見出し画像

#4 分子整合栄養医学と医学の違いとは? それぞれの役割と違いについて解説

分子栄養学では、なぜ大量の栄養素をサプリメントで摂取するのか? ドーズレスポンスと至適量の栄養補給を行う重要性

ここまで、一般的な医学と分子栄養学の違いについて解説してきました。分子栄養学は、各臓器の働きを理解し、体内で栄養素がどのように働いているかを分子レベルで解明する学問です。

そして、個体差に応じて最適な栄養摂取の量をサプリメント(分子栄養学実践専用サプリメント)を用いてアプローチしていきます。

ただ、この時に「サプリメントなんか使わなくても、食事から必要な栄養素を摂取すればいいのでは?」と思う方も多いですよね。

お医者さんの中には、サプリメントに反対している方も多く、「必要な栄養素は食事から摂りましょう」とアドバイスしている方も多くいます。また、食事療法など医師の指導による食事改善と薬物療法などを併せれば、それで十分だと考えている方も少なくありません。

さらに、分子栄養学では一般的な栄養学と比べて遙かに高容量の栄養素をサプリメントで補給していきます。この時、「過剰摂取の危険性が高いのでは」という意見を頂くことも多くあります。

これらに対し、まずは分子栄養学が一般的な栄養学や医師指導の下に行われる食事療法とは全く違うこと、そして分子栄養学では必要量や個体差に応じて「ドーズレスポンス」による栄養補給や「至適量」の栄養摂取を行っていることを理解することが大切です。

ドーズレスポンスとは、一定以上の栄養素量をまとめて摂る事で薬理効果が得られる量のことです。至適量とは、その人が持っている酵素の働きなどを考慮し、一人一人に最適な栄養の摂取量を行う事です。この2つを行うに当たっては、食事から得られる栄養素に比べて遙かに多くの栄養素量が必要となります。

このため、特定の栄養素をピンポイントで摂取出来るサプリメントを用いるほうが安全です。もし、特定の栄養素を大量に摂取するために、食事だけで分子栄養学を実践しようとすると、逆に脂質や炭水化物、糖質などの余分な栄養素も多く摂取する事になってしまいます。

これでは逆に栄養バランスが崩れてしまい、生体内の分子の乱れに繋がりかねません。これを防ぐためにも、分子栄養学を実践する際は必ずサプリメント(分子栄養学実践専用サプリメント)を用いて行うことが必要です。


一般的な栄養学や食事療法と、分子栄養学の違い

では、一般的な栄養学や医師指導の下に行われる食事療法では、なぜ分子栄養学で必要とされる栄養素の量が摂取出来ないのでしょうか?

これについて、一般的な栄養学では「この栄養が足りないとこんな病気になるので、その病気にならないようにこの栄養素を十分に摂りましょう」というのが一般的な栄養学です。主に健康な人を対象に、病気の予防や欠乏症を予防とした栄養素の摂取量を定めたものがこれに当たります。

この栄養学では、個人差に応じた栄養素の摂取量は考慮されていないので、一般的な栄養学だけで人それぞれ必要な栄養素の量を補うのは不可能です。

一般的な栄養学と分子栄養学の違いについては、前回の記事で詳しく解説していますので併せてご覧下さい。

次に食事療法です。食事療法は、主に糖尿病などの病気を改善させることを目的に、カロリー制限食を指導したり、低GI食を指導したり、食生活の改善を目的としたものです。食事をコントロールする事で、病気の予防や健康を維持することを目指します。こちらも、分子栄養学のような個別の栄養摂取量については考慮されていません。

対して分子栄養学では、食事だけでは補えない栄養素をサプリメント(分子栄養学実践専用サプリメント)で補給し、身体本来の機能を取り戻す療法です。


食事療法と分子栄養学の具体的な違いについては、おおよそ次のようになります。

食事療法では、基本的に特定の病気に対して行われるものですので、その他の栄養素のバランスやその人の消化吸収能力の考慮は行われていません。また、バランスの良い食事内容などをアドバイスされることがありますが、その食事に含まれている栄養素が、その人にとって本当に必要な量が摂れているとは限らないわけです。

対して、分子栄養学ではその人の消化吸収能力を考慮し、その人に合わせた栄養アプローチを行います。食べた食べ物はしっかり消化・吸収されて初めて栄養となるので、いくらバランスの良い食事を行っても、食べた食べ物が消化吸収されなければ全く意味がありません。

さらに、本来、個人ごとに必要な栄養素量は、年齢、性別、身体活動の程度、病態の有無などによって異なっています。栄養補給を行う際は、この個体差を考慮することが最も大切です。

この個人差に合わせた栄養アプローチを行うために必要なのが、ドーズレスポンスと至適量の栄養補給です。


分子栄養学の基本①『病態に応じた摂取量の考慮とドーズレスポンス』

例えば、一般的な栄養学では、「貧血」や「ガン」などの病態に応じた栄養摂取量などは考慮しないのに対し、分子栄養学ではこれら病態や個人差に合わせた栄養摂取量やアプローチを行います。

一般的な栄養学の指標として用いられている2020年版食事摂取基準の場合、ビタミンCの摂取量で言えば、成人では1日の推奨量が100mgと設定されています。これはあくまで健康な人が最低限摂取した方が良い目安であって、病態を抱えた方の目安量ではありません。

対して分子栄養学では、ビタミンCの摂取量についてもその人の状態や病気の状態などによって摂取量が大きく異なることが特徴です。人によっては1回に2000mg〜3000mgのビタミンCを摂取する事もありますし、場合によっては更に高濃度のビタミンCを点滴で入れる場合もあります。

これは、活動量が大きいときや、ストレスがかかったとき、風邪など病気のときでは栄養素の消費量が大きくなることから、栄養素の必要量が多くなるためです。また、慢性的な病気(糖尿病やアレルギー疾患、肝臓病など)やガンの時などは、更に必要量が大きくなります。

また、例え同一人物だとしても、加齢や生活習慣の変化、病態の変化、体調の変化は常に起こっています。日々の状態に合わせて必要量の栄養素を摂取していくことが、分子栄養学の基本です。

そして、栄養素による改善の際には、一定以上の量を補給していくことも重要です。特に栄養素においては、摂取量が少ないと殆ど身体に変化が現れないことから、栄養摂取の効果は用量に大きく依存しています。この一定以上の量を摂取することで栄養素の効果を発揮させることを「ドーズレスポンス」と言います。

例えばビタミンC(アスコルビン酸)の場合、血流に乗って全身の細胞に運ばれて抗酸化作用等を発揮するためには、ビタミンCの血中濃度を一定以上に維持することが必要です。

この抗酸化作用を発揮するためには、ビタミンCを一度に1,000mg以上摂取して初めて血中濃度の上昇が見られることが分かっています。ただし、ビタミンCは水溶性ビタミンのため、摂取後3〜4時間で血中濃度が最大となり、その後は尿と共に徐々に体外へ排泄されてしまいます。

そのため、ビタミンCの血中濃度を維持するためには、一度にある程度まとまった量(1,000mg以上)を定期的に補給することが必要です。

更に、ビタミンCには美白作用や抗ウィルス作用、ヒスタミン抑制作用、抗がん作用などがあり、抗ウィルス作用が期待出来るビタミンCの血中濃度はおよそ10-15mg/dL、ヒスタミン抑制作用を発揮する血中濃度は88mg/dL程度と言われています。

このような違いがあることから、ビタミンCの摂取量はその人の状態や目的によっても大きく変わってきます。また、その人の状態や生活習慣、年齢や性別、酵素と基質の親和性の個体差などによっても摂取量は異なります。この状態や目的に応じて、最適な栄養素の量を摂取すること。これが至適量と呼ばれる量です。

分子栄養学では、このような病態や個人差を考慮した栄養の摂取を行っていく事が特徴です。一見すると過剰摂取のように思える量を補給しますが、必要量や個体差に応じて摂取量を調節するので過剰摂取の心配は殆どありません。また、不足している栄養素は定期的に血液検査によって把握し、元々不足している栄養素を補っていくので過剰摂取に陥るリスクも低いです。

対して一般的な栄養学や食事療法では、このような病態や個人差は考慮せず、あくまで欠乏症の予防や生活習慣病の予防を行う事が目的になります。この点が分子栄養学と大きく異なる点です。



※この記事は、下記記事から一部を抜粋・改編したものです。記事全文は下記記事をご覧下さい。元記事はこちら↓



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?