「燻製たらこスパのとろろがけ」を食べながら思う。

※こちらの記事は、筆者がひとり、飲んで食べて、思ったことをただただ書く記事です。グルメ記事でも批評記事でもありません。あしからず。

この店は2階にある。よく行く好きな店。細い階段を上がった先には雀荘があるのだが、その隣り。雀荘の客と客層がかぶらない。
私が座るカウンターの横には、私と同じく女性の一人客。さっきから白ワインの入ったグラスをクルクル回しては飲み、回しては飲みを繰り返している。たぶんもう7-8回はクルクル飲みをしている。さすがにクルクルし過ぎて、もう香り飛んでいやしないか。本来そんな、ワインクルクル系が来るお店でもないんだけれど、今日はクルクルがいる。
1階の店では誕生日会を開いていた。道路にまで聞こえてくるバースデーソング。道路から丸見えの店内。おっちゃんとおばちゃんたちが大声ではしゃいでいる。大きい音が苦手である。ガハハ笑いも苦手である。なので私が、目の前で繰り広げられている誕生日会のような場に行くことはない、たぶん。

コーヒー飲むと寝られなくなる

気を使いすぎるところがある。
この店はカウンター6席。4人掛けテーブル1つ。私は大概一人。人気のお店なのでそもそも満席なことも多いのだが、いつも狭い階段を上って徐々に見えてくる店内をチラ見し、ある程度お客さんが入っていると満席でなくとも帰ってしまう。カウンター2席空いてたりしても帰る。なぜなら、私が一人で入るより、2人連れの方に入っていただいてカウンターを埋めてほしいから。好きな店だからこそ、一人でも多くの人に入ってもらいたいから。
そう。どうやら私は、愛情をこじらせるタイプである。

一枚目ハイボールのバリエーション

クルクル系女子が早々に帰ってしまった。今日はクルクル系がいてくれたおかげで、カウンターが1席だけ空いていた。だから入れたようなものである。
というか、正確に言うと今日はこの店に2回来ている。1回目はチラッと覗いて「カウンター2席空いてる…やめよう」と辞退していた。近所をなんとなく徘徊して、やっぱり戻ってきて入店。一連の行為を店長さんから見られていたら、階段から顔だけ覗き込む水族館のオットセイのようだと思われていても仕方ない。
クルクル系は、私が横に座ったから帰ってしまったのだろうか。ワインをクルクルしてたのは見たが、料理をガッツリ食べていた印象はない。チラ見すると、何かを食べた形跡はあるが、ちゃんとメインやパスタを食べたのだろうか。この店に来て、ツマミだけで帰るのはナシである。大丈夫だったか?クルクル。

くんたまの間にとびっこ

何かを揚げるパチパチ、いや、コポコポした音が聞こえてくる。お腹はいっぱいだけど美味しそう。
パチパチじゃなくてコポコポって大事だと思う。程よく空気を含んだ少し大きめの気泡が想像される。それが美味しさに直結するかどうかはわからないが、耳障りがいい。耳障りがいいというのは、きっと美味しいに違いない。
不思議だな、聴覚と味覚は繋がっているのかな。

最後の晩餐

雑談力ということを考える。
雑談力はイコール人間力でもある気がする。誰が相手でも、初対面だろうと友人だろうと、この人と何を話すか、何を話せるか。
相手の年齢や性別、職業や趣味を考慮しながら、自分の引き出しを選択して披露する。「初対面なのに盛り上がった」というのは、どちらかの雑談力の賜物と思われる。努力の成果である。
ガイドの仕事をしていると、たまにお客様から、私のホスピタリティについて褒められることがある。私はサービス業の経験がないし、長女だし、正直あまり気は効かない。ちょっとしたことに気づかないタイプである。
それでも褒めてもらえるのは、たぶん雑談力だと思う。団体ツアーをしながら、たまたま横になった人となんとなくの会話をする。それはできるようでいて、たぶんなかなか難しい。相手の雰囲気を読みながら、どんな話題がいいか、どんなリアクションがいいか、受けがいいのか攻めがいいのか。なんとなくでも話ができると、相手は嬉しい。私も嬉しい。それは満足度にもつながる。

たまに、ガイド講習を頼まれる。ガイドの方々相手に「ガイドとは何か」を話すのである。これ、結構好きな仕事の一つである。
そのときに話すのが飲み会力である。
そもそもアナタは飲み会に呼ばれますか?飲み会に呼びたいと思われるキャラですか?
ウンチクばかり語る奴がいる。そいつは残念ながら飲み会には呼ばれづらい。何故ならば、ウザいから。楽しい場にウンチクはいらない。
ガイドの場はウンチクが必要と思われている。だからみんな知識を詰め込む。でも実は、ウンチクは二の次三の次。大切なのは、その時間をいかに楽しい時間に演出できるか。ガイドとはそういうものだ。
そしてそこに必要なのが、ウンチクではなく雑談力なのである。
人は、小難しい話をしたことよりも、バカ話をした方が楽しく感じ、満足度も上がる。

ピクルスといいつつ漬物、でも旨い

野菜の旨味がしみる。美味しい。これ、もはや漬物でもないな。なんだろう。旨い野菜。料理名なんだ。
カブを食べる。食べ進めると、先端の根っこ的な部分が目の前でチロチロする。
昔飼っていたウサギを思い出す。名はチップ。チップが野菜をモシャモシャ食べていく姿が好きだった。徐々に吸い込まれていく野菜。先端がチロチロ。チップの気分。チップの目線。

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