ゲシュタルト心理学


意識研究を否定するという行動主義ほど強烈な批判ではないが、精神は単純な要素から構成されるとする構成主義に対して、ゲシュタルト心理学は、全体が寄せ集められた要素以上の形質を示すと批判している。例えば、和音の長調と短調のくべるについて考えてみる。ドミソの和音は長調だが、その代わりにラにするとドミラとなり、これは短調になる。
注釈:長調・全全半全全全半
   短調・全半全全全半 音楽の授業でやったことでこれは頭に残っている
 構成主義はからはラという要素の中に短調になった原因を見つけなければならない。しかし、音楽では、長調か短調かは音の組み合わせ、すなわち全体で決定されることは常識で、これは構成主義に対する代表的な判例である。
 実験的にゲシュタルトを最初に実証したのはウェルトハイマーである。彼は2本の線分を平行に、あるいは互いに直角になるようにして配置しストロボスコープを用いて1本ずつ短時間感覚(それぞれ約60ミリ秒)で次々と低次すると先に提示された線分が次に提示された線分へと素早く移動するように見るということを発見した。この現象は、実際に動いていないのに、見かけ上は動いて見えるということで仮現運動と呼ばれる。ネオンサインで、実際は動いているような現象も代表的な仮現運動である。もし、構成主義が主張するように、2線分に対する知覚は個々の線分に対する単一感覚が寄せ集められたものであるとすると、線分が動いて見えることは説明できない。したがって、構成主義の要素論的主張に対する反証例であって、ゲシュタルトという全体性によって初めて説明できるものである。


注釈:ヴェルトハイマーの光点明滅の実験
 2つの光点が交互に点滅する装置を用意し、その点滅する感覚を変えてどのように感じ方が変わっていくかを調べた。
・約30ミリ秒以下の間隔(約33フレーム毎秒)では2つの光点は同時に点滅しているように感じる(同時時相)
・約60ミリ秒間隔(約16フレーム毎秒)では2つの光点は滑らかに移動しているように感じる。(最適時相)ーこの時をファイ現象が生じている。
・約200ミリ秒以上の間隔(5フレーム毎秒)では、2つの光点はそれぞれの別の光点として認識され知覚されない(継時時相)

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