くもつくも

 無為の意識があるとして、流れる雲の形を表して留めようと思いたち何も持たずそれを見上げたが、案外雲はなく乾いて冷たい金属のような快晴であり私の思いも応えるように、さびた銅板のような様相を呈し始める。
 良しも悪しも、雲も九十九も無いような日常の部品へと成形されてしまいもはや意識すらないようだった。


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