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映画の観方 2024/6/14
木村 俺が以前、市子評をスペースで話した時の「こういう系の映画もういいや」ってやつコレかもしれない
『市子』『あんのこと』『茜色に焼かれる』『月』みたいな近年の「斬り込む」系の邦画、自分は全然ハマらない……。どれも作り手の怒りが先行しているからか、個人の生の壮絶さや劇的さのみにフォーカスして、構造やシステムの話にならない印象がある。そういう昇華のさせ方でいいの? と思ってしまう
— しの (@mouse15278) June 12, 2024
戸芭 「ほんとうか?」言語化の権利をそう簡単に仮託してしまっていいのか?本当ならよいのだけど
木村 観終わった後の「だからなんだよ」感というか、個人的なエピソード故の、観る側としての感想の展開がなさすぎるというか。特にメッセージ性も受け取れなかったし。
戸芭 “あまりにもな個人的物語”の林立は、現代日本に刺さるからのか、制作側の視野の狭さなのか、何なのか。
じゃあ逆に構造を刺す映画ってどんなのだろう。
木村 「斬り込む系」の映画で溢れてるからこそ"共感を得る"で坂本裕二が評価されてる気もする。
戸芭 個人を描くこと、って共感を呼び起こすものだと思っていたんだけど、そうじゃないんだ?
木村 俺はあまりにも共感の部分がなかった。市子に関しては鑑賞側の人生経験の有無も関係ない思う。
能條 個人を描くことが、社会全体を暗喩的に描くみたいな作品はかなり多そうだけどね。
現代の邦楽映画なんて大体モロにこれな気がする。ポスターや広告やタイトルから。(観てない)
市子ってタイトルな場合、主体が市子本人ではなく市子を囲む社会問題(環境)になっていそう。タイトルが固有名詞のときって大体これなイメージ。
戸芭 元ツイは「社会問題を取り扱ってるのに構造を刺さない」ところへの問題意識があって、でもじゃあ恋愛というどうしようもなく個人的なものはそりゃあ個人を描く(共感を描く)だろ、というところもある。
つまり坂本裕二の相対評価は見当違いな可能性があるので一旦置いておこう…
戸芭 「常人じゃ体験しえない事件」は、映画のわかりやすい表象としてのイベントであって、そういうイベントで揺られる“自己”とそのイベント自体の“歪み”を、鑑賞側はフレームを下げて自分ごとに翻訳しなくちゃいけないのでは、とも思うのですよ………
ちょっとまじでわたしが市子観てないからうまく議論できないな。観なきゃいけない
能條 常人じゃ体験しえない事件が起きて、それに登場人物が常人じゃ理解できない呼応を示したら単なる浮世離れした作品になってしまいそうだけど、観客の持つ凡庸な記憶と経験を揺さぶるための奇怪な出来事が映画のなかで起こって、そこにどう凡庸な記憶と経験、常識で立ち向かうかみたいな観方が映画にはある。
というか、フィクションはほぼこれだと思う。
木村 「観方」
能條 見方だと紛らわしいかなと思って
木村 流石だった
戸芭 「揺さぶるための奇怪な出来事」=表象としてのイベント
木村 👍
戸芭 うざがるな
木村 いやうざがってないって笑 うんうんの同意よ
戸芭 うんうんって言ってよさ!
能條 立ち向かうというのは、どうしても自分の引き出しにない感覚や常識のなかで鑑賞することは難しくて、一度自分のフィルターを通す必要がある。その枠のなかで我々は映画を噛み砕かざるを得ない的な意味。
戸芭 👍
能條 うざがるな
木村 もっと本能的というか、集中しててなにも意識せずに観てる時も実際はこれなのかな。
…思考を排して観てる時とかあんまない?
能條 強いていうなら映像の美しさとかかなぁ
戸芭 今日羊たちの沈黙観たけど、スリル描写って何も考えられない。怖いとしか思えない
木村 観てる時は起こってることを捉える程度で、終わった後、もしくは一旦落ち着いた後に色々考えることが多いかな
能條 わたしは、思考を介したうえで感情が沸き上がってくる感じ。激情的で白々しい映画音楽や演出に誤魔化されたくないのかも。
木村のような観方をする時もあるけど、でも頭の中でずっと独り言言いながら観てる感じではある。ツッコミ入れたり共感したり。
戸芭 考える時間(カット)がある映画ってあると思ってて、ほんとに監督が、「ここで考えてね」って語りかけてくるような余白が用意されてる映画。そういう映画は好き。人々はそれを良い間とも言うし、多くの監督はそこで思考の邪魔にならないビジュアルやサウンドを魅せるカットを採用する
能條 映画のなかのシンキングタイムか。これから意識してみよ。
戸芭 「監督学」みたいな本とかあったら、極意として書かれててもおかしくないんじゃないかな、そういう間。
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