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【読書感想文】オリエント急行殺人旅行

久しぶりの読書感想文!
今回はタイトルに「釣られて」しまいました。


出会い

私の通う図書館は、月に何度か古くなった貸出図書を無料で配るイベントが開催される。
そこで目にしたのが「オリエント急行」の文字。
読書のために図書館に足繁く通う人間なら、「オリエント急行」の文字が目に入った瞬間にアガサ・クリスティーの名前が思い浮かぶだろう。
あ!オリエント急行じゃん!久しぶりにもう一度読みたいし、無料だからもらっておこう!ともらってきたはいいが…。

よく見るとタイトルが「オリエント急行殺人旅行」となっている。あら、こんなタイトルだったかしら?それに作者の名前も「斎藤栄」になっている。あら、翻訳者の名前はこんな方だったかしら?よくよく見るとアガサ・クリスティーの名前もない。あら、こんな本だったかしら?

家に持って帰って調べると、オリエント急行もアガサ・クリスティーも1ミクロンも関係ない本だった。そして本のレビューが全然見当たらない。
いやあ久しぶりにこんな本みたよね。もうやばい匂いしかしない。

感想

無理くり本家本元のオリエント急行になぞらえようとしてるけど、タイトルも二番煎じだし、読み手としては本家本元という色眼鏡で見てしまうからなおのことチープで陳腐である。全体を通して緊張感がまったくない。
殺人事件が起きたというのに「月が綺麗だなあ」とか抜かしていたり、「そうだ!犯人はきっとこの方法を使ったに違いない!(ワクワク)」と、主人公がどこか間抜け。悪い意味で没個性。
乗客たちも一般のお客さんに扮する主人公たちをなぜか添乗員と勘違いして、あれだこれだと注文するのは一周回って興が冷める。ゆるーくて淡々と進んでいく様子はシュール。新聞記者にバレるシーンは絶対いらなかったでしょ。

さらにぽっと出の美人お尋ね者姉妹が事件の重要な証拠を握ってるというご都合主義。ちなみに作者は多数の作品を発表されているので、その中の準レギュラーな人物の可能性も否定できなくはないが…それでもねえ…。

最後のオチはちょっと良かったかなと。被害者と犯人の動機が、ああなるほどねこういう人いるよね、とは思わせてくれた。

総評

まったく美味しくはないけど何もないよりかはマシというレベル、でも人生で一生必要することのない嗜好品といった感想。いったい誰が得をするのだろうか…。
なお、本家本元である「オリエント急行の殺人」をまだ未読の方がいたら、こちらから読むことを強く推奨する。本書でおもいっきりネタバレしているので。

ちゃんと本のタイトルと作者は確認しましょう。
そして私は本家本元を読んでお口直しをしようと思います…。

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