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#2 保険診療でオーソモレキュラー療法は出来る? 保険診療とオーソモレキュラー療法の違い、薬とサプリメントの違いとは

オーソモレキュラー療法は保険診療で受けられる? 検査代やサプリメントは、何故あんなに高いのか②

サプリメントの代わりに、処方された薬でオーソモレキュラー療法は実践できる?

では、オーソモレキュラー療法の検査が保険診療や健康診断の検査で代用できないとして、処方箋の薬をサプリメントの代わりとして使用することは出来ないのでしょうか?

病院で処方される薬の中には、カルシウム製剤やマグネシウム製剤、鉄剤、ビタミンAやビタミンB、ビタミンD、ビタミンE製剤など各種ビタミンミネラルに加え、血液をサラサラにするためのEPA製剤などがあります。

これらを病院で処方して貰えば、わざわざサプリメントなんか買わなくても、保険適用の処方箋でオーソモレキュラー療法が出来そうな気がしますよね。

例えば、病院で行われている骨粗しょう症の治療においては、カルシウム製剤やビタミンD製剤、ビタミンK製剤、破骨細胞の働きを抑える「骨吸収抑制剤」などのお薬が処方されています。対して、オーソモレキュラー療法でも骨粗しょう症対策としてカルシウム・マグネシウムやビタミンD、ビタミンKなどのサプリメントが用いられています。

このように見ると、処方箋の薬でオーソモレキュラー療法が出来るのでは?と感じますよね。また、アプローチ内容が殆ど同じ事から、オーソモレキュラー療法と保険診療で一体何が違うの?と感じる方も多いです。

しかし、薬とサプリメント、オーソモレキュラー療法と一般的な医療では目的も役割も全く異なります。基本的に、処方される薬を使ってオーソモレキュラー療法を行う事は出来ません。

何故かというと、薬と栄養素ではその役割が異なります。薬の役割は、症状を抑えたり、病気の悪化を防ぐためのものです。対して栄養素の役割は、壊れた細胞を修復するための材料として補給する物になります。

先ほどの骨粗しょう症の例で言えば、骨を壊してしまう破骨細胞の働きを強制的に薬で抑えたり、骨を形成する骨芽細胞の働きを薬によって強制的にコントロールしたりするのが現代の医療であり、医学です。

このお薬によるアプローチでは、体内で行われている代謝を薬によって強制的にコントロールする事から、必ず「副作用」が伴います。分かりやすい例で言えば、ビタミンD製剤は食品に含まれるビタミンDに比べて、過剰摂取による高カルシウム血症や高カルシウム尿症のリスクが高く、他にも吐き気や下痢などの症状を引き起こす可能性があります。

これは、ビタミンD製剤に含まれるビタミンDが「活性型」であるためです。食品に含まれているビタミンDに比べて働きが強いことから、ビタミンD製剤の使用は医師の管理下の元、慎重に投与量が決められて処方が行われています。

対して栄養素の場合、薬と比べて重篤な副作用はあまりありません。食品やサプリメントに含まれている栄養素は、薬と違って生体内で自由にコントロールする事が出来ます。この、体内での栄養素の働きを身体にまかせるのか、それとも強制的にコントロールするのかが、薬と栄養素の大きな違いです。


オーソモレキュラー療法と薬物療法の違い

薬物療法

  • 既に活性化したもの(薬物)を投与する

  • 栄養素や体内での働きを強制的にコントロールする

  • 速効性がある、誰にでも同じように効果が期待出来る

→副作用がある

オーソモレキュラー療法

  • 天然物を投与する

  • 栄養素の利用は生体内のコントロールに任せる

  • 速効性は無いが、人それぞれにあった効果が期待出来る。

→副作用が少ない


では、一見すると同じ栄養素が含まれているように感じる薬とサプリメントですが、具体的にどのような違いがあるのでしょうか?

薬の中にもビタミンA製剤やビタミンD製剤など栄養素の名前が付いたお薬がありますし、サプリメントの中にもビタミンAやビタミンDなどがあります。同じ名前が付いているので、どちらも同じように感じますよね。

しかし、薬とサプリメントではその働きが全く異なります。その理由は、薬に含まれているのが「活性型」であるのに対し、食品やサプリメントに含まれているのは「前駆体」であるためです。

栄養素には、同じように見えても「活性型」と「前駆体」があります。食品などに含まれる栄養素は、体内に入ってもそのままの形では働くことが出来ません。いったん身体の中で働ける形(活性型)に変えられてから、やっと働けるようになります。

前駆体は、この活性型になる前の状態を言い、食品やサプリメントに含まれる栄養素のことです。体内では、酵素の働きによって必要に応じて前駆体から活性型に変換されて利用されています。対して活性型の栄養素とは、骨粗しょう症の治療に用いられているビタミンD製剤や、ニキビの治療薬として使われている「ビタミンA製剤」などです。お薬で使われる栄養素は、既に活性型として配合されているため、速効性があり、誰に対しても同じように効果が期待出来ます。

例えば、ビタミンAで例えると前駆体は緑黄色野菜等に含まれる「βカロテン」が前駆体です。対してニキビなどの治療に使われているのは「レチノイン酸」と呼ばれるビタミンAの活性型です。

このように、同じ栄養素に見える薬とサプリメントでは、その働きも目的も全く異なります。保険診療では活性型の薬を投与して体内での働きを強制的にコントロールするのに対し、オーソモレキュラー療法では前駆体の栄養素であるサプリメントを用いて、栄養素の利用は生体内のコントロールに任せます。

この体内での栄養素の働きを理解し、「なぜ栄養素が不足してしまったのか?」や「体内で栄養素がきちんと働くためにはどうすればいいか?」を考えてアプローチを行っていくのがオーソモレキュラー療法であり、保険診療で処方される薬との大きな違いです。



※この記事は、下記記事から一部を抜粋・改編したものです。記事全文は下記記事をご覧下さい。元記事はこちら↓


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