に処方されています。動脈硬化とは、簡単に言うと「血管が硬くなってしまい、柔軟性がなくなってしまった状態」の事です。

この原因としては、酸化したLDLコレステロールなど、いわゆる「悪玉コレステロール」が血管壁にこびりつき、血管が狭くなって血管が詰まってしまうことが関係しています。

特に、血管が狭くなったり硬くなったりすると血流が悪くなり、血管壁に傷が付いてしまいます。この傷を修復するために血栓が形成され、これが積み重なることで血管が詰まってしまい、動脈硬化に至る原因になると考えられています。

動脈硬化になると、脳や心臓、腎臓など重要な臓器への血流が途絶えてしまうため、脳梗塞や心筋梗塞などの病気を引き起こします。また、最悪の場合は死亡したり、一命を取り留めたとしても半身不随などの後遺症が残ってしまったりと、非常に恐ろしい病気の1つです。

ビタミンEは、この動脈硬化や虚血性疾患を予防し、血流を改善する作用があります。そのため、動脈硬化のリスクが高い方には、ビタミンEのお薬が処方されているのです。

では、病院で処方されるビタミンEでオーソモレキュラー療法は出来るのでしょうか? 同じビタミンEなら、サプリメントのビタミンEよりも病院で処方されるビタミンEの方が効果が高そうな感じがしますよね。

ですが、病院で処方されるビタミンEでは、オーソモレキュラー療法を実践することは出来ません。

なぜなら、病院で処方されるビタミンE製剤では、栄養補給を目的とした用途では使えないためです。また、動脈硬化対策や血液をサラサラにするために重要な「抗酸化作用」も殆ど期待出来ません

実は、一言でビタミンEといっても、様々な種類や化学構造のものがあります。特に大きな違いとしては、「天然由来」か「天然型」か「合成型」かの違いです。

天然由来とは、食品に含まれる自然な形のビタミンEのことで、最も抗酸化作用と生理活性が期待出来る形のものです。こちらは例えば、当方が推奨するオーソモレキュラー療法実践専用サプリメントに配合されています。

他にも「天然型」と「合成型」があり、こちらは人工的に合成して作られたか、人工的に加工して作られたもののことで、お薬に含まれているビタミンEは、天然型もしくは合成型のビタミンEが主に使われています。また、ドラッグストアなどで売られているサプリメントや、海外サプリメントも、「天然型」もしくは「合成型」のビタミンEが配合されている物が殆どです。

これらの大きな違いは、ビタミンEとしての効果にあります。ビタミンEには主に「抗酸化作用」「血行促進作用」「赤血球膜の安定化」「ホルモン活性作用」などがあり、様々な効果があることから若返りのビタミンや血管ビタミン、妊娠ビタミンや心臓ビタミン、スポーツビタミン、自律神経やホルモン調節ビタミンなどとも呼ばれています。これらビタミンEの働き全般を指すのが「生理活性」です。

実は、お薬に使われている天然型や合成型では、このビタミンEにおける生理活性や抗酸化作用は殆ど期待出来ません。

理由は主に二つあり、一つは合成されたビタミンEや人工的に加工されたビタミンEでは、ビタミンEを酸化から守るために「エステル化」と呼ばれる加工がされていることと、単品のd-α-トコフェロールしか含まれていない事です。

エステル化とは、いわゆる「コーティング」のようなもので、抗酸化力を発揮する水酸基の部分をアルコールや酢酸などの物質と結合させて安定化する加工のことです。この水酸基をエステル化させることによって、空気や光などからビタミンEが酸化されないよう防いでいます。

しかし、このエステル化を行ってしまうと、デメリットも大きくなってしまいます。それが、先ほどの「抗酸化力の低下」です。エステル化を行うと、水酸基から「H」の水素が外れにくくなってしまうため、十分な抗酸化力は望めません。このことから、人工的に加工されたビタミンEや合成ビタミンEが体内に入っても、本来の栄養素としての働きが十分に行えなくなってしまうのです。

例えば、薬として処方されるビタミンEでは「酢酸 d-α-トコフェロール」や「酢酸dl-α-トコフェロール」が配合されています。これらは名前に「酢酸」が付いている事からも分かるように、ビタミンEを酸化から守るために「酢酸」を結合した「エステル化」がされています。

このようなビタミンEでは抗酸化力が殆ど期待出来ないことから、動脈硬化や虚血性疾患の予防に有効な抗酸化作用は殆ど期待出来ません。これがお薬のビタミンEにおける抗酸化作用が殆ど期待出来ない理由です。

もう一つの理由としては、お薬や市販されているビタミンEサプリメントの殆どには、単品のd-α-トコフェロールしか含まれていないことが挙げられます。

ビタミンEには大きく分けて「トコフェロール」と「トコトリエノール」があり、この二つにはそれぞれα(アルファ)、β(ベータ)、γ(ガンマ)、δ(デルタ)の4種類、計8種類が存在しています。少し分かりにくいですが、α-トコフェロールやα-トコトリエノール、β-トコフェロールやβトコトリエノールなど、それぞれのトコフェロールやトコトリエノールに種類があり、合計で8種類あるということですね。

このトコフェロールとトコトリエノールの大きな違いは、分子構造の違いと、その作用の違いです。トコトリエノールは炭素同士の二重結合があり、この二重結合がある事で細胞膜への侵入が容易に出来ます。そのため、トコトリエノールはトコフェロールと比べて速効性があり、生理活性がトコフェロールよりも高いという特徴があります。

対してトコフェロールは、炭素同士の二重結合が無いことから細胞膜への進入速度が遅く、代わりに持続性があるのが特徴です。

また、α(アルファ)、β(ベータ)、γ(ガンマ)、δ(デルタ)の4種類はそれぞれ生理活性や抗酸化力に違いがあります。最も生理活性が強いのはα型で、次にβ型、δ型、γ型と続きます。この生理活性は、主に妊娠をサポートする力やホルモンの活性作用などです。

生理活性の一つである抗酸化作用については、γ型が最も強く、次にδ型、β型、α型と続きます。つまり、α型のビタミンEが最も生理活性が高く、抗酸化作用についてはγ型のビタミンEが最も高いということになります。

では、お薬や市販されているサプリメントのビタミンEはどうかというと、これら様々な種類のビタミンEのうち、α-トコフェロールのみしか含まれていません。

実は、ビタミンEはこれら8種類が補い合って作用していることから、8種類すべてをバランス良く摂取する事が大切です。

例えば、持続性のある「トコフェロール」と速効性のある「トコトリエノール」両方を同時に摂取する事で、体内のビタミンE濃度を高濃度で維持することが可能になります。

また、α型のビタミンEが最も生理活性が高く、抗酸化作用についてはγ型のビタミンEが最も高いことから、α(アルファ)、β(ベータ)、γ(ガンマ)、δ(デルタ)の4種類、それぞれ8種類すべてのビタミンEをバランス良く摂取する事が、最も生理活性と抗酸化作用が期待出来る方法です。

つまり、お薬や市販されているサプリメントのビタミンEでは、α-トコフェロールのみしか含まれていないことから、ビタミンEが本来持っている生理活性と抗酸化作用は殆ど期待出来ないのです。

対して、当方が推奨するオーソモレキュラー療法実践専用サプリメントでは天然由来の植物成分から抽出していることから、α(アルファ)、β(ベータ)、γ(ガンマ)、δ(デルタ)を含むすべてのトコフェロール、トコトリエノール8種類が含まれています。

食品に含まれているビタミンEにはもともと複数のビタミンEが含まれていて、α-トコフェロール単品のみが含まれているなんてことはありません。そのため、食品由来の成分から抽出した天然由来のビタミンEサプリメントでは、8種類すべてのビタミンEが含まれています。

また、当方が推奨する分子栄養学実践専用サプリメントのビタミンEでは、脂溶性ビタミンが上手く吸収できない方のために「ミセル加工」が施されているものもあります。ミセル加工とは、水に混ざりにくい油を、水に混ざりやすくした加工のことです。

例えば、脂質や脂溶性ビタミンは消化液や血液などの体液と混ざりにくく、そのままでは吸収・運搬することが出来ません。これを解決するために、私達の体内では「胆のう」から分泌される胆汁によって、脂質と水分を混ざりやすくする「乳化」という仕組みが備わっています。この乳化の仕組みは、女性の方であればメイク落としを想像していただければイメージしやすいかと思います。

そして、この乳化能力は、加齢やストレスなど様々な要因によって低下してしまう場合があります。このような場合、いくら脂溶性のビタミンを摂っても、体内でうまく乳化することが出来ないため、十分に吸収することが出来ません。

当方が推奨する分子栄養学実践専用サプリメントの場合では、このような加齢やストレスなど様々な要因によって乳化能力が低下している方のために、予め乳化を施した「ミセル加工」(自己乳化型加工)を施した製品が用意されています。

また、天然に存在するビタミンEはそのままの状態だと光や酸素の影響で酸化、劣化してしまうため、それらから有効成分を守るために天然由来の成分を使って酸化・劣化しないよう保護しています。このような加工がされていることも、当方が推奨する分子栄養学実践専用サプリメントの特徴です。

このような違いがあることから、病院で処方されるビタミンEやドラッグストアなどで市販されているビタミンEを使ってオーソモレキュラー療法を行う事は出来ません。

ビタミンEというとみんな同じように見えるかもしれませんが、比べてみるとオーソモレキュラー療法と保険診療では、使う材料ややり方、考え方に大きな違いがあることが分かりますね。




※この記事は、下記記事から一部を抜粋・改編したものです。記事全文は下記記事をご覧下さい。元記事はこちら↓

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?