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#7 分子栄養学で使われるサプリメントと、海外サプリメントなど一般的なサプリメントとの違い

例え成分が同じでも同じ効果が得られるとは限らない。ジェネリックサプリメントに注意!

一般的なサプリメントと分子栄養学実践専用サプリメントの違いに続き、特に注意して頂きたいサプリメントがあります。それが、ジェネリックサプリメントと呼ばれるサプリメントです。

ジェネリックというと「ジェネリック医薬品」が有名ですが、このジェネリックとは特許が切れた先発品と同じ有効成分を含んだ後発品という意味になります。

お薬でも、ジェネリック医薬品は先発品と有効成分が同じである事から、効果・効能、用法用量が同一とされていますよね。しかし、有効成分は同じでも、先発品と後発品ではその原材料や製法、製造管理体制などが厳密には違います。

このため、一見すると同じように見えるものでも、先発品とジェネリックでは効果効能や品質が大きく異なっている場合があるのです。

例えば、2020年12月に発覚した福井県の後発医薬品メーカー「小林化工」では、水虫などの真菌症の治療薬に睡眠導入剤の成分が混入するという不祥事が起こりました。この事件では、服用後に意識を失うなどの健康被害が出た人が240人以上に上り、中には車の運転中に事故を起こして怪我をするなど深刻なケースもあったそうです。

また、2021年3月にはジェネリック医薬品大手3社のうちの1つ、「日医工」が富山県から業務停止命令を受けるという事件も発生しています。

こちらについては、品質試験で不適合となった錠剤を砕いて再び加工したり、出荷前の一部の試験を行わないなど、やはり国が承認した工程とは異なる製造を10年以上前から続けていたとして処分されました。

他にも、大手のジェネリック医薬品メーカーの不祥事は相次いで発生していて、2021年に行政処分を受けた製薬企業はなんと9社にも上っています。

https://answers.ten-navi.com/pharmanews/22348/より

このような不祥事が相次いでいることから、「ジェネリック医薬品は有効成分が同じでも効果効能や品質は全く違う」という認識を持つ人が増えてきています。実際に医療現場で薬を処方している医師の方や処方されている患者さんの方でも、「先発品からジェネリックに変えたら悪化したので先発品に戻した」というケースが起こっているそうです。

このジェネリック医薬品のお話しがサプリメントと何の関係があるのかというと、サプリメントもジェネリック医薬品のように、先発品を真似て作ったジェネリックサプリメントというのがあります。

ジェネリックサプリメントとは、例えば分子栄養学実践専用サプリメントを真似て、有効成分だけを同じように配合して作られたサプリメントなどです。このように作られたものは有効成分が同じでも期待出来る効果が異なることから、「サプリメントのジェネリック問題」として専門家から警鐘が鳴らされています。

特に現在では、サプリメントの設計や製造に関する知識が全くない人でも、受託製造を行っている会社に「このようなサプリメントをこれくらいの値段で作ってほしい」とお願いすれば、簡単に製造できる世の中になりました。

このことから、最近では委託製造を利用して作られた粗悪なサプリメントが多く出回っています。その中でも特に多いのが、サプリメント市場をビジネスチャンスと捉えた新規参入者が販売しているサプリメントです。このようなサプリメントでは、大抵が今まで実績のあるサプリメントを真似して作った物だったり、中には根拠の無い独自理論によって複数の栄養成分を組み合わせたりして作られたような物もあります。

これらは単に、他社の実績があるサプリメントの内容成分を真似して「原材料をカプセルに詰めただけ」であり、人での消化吸収や利用効率、臨床試験や長期投与のエビデンス(証拠)は全くありません。

しかも売り上げを上げるために有名アスリートが監修、推奨していると謳ったり、医師に監修、推奨させたりするなど、マーケティングの力を駆使して販売されていることもあります。

これらは一見するとものすごく質が良くてしっかりしているように見えますが、このようなお墨付きのようなサプリメントであっても、絶対に鵜呑みにしてはいけません。なぜなら、アスリートや医師は、スポーツすることや患者を治療することが専門であって、サプリメントの専門家では無いからです。分子栄養学に詳しそうに思える医師であっても、サプリメントの設計・製造に関しては専門外であり、素人です。

はっきり言って、生命化学や分子栄養学などの専門家でも無い人が、質の良いサプリメントを設計・製造するなんてことはまず出来ません。しかし、現代ではサプリメントの委託製造が可能になった事で、知識が全く無い人でもお金さえ出せば「栄養素をカプセルに詰めた物」を製造して貰うことが出来るようになりました。

一般的に委託製造を利用する場合は、製品の詳細設計から製作までを受託者へ任せます。アスリートが監修、推奨しているサプリメントや医師が監修、推奨しているサプリメントであってもそれは同じです。受託製造元に「この栄養素をこれくらい入れてほしい」とお願いしただけで、生体内での利用効率や吸収効率などは全く考えられていません。

受託製造元は、その要望通り栄養素をカプセルに詰めて製造します。しかし、単に栄養素をカプセルに詰めただけでは、品質が劣化してしまい、その効力をしっかりと保つことは出来ません。また、どのような原材料を使用し、どのような製造方法で製造されているかも不明です。

つまり、サプリメントの委託製造を利用すれば、サプリメントに対して全く知識が無い人でも「サプリメントのようなもの」を販売出来てしまうのです。このような素人が製造、販売しているサプリメントは「サプリメントのジェネリック問題」と言われ、以前から専門家の間では警笛が鳴らされていました。

このような「サプリメントのジェネリック問題」で問題となってくるのが、そのサプリメントの質です。サプリメントは、単に栄養素をカプセルに詰めただけでは成分同士が反応したり劣化したりして、品質が低下してしまいます。また、胃や腸でしっかりと溶けて吸収されるかどうかや、汚染された原材料を使用していないか、食品由来の成分が使われているか、日本人にあった設計がされているかも重要です。

本来はこれらを専門家がしっかりと考えて設計・製造していますが、サプリメントのジェネリック問題では、どのような原材料が使われ、どのように栄養素を配合しているかも全く分かりません。栄養素の中にはお互いが反応して効果を失ってしまう物や、品質が劣化してしまう物があります。また、栄養素の中には同じように見えても全く化学構造や働きが違うものがあります。

例えばビタミンEの中にはトコフェロールやトコトリエノールがあり、それぞれα(アルファ)、β(ベータ)、γ(ガンマ)、δ(デルタ)の4種類、計8種類もの種類があります。また、ビタミンAにはβ-カロテンやレチノール、レチナール、レチノイン酸などがあり、同じように見えて働きが全く違います。

このような専門的な知識が全く無い状態でも、委託先に「これくらいの予算でこんなサプリメントを作ってほしい」と伝えれば、簡単に製造、販売できてしまうのです。それこそ、安く大量に販売することが目的ですので、コストがかかる質の良い原材料を使用したり、混入薬物の検査をしたりなんてするはずもありません。

また、サプリメントは栄養素が配合されている以外にも、そのサプリメントが体内でしっかり溶けて吸収されるかという事も重要です。当たり前ですが、摂取したサプリメントが胃や腸で溶けて吸収され、体内で利用されて初めて意味があります。

ですが、市販されているサプリメントの中には、このような胃でも腸でも溶けずに排泄されてしまう粗悪なサプリメントも多く販売されています。特に、先ほどのようなサプリメントの素人が委託製造を利用して作ったものや、安すぎるサプリメントは、このような消化吸収を考慮していない場合が殆どです。

だからこそ、サプリメントを選ぶときは値段よりも質が重要です。特に分子栄養学を実践する際は通常の摂取量の何倍もの量を摂取することから、サプリメントの質が重要になってきます。くれぐれもこのような粗悪なサプリメントを使って分子栄養学は実践しないようにして下さい。

では、質の良いサプリメントはどのようにして選べば良いのでしょうか? 一般的には、パッケージの裏にある成分表示や使用されている原材料などを見て判断しますよね。

しかし、サプリメントの質が良いかどうかは、パッケージの裏にある成分表示だけを見ても判断することは出来ません。ジェネリック医薬品と同じで、有効成分の含有量や使われている原材料だけの情報では、その製品がどのような製法や製造管理体制で作られたのか全く分からないからです。

ですが、いくつかの情報からサプリメントの善し悪しを判断する事は可能です。
まず一つ目は、値段が安すぎるものは疑うこと、二つ目はそのサプリメントを作っている会社やサプリメント自体に信頼と実績があるかどうか、三つ目は、サプリメントの摂取によって血液検査データの改善や症状の改善、生活の質の向上など、何かしらの変化を体感出来たかどうかです。

特に血液検査では、 栄養状態や身体の状態をダイレクトに調べる事ができます。これは、血液には食事やサプリメントから取り込んだ栄養素やそれを代謝して産生したさまざまな物質が溶けていることから、血液中の成分を調べることによって身体の栄養状態や健康状態を正確に把握する事ができます。

このことから、定期的な血液検査を行って経時変化を確認していけば、サプリメントの有効成分が実際に吸収されているかどうかや、利用されているかどうかなどサプリメントの質を数値として確認することが可能です。

体内に吸収されないようなサプリメントや、品質が劣化したサプリメントでは血液検査データの改善は得られませんが、分子栄養学実践専用サプリメントなどしっかりした品質のものであれば、その効果を実感できるはずです。

そして、オーソモレキュラー療法では定期的な血液検査の結果を基に、その都度分子栄養学的アプローチを見直しながら行っていくことが基本です。いくら良いサプリメントでも、肝心なアプローチが間違っていたら意味がありません。

正しい分子栄養学を実践するためにも、自ら分子栄養学を学び、質の良いサプリメントを使用して定期的な血液検査は欠かさず受けるようにしましょう。




※この記事は、下記記事から一部を抜粋・改編したものです。記事全文は下記記事をご覧下さい。元記事はこちら↓


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