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そのハヤシライスは絶賛されて然るべき

数ヶ月ぶりの自炊 is 最高に面倒臭い


先日夫から「ハヤシライスが食べたい」とリクエストを受けた。

え〜めんどくさーい。
という言葉を飲み込み、
数ヶ月ぶりに台所に立つ決心をした。

というのも、
夫は平日も週末も仕事で朝から晩まで不在のため
私一人の為に自炊するのも馬鹿らしくなり、
出産後久しく手抜き料理しかして来なかったのだ。

ここで言う手抜き料理とは、
卵かけご飯、焼き魚など。 

割るだけ、焼くだけ。

本気の手抜き料理だ(開き直り)。

赤子を抱えての自炊には100の試練があってだな


そうとなったらまずは買い出しだ。

当然の如く冷蔵庫はすっからかんのため、
全ての材料を買い出ししなくてはならない。

かつ、

娘は午前と午後それぞれ2回昼寝をしないと不機嫌MAXになるので、昼寝と昼寝の間のご機嫌タイムに連れ出す必要がある。

この日はまずそこから躓いた。


いつもより1時間ほど早く娘が昼寝から起きてしまい、仕方なくそのまま買い出しへGO。

最初は抱っこ紐の中で楽しそうにしていた娘だったが、やはり睡眠時間が足りていなかったのだろう。スーパーに着く頃には既に雲行きが怪しくなっていた。

「ふ、、ふぇ、、、ふぇっ。」
やばい。足を止めると泣いてしまう。 


気分はさながらマグロ。
止まる=死 を意味するので、食品売り場をとにかくグルグルと練り歩く。

悩んでる暇はない。
最速で、最短で、まっすぐに、一直線に、食材を選ぶ!!(『戦姫絶唱シンフォギア』より)

その甲斐あって、レジに並ぶ頃には抱っこ紐の中でスヤスヤ寝始めた娘。

(よし、この勝負もらった…!!)



「お並びの方はこちらのレジにどぉぞーーーー!!!!!」


…ピクッ


〜娘氏、起床のお知らせ〜



入眠後すぐに起こされたので当然超絶不機嫌である。これはやばい。
一刻も早く帰宅せねば。

娘のお出かけグッズで既に重いバッグに、食材が入ってさらに重い。
というか娘自体が重い。

重い+重いで訳わからんくらい重い。

しかし、止まっている余裕はない。
前進あるのみ。
時限爆弾(娘)が爆発する前に帰宅を目指す。


…… 

「ふぇっ…」
「ふぇっ…」

「ふぎゃーーーー!!!」

家まであと5分という距離になったところで、ついに限界を迎えた娘が泣き出した。

4ヶ月で既に7.6キロある娘は、泣き声もかなりビッグベイビーなので、通りすぎる人達の視線が痛い。

必死の形相で上下運動しながら進むも全く効果なし。

途中イケメン大学生2人組が前からやってきて、その一瞬だけ、全ての力を振り絞って慈悲深い聖母の様な表情を作った。

こんな時でもそんなくだらないことをする余裕のある自分に脱帽。
誰も見てないっつーの。

やっとの思いで家に着く。
だがここで終わりじゃない。

泣き叫ぶ娘を小脇に抱え、お肉などを冷蔵庫に入れていく。
常温でOKなものはとりあえず放置。
まずは娘を寝かせることが最優先だ。

最後の力を振り絞り、いざ出陣…!


なんとか娘を寝かせ、いざ調理開始。
この時既に体力ゲージ1/10。

しかしこういうのは勢いが大事なので、休憩を挟まず任務遂行するのがモットー。
ちょっと休むと逆に疲れてしまう。

全ての具材を切り終える頃には、娘をお風呂に入れる時間になっていた。
お風呂の準備をしつつ、ちょこちょこ台所に戻っては調理する。

しかし、娘を起こし、いざ風呂に入らん!というタイミングで重大なミスに気づく。

ルー入れてないじゃん

急いで台所に戻りルーを入れる。

この時ワタクシ、全裸である。 

全裸でぐーるぐーる鍋をかき回す自分、マヌケすぎて泣けてくる。
なんなら母乳ぽたぽた垂れてるし。

しかし、この全力感が育児の醍醐味かなと思う。
毎日全力で生きてる実感なんて、社会人になってからほとんど感じられていなかったから。

ハヤシ

なんて自分に酔いしれながら娘と入浴していたら、この日初めて娘が湯船でウンチした。
こういう先の読めなさも育児の醍醐味である(?)

「美味しい」だけじゃ足りないんだ


こうして完成したハヤシライス。
早めに仕事を終えて帰宅した夫が、一口食べるなり

「美味しい!上手に出来たね!!」

と言ってくれた。

普通に考えたら、十分嬉しい反応である。
疲れている中コメントしてくれるあたり、夫の優しさを感じる。

がしかし。
私は心の狭い女なので思う。

もっと褒めろや……と。

不満を感じながらチラッと夫を見ると、お皿から溢れんばかりにおかわりのルーをよそっている。

「何?そんなに美味しいの?」
「めちゃくちゃ美味いよ!」

はいコレ、私の得意技。
「美味しい」の恫喝。

同じ手法で「可愛い」「好き」の恫喝も度々行なっている。

✳︎

家事育児って、
お給料がもらえるわけでもなく、
上司から褒めてもらえるわけでもなく、
ただただ家族のために無償で働いているわけで。

せめて一緒に暮らすパートナーには、
その努力を認めてほしい、労ってほしい、と思うのはワガママなのだろうか。

夫くん。市販のルーで作ったそのハヤシライスは、私の血と汗(と母乳)の滲む努力の結晶なのだよ。恫喝せずともめちゃくちゃ褒めてよ。

「割るだけ、焼くだけ生活」の楽さを日頃味わってしまっているだけに、自炊に伴う労力と対価が見合ってないなあ、と思ってしまう私なのであった。
(毎日きちんと自炊されているママ達、心の底から尊敬します)


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