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#4 分子栄養学と一般的な栄養学の違いとは? それぞれの違いを具体的に解説

一般的な栄養学と分子栄養学の違い③『病態に応じた摂取量の考慮』

次に、病態に応じた摂取量の考慮を行うか否かについてです。

一般的な栄養学では、例えば「貧血」や「ガン」などの病態や症状に応じた栄養摂取量などは考慮しないのに対し、分子栄養学ではこれら病態や個人差に合わせた栄養摂取量やアプローチを行います。

例えば、2020年版食事摂取基準の場合、ビタミンCの摂取量で言えば、成人では1日の推奨量が100mgと設定されています。これはあくまで健康な人が最低限摂取した方が良い目安であって、病態を抱えた方の目安量ではありません。

対して分子栄養学では、ビタミンCの摂取量についてもその人の状態や病気の状態などによって摂取量が大きく異なることが特徴です。人によっては1回に2000mg〜3000mgのビタミンCを摂取する事もありますし、場合によっては更に高濃度のビタミンCを点滴で入れる場合もあります。

これは、活動量が大きいときや、ストレスがかかったとき、風邪など病気のときでは栄養素の消費量が大きくなることから、栄養素の必要量が多くなるためです。また、慢性的な病気(糖尿病やアレルギー疾患、肝臓病など)やガンの時などは、更に必要量が大きくなります。

また、例え同一人物だとしても、加齢や生活習慣の変化、病態の変化、体調の変化は常に起こっています。日々の状態に合わせて必要量の栄養素を摂取していくことが、分子栄養学の基本です。

そして、栄養素による改善の際には、一定以上の量を補給していくことも重要です。特に栄養素においては、摂取量が少ないと殆ど身体に変化が現れないことから、栄養摂取の効果は用量に大きく依存しています。この一定以上の量を摂取することで栄養素の効果を発揮させることを「ドーズレスポンス」と言います。

例えばビタミンC(アスコルビン酸)の場合、血流に乗って全身の細胞に運ばれて抗酸化作用等を発揮するためには、ビタミンCの血中濃度を一定以上に維持することが必要です。

この抗酸化作用を発揮するためには、ビタミンCを一度に1,000mg以上摂取して初めて血中濃度の上昇が見られることが分かっています。ただし、ビタミンCは水溶性ビタミンのため、摂取後3〜4時間で血中濃度が最大となり、その後は尿と共に徐々に体外へ排泄されてしまいます。

そのため、ビタミンCの血中濃度を維持するためには、一度にある程度まとまった量(1,000mg以上)を定期的に補給することが必要です。

更に、ビタミンCには美白作用や抗ウィルス作用、ヒスタミン抑制作用、抗がん作用などがあり、抗ウィルス作用が期待出来るビタミンCの血中濃度はおよそ10-15mg/dL、ヒスタミン抑制作用を発揮する血中濃度は88mg/dL程度と言われています。

このような違いがあることから、ビタミンCの摂取量はその人の状態や目的によっても大きく変わってきます。また、その人の状態や生活習慣、年齢や性別、酵素と基質の親和性の個体差などによっても摂取量は異なります。この状態や目的に応じて、最適な栄養素の量を摂取すること。これが至適量と呼ばれる量です。

分子栄養学では、このような病態や個人差を考慮した栄養の摂取を行っていく事が特徴です。一般的な栄養学では、このような病態や個人差は考慮せず、あくまで欠乏症の予防や生活習慣病の予防を行う事が目的になります。

ちなみに、給食や病院食などで食物アレルギーに配慮した「アレルギー対応食」を提供することがありますが、これはアレルゲンとなる食品を省いたもので、分子栄養学とは違ったものです。

分子栄養学でも食物アレルギーに配慮しますが、他にもアレルギー症状の原因となり得る腸粘膜や胃腸機能低下など、消化吸収能に対するアプローチも行います。この点が一般的な栄養学と分子栄養学とで大きく異なる点です。


一般的な栄養学と分子栄養学の違い④『薬、栄養素との飲み合わせ』

病態の考慮につづき、一般の栄養学では、医師による食事療法や食事指導と違って、薬や栄養素との飲み合わせは考慮していません。対して分子栄養学では、医師による血液検査結果の解析時に、その方が飲んでいる薬も考慮し、栄養素との相性なども考慮して栄養アドバイスが行われています。(当方が推奨するオーソモレキュラー療法の場合)

例えば、関節リウマチの治療薬の1つに「メトトレキサート」というお薬があります。このお薬は、ビタミンB群の一種である「葉酸」の働きを阻害することで、関節などで活発になっている免疫細胞の増殖をコントロール出来るお薬です。

葉酸は細胞が分裂、増殖するときに重要な物質で、これを抑えることによって免疫細胞の増殖をコントロール出来ます。仮にメトトレキサートを服用している状態で葉酸を取り過ぎてしまうと、メトトレキサートの効き目を妨げる恐れが出てきます。このため、メトトレキサートが処方される場合は、サプリメントなどから葉酸を大量に摂取することは控えるよう指導されることが一般的です。

サプリメントの中には、このような薬の効き目を妨げてしまう成分が高濃度に含有していることから、飲み合わせに注意が必要なものがあります。当方が推奨するオーソモレキュラー療法の場合では、医師による血液検査結果の解析時に、その方が飲んでいる薬も考慮し、栄養素との相性なども考慮して栄養アドバイスが行われています。



※この記事は、下記記事から一部を抜粋・改編したものです。記事全文は下記記事をご覧下さい。元記事はこちら↓


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