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実は看護師だけど意外と曖昧?入院費のおはなし


看護師として長く病院で働いていても、医療費のことって意外とざっくりとしか知らないなんてことはありませんか?
どうしても医療事務が医療費の計算や会計をしているため、具体的なイメージがわきにくいですよね。

実は私も、看護師を10年続けていても、入院費は本当にわかりませんでした。しかも、自分が勤める病院に入院すると、医療費はほとんどキャッシュバックされるという制度があったため、特に知ろうとも思わなかったのです。ほんとうにお金の事に無頓着な看護師だったんですよね。

ただ、ICU1泊10万円くらいかな…。高いんだろうな…程度です。


しかし、何度も入院を経験したり、転職や育児で収入が少ない時期が続いたりして、自分事になるととても気になるものでした。

そして、それは患者さんも同じで、入院費は決して安くはないので、支払い金額がとても気になることなんです。
細かい数字は言えないにしても、だいたいのイメージがあると、アドバイスできることも変りますよね。

ワンランク上の看護師になるために、これから入院費の基本的な話をしていきます。


【医療費は診療報酬点数表をもとに計算されている】

ご存じの通り、医療費はすべて診療報酬制度のもと、計算され、1点=10円の計算となります。

ただ、すごく細かく条件設定がされていて、5cmくらいの厚さの診療報酬表をもとに全て計算するんですよね。


傷の処置だけでも「範囲は何センチか?」「ガーゼの枚数は?」「使った薬剤やドレッシング剤は?」「主の疾患と関係性がある処置?」など細かく確認しなければなりません。

状況に応じては、病院の持ち出し(負担)といって、患者さんに医療費の請求ができない場合もあるんですよね。患者さんのためにおこなっているので、請求できずに病院が赤字になるんです。


最近では、看護必要度や褥瘡管理、転倒転落アセスメント、認知症ケア、退院支援など様々な視点からの看護に対しても点数を加算できるため、日々の看護記録の量がどんどん増えています。

記録がなければ点数が取れないため、実際には行ったにも関わらず、看護を行っていないことになってしまいます。

そのため、私の勤務する病院では、リーダー時は全員の記録をチェックするという業務も追加されてしまいました。電子カルテや機械化が進んでラクになると思えば、どんどん忙しくなるという状況ですよね。


【医療費の内訳】

医療費の内訳をみると大きく2つに分けることができます。

保険適用保険適用外(自費)とがあります。

保険適用は、持っている健康保険証を窓口に出すと、健康保険で医療費の一部を負担してくれる部分で、主に病気やケガなど、基本的に治療の必要があるものです。

初診料や入院基本料、投薬や手術、検査などが含まれます。


保険適用外(自費)は厚生労働省が承認していない治療や処置を行うとき、日常生活に特別支障がないものに関する部分で、医療費の全額が自己負担となります。

たとえば、
・ホクロやイボの除去術
・レーシック
・美容目的の整形など(二重にする手術も、眼瞼下垂という病名がつけば保険適用となる)
・正常な経過をたどる妊娠・出産
・不妊治療
・歯科矯正
・未承認のガン治療
・慢性疲労による肩こりや筋肉疲労など


入院であれば
・個室や特別室などの部屋代
・書類依頼時の文書料
・病衣
などが保険適用外となります。


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【図1 医療費の内訳イメージ:執筆者作成】


また、治療のため必要な検査や処置でも、回数制限を超えた場合など、厚生労働省が定める規定の範囲外は保険適用外となってしまうので注意が必要です。



【入院費は実際にどれくらいかかる?】

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【図2 入院費の内訳例:執筆者作成)


入院基本料はホテルでいえば、素泊まり料金のようなもので、病院や病棟の特性、在院日数、看護配置などによって変わってきます。

例えば、急性期の病院では1泊約1.3~1.6万円
特定機能病院だと看護配置が7:1看護では約1.6万円/日、10:1看護だと約1.3万円/日となります。

ちなみにICU入床は約14万円/日、HCUは約4~6.5万円/日です。


そして私が入院費の明細を見ていて、いつもよくわからなかったのが、食事代についてでした。

保険適用の部分には「食事療養」が、自費の部分には「食事負担額」「食事標準負担額」のような項目があるんですよね。

どう違うの?と思いますが、この食事療養費は、健康保険が払ってくれる分の食事代で、私たちが実際に支払うのは食事負担額(自費)の方です。

そして、一律で支払う金額は決まっており、1食あたり460円となっています。
※住民税非課税世帯など所得に応じて軽減措置もあり


そして忘れてはいけないのがDPCです。最近はクリティカルパスを使う病院も多いですよね。
DPCとは疾患や手術の内容などに応じて、1日あたりの定額となる医療費が決められている制度で、在院日数の縮小や過剰な治療の抑止、つまり医療費の削減を目的としています。


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【図3 従来の入院費とDPCでの違い:執筆者作成】

ただし、患者さんから見ると、内容や金額がわかりにくい制度ですよね。

疾患や手術、在院日数などによっても変わりますが、1泊1.5万円位から、高いと10万円位になる場合もあります。

肺炎などは比較的金額が低めに設定されていますが、破裂性大動脈瘤や肺塞栓症など重症で厳密な管理が必要になったり手術となるものは高額になります。


筆者が入院したときの医療費を例に見てみます。


切迫早産で17日間入院。点滴のみ

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【図4 切迫早産で入院したときの医療費イメージ:執筆者作成】



帝王切開で10日間入院、手術、硬膜鎮痛、投薬あり

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【図5 帝王切開で入院したときの医療費イメージ:執筆者作成】


どちらの医療費に関しても、高額療養費制度限度額認定を利用しているのがわかるでしょうか。この限度額認定を受けなければ、どちらも保険診療額の3割が自己負担額として窓口で支払わなくてはならないのです。


限度額認定を利用することで支払金額が
切迫早産は17.6万円から10万円
帝王切開は7.2万円から0円になるということです。

※ただし、限度額認定証を提出しなくても、支払い後に健康保険に申請することで高額療養費として戻ってきます。



【最後に】

入院費は入院となる疾患や症状、処置などによって大きく変わってきます。
そして、退院の時になって初めて医療費の金額がわかるので、患者さんにとってはハラハラするものです。

重症化するほど医療費は高額になってくるので、ぜひ健康保険で利用できる高額療養費制度を知っておきましょう。

限度額認定証を入院期間中に提出すると、窓口で支払う金額が少なくなるので、患者さんの入院費が高額になりそうなときや、自身が入院するといったとき、ぜひ利用してみてください。

もしくは、カード払いで一旦医療費を支払って、ポイントを稼ぐっていうのもありかもしれませんね。経済状況に応じて、選択してみてください。



このコラムを書いたのは
看護師FP  HaMaLifeの高梨子あやの

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北海道で2人の男児を育てるシンママ
看護師歴11年(小児科、内科整形、ICU、内科クリニック、予防接種外来)

長男が1歳の時、長時間残業による過労で抑うつになり休職。そこからママの働き方について考える。

次男出産直後よりお金の勉強を始め、FP資格取得。
実際に100万円以上の支出見直し成功。

【家計が変われば働き方も変えられる】【ママが笑えば家族は幸せ】をモットーに看護師やママの働き方改善のため、家計の見直し相談を日本全国から受けている。マネー教室や執筆も行い、家にいながら働くを実現。

ホームページhttps://www.fulfillingdays.com




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