水彩画から輪郭線をとりだして塗り絵にしてみました。
塗り絵をつくるときは、白い紙にペンで線をひきます。色塗りをするための図なので輪郭線で囲むように形を描いていきます。
これが当然と疑ったことはありませんでした。
そして今年になってはじめたデジタル描画。ちょっと経験してみて
リアルな絵の具の表現のほうがまだまだ勝ち。でも拡大縮小は便利。
トライ&エラーのやりやすさは特筆もの。
という感想で、まあデジタル描画でできる色面にあまり魅力を感じれなかったので、タブレットしばらく放置してました。
そして自分のスケッチブック。
どなたかにお見せする機会はたぶんないであろう大量に描きつけた日記のような絵。あるとき眺め返していて、
そしてデジタル描画で経験したいくつかの記憶とかさなり、
「あ、これデジタルでトレースしたらどんな感じになるんだろ」
という思いつきがありました。
水彩画をタブレットに取り込んでトレース
まずこの絵。しばらくFacebookのカバー写真としても使っていた自筆の水彩画です。
タブレットに取り込んでみて、レイヤーを上にしてトレース。
(ちなみに描画ソフトはCLIP STUDIO PAINTです)
こんな感じです。立派に塗り絵。すぐできました。
ただなぞるだけ、という気負いのなさからか、線がいつもより自由な気がします。良い意味で力がぬけている。
白い紙にゼロから「何かを描こう」とすると、「失敗したくない、完成させて作品にしたい」という力み(りきみ)のようなものが、ほんのちょっと入ってしまうのだなあと自覚しました。
生まれてくる形に関しても、やはり今まで描いてきた、そして上手くいった経験をどこかで踏襲しているのでしょう。思い思いにのびのびと、とは思っても、自分が知っている形のなかからしかアイデアはでて来ないものです。
そういう意味でとても自由。
なにか自分の地平が一気に倍に広がったような、扉を開けるとこれまで来た道と相似のアナザーワールドが微笑んでいるような(←大げさ)、ぱあっと目の前がひらけた気持ちになりました。
これまでだったらトレースの作業は、もと画像を適度な大きさにコピーして、トレーシングペーパーを重ねてテープで固定して、修正がきくように鉛筆でなぞり、さらにそれをコピーして、という手間をかけるもの。
教材づくりの過程でなんどもやった作業ですが、まあ
「仕事じゃなきゃ、やらない」のものでした。
それがデジタルのなんと簡易なことよです。スキャンして取り込んで、なぞるだけ。ほほほほほ。
タッチペンでなぞるタブレット表面のなめらかさのおかげで、素直で力みのない線が引けます。この線のかろやかさも未知の自分と出会えたようで、膝を連打。自分の遊び場が倍にも何倍にも広がったような嬉しさを感じました。
次はモノクロ水墨画をトレース
つぎはコレ。墨で水彩画紙に描いた作品です。モノクロの植物は昔から取り組んでいるテーマのひとつです。
輪郭のみを取り出すと、こんな感じに。
おもしろいです。いつもの塗り絵づくりでは思いつかない形がいくつも発見できて、構図も大胆。良い意味で細部にこだわってない自由な感じがでています。
線の太さをかえて強弱をつけてもまた面白そう。とはいってもまだ2作目。当分は「忠実にトレースすること」で出来る経験をかさねていこうかな。
タッチを生かした水彩画ではどうなるか
つぎはこの作品。ちょっと暗いテーマですね。本来だったら人様にお見せすることのない類の絵です。気持ちの整理のために描く絵。
でもトレースだったら、かえってこういう「自分的におさまりの悪い」絵の方が、もしかしたら面白くなったりするかも、と期待をこめて実験。
こうなりました。なんか不穏です(笑)。
でもこれはこれで面白いかなあと。たしかに「描こうと思っても描けないなあ」と思い、SNSに載っけてみました。しばらく経ってから見返すと、何か分かるかもしれません。
デジタル加筆もしてみました
そしておまけの遊びで、取り込んだ画像にちょっと加筆してみました。
薄いグレーと白を画面にちりばめてみました。暗めの画面にほんの少し明るさとキラキラ感を足して、ちょっと救いがある感じにしてみたと本人は思っているのですがどうでしょう。
制作過程を言葉にして振り返るというのは、noteを始めるまでほとんどしたことがなかったプロセスでした。言語化するというのは記憶を強く固定させる行為ですね。自分の意見がすごく固まってしまう。あいまいなことはあいまいなまま取っておいたほうが良いのか形にして残し越えていくべきものか、結論はわかりませんが、取りあえずおもしろい、に従っていこうかな。
今回ご紹介した塗り絵画像のPDFファイルを無料公開しています。
文中にも載せていますがこちらにもまとめておきます。お楽しみください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?