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#8 分子栄養学で使われるサプリメントと、海外サプリメントなど一般的なサプリメントとの違い

分子栄養学実践専用サプリメントは、正しく分子栄養学を実践して初めて意味がある。分子栄養学を自ら学んで実践する重要性と、定期的な血液検査を行う重要性。

最後に、分子栄養学を正しく実践することの重要性です。前回の記事でも少し触れましたが、いくら質の良いサプリメントであっても、その使い方が悪かったら全く意味がありません。

例えば、本来必要とされる量よりもほんの少量しか摂取しなかったり、必要な栄養素の種類を十分に組み合わせて摂取しなかったり、オーソモレキュラー療法の血液検査を受けずに当てずっぽうで行ったりするなどです。

このようなやり方では、単に質の良いサプリメントを摂取しているだけですので、分子栄養学の実践とは言えません。分子栄養学実践専用サプリメントは、その名の通り分子栄養学を実践するためにあります。

そのため、分子栄養学実践専用サプリメントを使用する際は、きちんと分子栄養学を学び、正しく分子栄養学を実践することが大切です。

正しい分子栄養学の具体例としては、「ドーズレスポンス」や個人差に合わせた「至適量の栄養補給」などがあります。ドーズレスポンスとは、一定以上の量を一度にまとめて摂取することで栄養素の効果を発揮させることです。

特に栄養療法においては、摂取量が少ないと血中濃度が上がらず、ほとんど効果が得られないことから、栄養摂取の効果は用量に大きく依存しています。

例えばビタミンC(アスコルビン酸)の場合、血流に乗って全身の細胞に運ばれて抗酸化作用等を発揮するためには、ビタミンCの血中濃度を一定以上に維持することが必要です。

この抗酸化作用を発揮するためには、ビタミンCを一度に1,000mg以上摂取して初めて血中濃度の上昇が見られることが分かっています。ただし、ビタミンCは水溶性ビタミンのため、摂取後3〜4時間で血中濃度が最大となり、その後は尿と共に徐々に体外へ排泄されてしまいます。

そのため、ビタミンCの血中濃度を維持するためには、一度にある程度まとまった量(1,000mg以上)を定期的に補給することが必要です。

更に、ビタミンCには美白作用や抗ウィルス作用、ヒスタミン抑制作用、抗がん作用などがあり、抗ウィルス作用が期待出来るビタミンCの血中濃度はおよそ10-15mg/dL、ヒスタミン抑制作用を発揮する血中濃度は88mg/dL程度と言われています。

このような違いがあることから、ビタミンCの摂取量はその人の状態や目的によっても大きく変わってきます。また、その人の状態や生活習慣、年齢や性別、酵素と基質の親和性の個体差などによっても摂取量は異なります。

このことから、例えばビタミンCを1回に100mg〜200mgしか摂らないといったような少量の補給では、分子栄養学を実践しているとは言えません。分子栄養学を実践する際は、一度にある程度まとまった量を継続して補給していくことが必要です。

そして、例え他の人と同じ病気を抱えていたとしても、栄養素の必要量には個人差があることから、栄養素の必要量は千差万別です。同じ病気を抱えていたとしても、その人の年齢や性別、酵素活性や生活習慣、目指している目的などによっても必要な栄養素の量は変わってきます。

例えば、身体を動かすことが多い人も居れば、身体をあまり動かさない人も居ます。ストレスが多い人も居れば、ストレスなく過ごしている人も居ます。当然、身体を動かす量が多い人や、ストレスが多い人ほど、より多くの栄養素の摂取が必要です。

また、摂取した栄養素(ビタミンなどの補酵素)は体内で酵素と結びついて初めて働けるようになります。この酵素と栄養素(ビタミンなどの補酵素)が結合するために必要な結合力や、結合出来る量(親和性)は、人によって異なっています。

そのため、補酵素と酵素の親和性の個体差からビタミンの必要量にも大きな個体差が生じます。その差は、最大1:20にも及ぶとされ、ちょっと栄養補給すれば足りる人も居れば、摂っても摂っても全く足りない人もいるのです。

加えて、人によっては「もっと筋肉を付けたい」「もっと肌が綺麗になりたい」などの要望があったり、目標を掲げていたりする方もいます。このような個人的な要望や目標なども考慮し、個人差にあわせた最適な栄養素の量を摂取すること。これを「至適量」の栄養補給と言います。

分子栄養学は、一人一人にあわせた最適な分子栄養学的アプローチを行って初めて意味があります。このような正しい分子栄養学的アプローチを行うためには、それぞれが分子栄養学を学び、理解することと、オーソモレキュラー療法の血液検査を定期的に受けて身体の栄養状態を正確に把握することが重要です。

例えば、当方が推奨するオーソモレキュラー療法の血液検査では、口腔内の状態を確認するための唾液検査と尿検査を含めた全60項目以上の検査を行っています。

この検査では、肝臓で作られている酵素の量や、血清タンパク量、血球量などを調べることにより、体内でタンパク質やビタミン、ミネラル等が十分に足りているかどうかを調べています。また、血糖値や脂質代謝関連などを見る事によって、血液の状態や摂取エネルギーが足りているかどうかも判断しています。これらは単一の項目で見るのでは無く、複数を組み合わせて総合的に見る事が重要です。

なぜ、このような60項目以上にも及ぶ血液検査を実施するのかというと、保険診療での血液検査や、健康診断の結果では、身体の栄養状態を正確に把握することは出来ないためです。なぜなら、保険診療の検査や健康診断の検査は「病気の発見や経過を観察する物」であって、栄養状態を把握する検査ではありません。

健康保険で行われる検査では、主に病気や病気の疑いがある場合に、その病気の状態を確認したり診断をするために行われています。何か理由が無い限り、検査項目は病気に関連する項目のみしか受ける事は出来ません。

また、健康診断や人間ドック検診で受ける検査は、病気の早期発見を目的に、病気か否かを判断するために行われているものです。こちらのは検査は、保険診療で行われる血液検査と比べて項目自体は多いものの、栄養状態を判断する目的としては行われていません。

そのため、栄養不足によって数値が低すぎたり、基準値ギリギリに収まっているような場合は、健康上問題なしとされてしまうのです。

例えば、コレステロールなどは数値が高いと病気と判断されますよね。反対に、数値が低すぎる場合はむしろ健康で問題が無いと判断されます。また、貧血の場合、ヘモグロビン値が正常範囲ギリギリで収まっていた場合は、貧血と診断されません。

ですが、病気と判断出来る基準値に当てはまっていなくても、数値が低すぎたり基準値ギリギリでは正常とは言えません。数値が低すぎる場合は栄養が不足している可能性がありますし、栄養不足の原因となる消化器系の問題など、何らかの病気が隠れている可能性もあります。

このような目的の違いがあることから、栄養状態を正確に把握するために行われているのがオーソモレキュラー療法の血液検査です。オーソモレキュラー療法の血液検査では、保険診療や人間ドックなどと比べて多くの血液検査項目を調べることで、体内の栄養状態を把握します。

そして、個体差を考慮した複数項目を組み合わせて総合的に見る事で、それぞれに応じた栄養状態を把握し、最適な栄養アプローチを考慮していることが特徴です。これによって一人一人異なった栄養素の種類や必要量量、摂取方法などを解析し、それぞれ異なった最適なアドバイスが行われています。

例えば、当方が推奨するオーソモレキュラー療法の場合では、血液検査を受けた方にレポートを発行しています。このレポートは、血液検査結果や栄養相談シートに基づいて専門医が一人一人を解析し、個別に作成しているものです。

メディカルレポートでは、血液検査結果についての総合評価や解説、前回からの変化などが記載され、現在の身体の状態が分かります。また、栄養レポートでは、血液検査結果の分析に基づく栄養アドバイスが解説されており、どの栄養素をどのくらい摂ったら良いのかが解説されています。

このアドバイスを参考に、分子栄養学実践専用サプリメントを用いて必要な栄養素を補給していくのがオーソモレキュラー療法と呼ばれるものです。

この定期的な血液検査と分子栄養学実践サプリメントはセットで使用するものですので、分子栄養学を実践する際は必ずオーソモレキュラー療法の血液検査も定期的に受けるようにしてください。

ちなみに、分子栄養学に似たものとして「メガビタミン健康法」というものがありますが、メガビタミン健康法はここで言うオーソモレキュラー療法や分子栄養学ではありません。

メガビタミン健康法は、主に症状や病気に対して対処療法的にサプリメントをメガドーズする療法です。こちらは定期的な血液検査や消化吸収能力の考慮などは行わず、とにかく量を摂取することが良しとされています。そのため、自身の消化吸収能力を超えたプロテインの量を飲むなどし、逆に嘔吐や下痢などの体調が悪化する事態に陥ってしまっている方もいます。

また、メガビタミン健康法では、例えば貧血の方に対して「プロテイン」「ビタミンB群」「ビタミンC」「ビタミンE」「アミノ酸キレート鉄」をセットで摂取する事を推奨しています。この時使うサプリメントも市販サプリメントや海外サプリメントなどで、その摂取量も一般的な量と比べて遙かに多い量です。

このようなセットを大量に飲み続けた結果、体内の炎症マーカーでもある血清フェリチン値が異常なまでに上昇するなどのケースも発生しています。このことから、複数の医師からメガビタミン健康法に対しての警鐘が鳴らされたり注意喚起が行われたりするようになってきました。事実、当方にもこのような事態に陥ってしまった方からのご相談を多く頂いております。

基本的に、病気の原因は一人一人異なるため、症状や病態によってアプローチは全く異なることが一般的です。メガビタミン健康法のように、同じ病気や症状に対して全員一律に同じアプローチを行うのでは、分子栄養学とは言えません。

例えば、貧血と一言で言ってもその原因やアプローチは人それぞれです。鉄欠乏性貧血もあれば、亜鉛欠乏性貧血もあり、大急性貧血や小球性貧血、消化管などからの出血が原因で貧血になっている人もいます。このようなその人それぞれの状態を調べ、根本原因からアプローチしていくのが正しい分子栄養学です。貧血だったからと言って単に鉄サプリを飲めば良いというものではありません。

ですので、分子栄養学を実践する時や、分子栄養学実践専用サプリメントを使用するときは、このような間違った情報にも気をつけるようにして下さい。現在ではインターネットやSNSが普及したことにより、様々な情報が飛び交っています。

中には独自理論や間違った情報が発信されている場合もありますので、安易にこのような情報を参考にするのは非常に危険です。時には命の危険が伴う恐れもありますので、くれぐれもご注意下さい。

正しい分子栄養学では、必ずオーソモレキュラー療法の血液検査を定期的に受けることと、分子栄養学実践専用サプリメントを使用する事が推奨されています。分子栄養学を実践する際は、この2つを必ず守って行うようにしましょう。

間違った分子栄養学の情報に注意!

近年、インターネットやSNSが発展したことから、健康に関する様々な情報が飛び交っています。分子栄養学においても、分子栄養学を学べるセミナーや講座が増えた事によって、これらを学んだ人達による情報発信が急激に増えてきました。

このような中で問題となってくるのが、間違った分子栄養学の情報です。分子栄養学の情報の中には間違った情報や、分子栄養学をしっかり理解せずに情報発信されたもの、独自理論を組み合わせたものや、自身の経験のみで語られた客観性、エビデンスのない情報なども発信されています。酷いものでは、全く分子栄養学でも何でも無いのに分子栄養学だと語られているものもあります。

例えば、以下のような情報は間違った分子栄養学の例です。

  • メガドーズ、メガビタミン健康法

  • 食事内容の改善や、特定の食材を摂取するだけで至適量の栄養が得られ、病気が改善するとしているもの

  • この不調にはこの栄養素」といったように、単に不調の症状だけを元に栄養アプローチを行うもの

  • 海外サプリメント、単に安価なサプリメントなど、安全性、有効性が確認されていないサプリメントで分子栄養学の実践をおこなっているもの

  • 前駆体では無く、活性型の栄養素を用いているもの

  • ファスティングと分子栄養学を組み合わせるなど、独自理論が組み合わされたもの

  • 薬は一切使わない、栄養療法だけで病気が治るなど極端なもの

  • 病態や不調の根本原因を調べるための検査に誘導しないなど、栄養欠損となった原因をきちんと調べずに行っているもの

  • 医師免許を持たない者が、血液検査データを扱う、サプリメントを処方する、食事指導を行うなど、医療機関を通さずに分子栄養学の指導を行っているカウンセラー など

このような情報は間違った分子栄養学であり、実践することで病態や体調が悪化するなどむしろ命に関わる危険性があります。事実、当方にもこれら誤った情報を元に実践した方からの健康被害に関するご相談も増えてきました。

現代では個人がSNSで気軽に情報発信が出来る世の中になっています。このような時代だからこそ、間違った分子栄養学の情報にはくれぐれもご注意ください。

分子栄養学で使われるサプリメントと、海外サプリメントなど一般的なサプリメントとの違いまとめ

以上が、分子栄養学で使われるサプリメントと、海外サプリメントなど一般的なサプリメントの違いでした。

一般的なサプリメントは、主に欠乏症の予防や病気の予防、健康増進を目的として作られたものです。あくまで「食品」という位置づけのため、有効成分の効力や消化吸収能の考慮、体内での崩壊などは殆ど考慮されていません。

酷いものでは、体内で全く溶けずに排泄されてしまったり、日本では認可されていない医薬品成分などが混入しているものもあります。

対して、分子栄養学実践専用サプリメントは病態の改善や予防、オプティマムヘルスの推進を目的とし、分子栄養学を実践するために開発されています。分子栄養学では一般的な摂取量よりも遙かに多い量の栄養素を摂取する事から、品質と安全性が第一です。

このため、分子栄養学実践専用サプリメントでは高品質な原材料のみを使用し、体内での崩壊や消化吸収能を考慮するなど、サプリメントの専門家が設計・製造を行っています。併せて、細菌や汚染物質などが混入しているかどうかなどの厳しいチェックも行い、小ロット生産による鮮度の高いサプリメントが作られています。

そして、この分子栄養学実践専用サプリメントを用いて、それぞれの消化吸収能力を考慮したり、病態を考慮したりと、個人個人に合わせた最適な栄養アプローチ(至適量)を行っていくのが分子栄養学であり、オーソモレキュラー療法です。

このような目的と品質の違いが、一般的なサプリメントや海外サプリメントと、分子栄養学実践専用サプリメントの大きな違いになります。

もし、分子栄養学に興味ある方は、是非分子栄養学を学んで実践してみて下さい。分子栄養学については、ここで解説した以外にもまだまだ奥が深く、一生かけても学びきれないほど奥が深い学問です。

分子栄養学を学ぶ際は、間違った情報に注意し、必ず学問として信頼出来る所から学ぶようにしましょう。




※この記事は、下記記事から一部を抜粋・改編したものです。記事全文は下記記事をご覧下さい。元記事はこちら↓


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