日記:いつでも探している

『君の名は。』を観てきました。最近、休日の日記が映画を観てきた話ばかりな気がする。以下ネタバレ注意です。

来月に新海誠監督の『すずめの戸締まり』が公開されることを記念し、新海誠IMAX映画祭と題して過去作品が期間限定で上映されるとのこと。最近、こういう過去作品の劇場上映がいくつかあって嬉しい。劇場での体験は、基本的に上映期間が終わったら味わえないものだからだ。Blu-rayや配信サイトでも観れるとはいえ、大画面のスクリーンと迫力ある音響はなかなか体験できるものではない。家に劇場レベルの設備を整えるのはなかなかに難しい。

自分はグランドシネマサンシャイン池袋という劇場で観たのだけれど、ここのIMAXはすごい。というかスクリーンがめちゃくちゃでかい。以前『天気の子』を別の劇場のIMAXで観たときよりも大きく感じた。行ったことがない方にはおすすめ。


自分は過去に2回ほど『君の名は。』を観ているのだけれど、ちょうど記憶が朧げになってきた頃だった。この映画は公開当時大ヒットして「入れ替わってる〜〜!?」と叫ぶCMが流れまくっていたので、「入れ替わり」がテーマになっていることは観ていない人でも知っていることだと思う。昔より使い古されたとも言える入れ替わりネタを、序盤ではあえてあからさまに描かないことで、登場人物が戸惑う様子を観客はニヤニヤしながら見守ることになる(ドリフで言う「志村後ろ!」状態みたいなものだろうか)。そして2人が入れ替わりに気付き、上述のセリフが叫ばれたところで流れるRADWIMPSの「前前前世」。完璧かい……。この序盤の流れが気持ち良すぎる。

そしてこの映画の肝となるトリックは、さらにそこに「タイムリープ」が加わることにある。入れ替わりが途絶え、同時代を生きていると思っていた相手が実は既に存在しないという事実、そこから瀧は再び入れ替わるために微かな記憶に縋って神域へと辿り着き、再びの入れ替わりを経てついに2人は出会う。ここまでの勢いを音楽と映像の力によって説得力を高めている。映画としての力が強すぎる。

そこから、彗星からの隕石の被害を避けるために三葉は奔走する。徐々に薄れていく大切な人の名前を思い出そうと手のひらを見ると、そこには名前ではなく愛の告白の言葉があった。もう名前を思い出すことのできない人の大切な言葉。その存在に奮い立たされて再び走り出す。

しかし皆を救い出そうとする三葉たちの必死な様子とは裏腹に、彗星や祭りに湧く人々はどこか浮き足立っている。それは過去の瀧でさえも。こういう現実の非情とも言える側面が、主要人物たちの孤独な戦いという印象を強めている。気がする。

そして時は流れて、それぞれの時間を生きる2人。大切な人がいるような気がする。そんな感覚を抱えながら。再び2人が巡り合えたのは偶然なのだろうか。それでも会えてよかった。誰もがきっと、そういう運命の人を探している。その感覚がファンタジー要素を交えて巧みに描かれている。久々に観たけどめちゃめちゃすごい映画だ……。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?