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【読書】『黒衣の女 ある亡霊の物語』
本棚からタイトルと表紙のみで選んだシリーズ。
今回の本はホラー小説です。もう表紙見たまんま。
遠く離れた田舎の土地。亡くなった老婦人の遺産整理のために向かう弁護士である主人公は、そこで忘れがたい体験をする…。
序盤から主人公は再婚者であること、過去に忘れることのできない、恐ろしい体験をしていることから、もうオチは読めてしまう。
さらに向かった土地で老婦人のことを尋ねても、誰もが口を閉ざしてしまうい、おあつらえどおりに住んでる場所は潮が満ちると消えてしまう道の向こうにある、正しく陸の孤島。
さらに主人公はたびたび『黒衣の女』を目撃し、そのことを住民はひどく恐れている。
と、清々しいまでにパターン化されたフリだが、読めば読むほどその都度鮮明な映像が『見えて』くる。まるで本当に1本の映画を見ているかのように。
そしてこの話を彩ってくれるのが名犬スパイダーの存在である。
主人公は『相手』からの洗礼を受けて、ひどく落ち込んでしまう。
いやいやなんやねんこの家、めっちゃ気色悪いやん…もうなんか行きたくないわ…でも遺産整理の仕事しないとあかんし…どうしよ…。
と、そこでこの街で知り合った有力者から「あそこに関わるのはやめとき。どうしても行くんやったらこの子を連れていき。」とスパイダーを貸してもらう。
想像してほしい。
誰もが口を閉ざす場所。霧に包まれた湿っぽい館。なんだか薄気味悪い土地。戻ろうにも戻ることのできぬ陸の孤島。しかも前回は手痛い洗礼を食らったばかり。またしても起こる怪奇現象。そんな状況での犬。しかも忠犬。
人の言葉を話せるわけでもなし、特別体が大きいわけでもなし、しかしこの極限状態の中でこれほどまでに頼りになれる相棒がいるだろうか。
彼の存在によって主人公は正気を、ストーリーはよりリアルな描写を生み出してくれる。
ちなみに『相手』は結構普通だった。まあそんなもんです。
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