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自分のお金は自分の治療に使うべき?高齢者は治療にお金をかけちゃダメ?元気なうちに家族と話し合っておくべきこと

こんにちは。
ナースの独り言です。

十人十色というけれど、人生もそれぞれです。

ナースを26年もやっていると

えええええええー!!!

と驚くようなことにも遭遇しますが、
しょせん、それは私の常識を超えたからであって、
その人にとっては、別にそれはあり得ないことではないんですよね。

私の「常識」が「正しい」わけではないのですから。

80代のおじいさまの治療費をめぐって家族と本人が対立

大学病院では
「どんな姿でもいいから、とにかく生きていて欲しい。」
と家族に望まれ、例え平均寿命がとうに過ぎていても、本人がやりたいかどうかもわからない延命治療を施される人がいます。

しかし、そうではない(?)パターンもあります。

「愛」はあっても、側から見えるカタチは
家族によって、本当に様々です。

80歳半ばのおじいさま。消化管のガンでした。
まだまだ体も動いて、80代の割には、側からみたら元気そうな方です。

そのおじいさまは、自分の病気に対する治療に積極的で、保険診療外の治療(陽子線治療や免疫療法)も希望されてました。

陽子線治療の治療費が確か当時で300万円ほど。

その治療に、自分の貯金しているお金を注ぎ込んで治すんだ!!と張り切ってました。

ところがですよ。。。
家族(妻と娘)から大反対にあったのです・・・。

おじいちゃん!!300万円かけても、あなたはすぐ寿命が来るんだからお金が勿体ないよ!!ということでした(爆)

おじいさまは
「わしに早く死ねって言ってんのかあああああ!!!」
とまぁそれはそれはかなりのご立腹で(当たり前ですね・・)
「自分の金なんだから、お前たちにとやかく言われる筋合いはない!!
お前らに一銭もやらんし、一切残さん!!」
「もう、絶対治療を受けてやる!!」
と転院していきました。
(うちの病院ではその治療はやってなかったので、専門機関へ行っていただきました)

家族と本人の間に治療方針に相違があった場合、本人が自分の意思決定ができる状態なのであれば、本人の意思が尊重されます。
なので、あのおじいさまは、きっとご自身が望む治療を受けられたんだと思います。

残念ながら転院してしまったので、その後のことはどうなったのかわかりません。

正直なところ、両者の言っていることがわかると言うか・・・・
とても複雑な気持ちになったのを覚えています。

もし、私の80代の母が300万かけて治療やる!!って言ったら、
「お母さん???ちょっと一回落ち着こうか?」と、一応他にも道はないか、やる意味はあるのか、いろんな面から考えると思います(いや、母のことは愛していますよ笑)
しかし、おじいさまの「自分のお金を自分のために使って何が悪い」という主張もとてもよくわかります。
(親子の関係性、家庭の状況などで、家族によってはご意見は色々あると思いますが)

まあ、この事例では、おじいさまの治療が、自分の思ったように進んでいったので、良かったと思います。
しかし、病院というところは、そこがうまくいかない事例多いので、問題になるのです。

元気なうちに自分のために話し合っておくべきこと

先ほどのおじいさまのように、
「自分の治療はこうしたい!!」
としっかり意思表示できればいいのですが、

実際は、病院に入院している高齢者は、
年齢による認知機能低下、疾患に伴う意識障害などで「自分の意思」が表現できなくなっている方が非常に多いのです。

ですから「最期の治療」というものは、家族に委ねられるケースが多いのです。

自分の意思とは不本意な治療が施されたり、受けたい治療が受けられなかったりするかもしれません。

自分はどう生きたいのか、
そしてどう死にたいのか。
どこまで、どんな治療を望むのか、

を元気なうちに話し合っておくといいですよ(^^)

ただ、1回2回話し合っておくだけでは足りません。

実際にそういう状況になったら、家族は軽いパニックになります。
「お父さん、お母さんの意思を人生を尊重しよう」という強い思いがないと、
病院の医師の治療方針や、部外者の家族(遠めの親戚など)の意見に簡単に流されます。

なので、常日頃コミュニケーションをとって、いつもいつも話し合って、信頼関係を築いておくことがとても重要です。





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