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私の好きな本を7日間で振り返る。6

「クリスマス・カロル」
人生で今、最も愛している小説があります。
その本は私に読書の面白さと、作品を作ることによって人々に与える感動というものを教えてくれました。
本書と出会わなければ、私は読書という文化に触れる機会を今ほど得ることはできなかったでしょう。
それに作風も随分異なっていたと思われます。今よりずっとペシミズムに溢れた作品の数々になっていたでしょう。
それもまた面白いものだったのでしょうが、今、楽しんで生きていられているので、
私は本作に感謝しています。
その作品の名は「クリスマス・カロル」英国の文豪、「チャールズ・ディケンズ」の残した中編小説です。
本書はとても有名な小説です。購入当時は映画化されるということだったので、
それに関連した帯がついておりました。
本を読むという行為が一時停滞していた時期に、なにげなく本書を手に取り、本書に目を通しました。
なにか想像するという行為に疲れていたのかもしれません。
ところが、本書を手に取り読みだすと気付けば読了しておりました。
主人公の守銭奴、スクルージにいくらか共感しておりました。
スクルージとは私でありました。まごうことなき、傲慢、肥大した自尊心に取り付かれた怪物でした。誰かに嫌われたいという願望すら抱えていました。
だからスクルージを取り巻く物語は他人事ではなかったのです。
彼は3人の妖精との出会い、そして残酷な現実の数々を見せられ、
面白いほど改心します。
冒頭で展開される守銭奴の描写が、ここで面白いほど転換されます。
彼は残酷な過去、現代、そして未来を見せられた後、
現代に戻って生きていること、奉仕する喜びに目覚めます。
彼が生きていることを喜び、感謝する描写の力強さに恐ろしく感動致しました。
ひゃっほうと言いながら小躍りするのです。
前半でとことんまで醜悪な守銭奴として描かれたスクルージがひゃっほうだなんて叫ぶのです。
つまるところ、私はいつまでも、「クリスマス・カロル」の読後感を追いかけているに過ぎないのです。
本作が私の心に残した幸福感と希望を、なんとかして再現しようとしているだけに過ぎないのです。
私もいろいろな作品を書きました。
しかし、創作に困ればいつも本書を紐解きます。
この作品はいつまでも私の味方であり続けてくれます。
そして何度でも私にひゃっほうと小躍りする希望を与えてくれます。
本書を何度紐解いたかわかりません。しかしその都度、私はひゃっほうと言い小躍りします。
本当にいつまでも追いかけ続けているのです。
なんて善い作品なんだろう、と購入から10年近く経つ今でも思います。
私の創作における重要なルーツの一つです。
紹介せずにはいられませんでした。
「クリスマス・カロル」を追う者として、ここで紹介できた喜びは筆舌に尽くしがたいものであります。
おお、なんとすてきだろう。なんとすてきだろう!
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わしは羽根のように軽くて、天使のように楽しくて、小学生のように愉快なんだよ。
酔っ払いのように目が回ったわい。見なさい! クリスマスおめでとう!
世界中の皆さん、新年おめでとう! いよう! ほう! いよう!
(本文より)
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