2020年上半期のよかったコンテンツ
もう2020年の上半期が終わってしまった。
特に3月以降は家を出る予定が大幅減少したこともあり、頭で考える時間の流れとの差、というかバグが生じる。いつもは時間の流れを遅く感じる僕でも。
結果、家で楽しむことの出来る所謂コンテンツに触れる時間は流石に増えた。この期間は特に、意識しなければ無為に過ぎてその時の感覚は忘却されやすい気がしているので書き留めておく(これを毎週発表する佐久間さんは凄い…)
■Great Pretender
このようなアニメがまだちゃんと作られていることが本当に嬉しかった。
私の好きなアニメに「カウボーイビバップ(1998年)」がある。ちゃんと通しで改めて観たのは2-3年前だったが、音も映像もプロットも世界設定も(SF要素も!)全てが"最高"だと思うと同時に、こんな素晴らしいアニメはもう今・これからは作れないのではないかという"絶望"もあった。面白いアニメはいくつもある。しかし、時代を超えて語り継がれるものは少なくなってしまったように思える(90年代が異常ではあったのだが)。
しかして、Great Pretenderはちゃんと2020年の世に生み出された。深夜に観始めた私は、貪るようにCase.1を一気に観てしまった。Caseごとの配信というのも良い取り組みだったし、Netflix先行で地上波後追いという特殊なスケジュールと制作体制が完全にプラスに働いている。フジテレビの配信周りのディールは結構良い。
騙す系ということでプロットの重要性が高いためキャラやストーリーには言及しない。小気味良い裏切りは幸せな笑みを呼び込む(特にCase.3!)。ぜひ。
■Dr.STONE(アニメ)
そういえば少年ジャンプのアニメを全然観ずに育った。ドラゴンボールとるろうに剣心、次はもう飛んで鬼滅の刃になってしまうかもしれない。なんとなく、敢えて観なくてもいいだろうと思ってしまっていた。
なので科学テーマという好物な情報を耳にしていてもDr.STONEは観ておらず、プラモデル作りの作業用BGVとして流し始めたのが観たきっかけで、見ていたら作業の手も止まり見入ってしまった。
もちろん、少年誌的(?)なご都合主義な部分もある。しかし段階的なプロセスを踏んだり、トライ&エラーを繰り返しながら原因究明→解決していく様子は十分に"科学的"だ。本作はScience Fictionなのだ。むしろご都合主義とクセの強いキャラデザは少年誌の中でとっつきやすいものにするために必要だとも思った。
特にアニメ後半の文化を取り戻していく過程は、ある登場人物のリアクションを通すことによって、視聴者の大きなカタルシスへと繋がっていて素晴らしい。科学史に則ればこの加速度が一番面白いタイミングでもある(その分この後が心配だけど…)。図らずも泣いてしまう展開もあったりと、いい意味で期待を裏切ってくれた作品。
■BNA ビー・エヌ・エー
わーいTRIGGERだー
細谷佳正さんの兄貴声はいいよねぇ。オルフェンズのオルガ、文ストの国木田…。
TRIGGERの作品で好きなのは、オリジナル作品で顕著なダイナミックな画の作りと、写実的でないザ・アニメな表現と色使いだ。色については、特に影色の使い方と背景の配色に見入ってしまう。プロメアでもそうだったけど世界の描き方が本当に凄い。
BNAも正に好きなアニメ表現の集合で、好きならば見て欲しい。野球回というお約束の踏み方も、主人公の心情の変曲点に合わせていて良かった。実はまだ視聴中なのだけど、最終話ではやっぱり宇宙に行ってしまうのだろうか…
■チックタック(Nintendo Switch)
家にいる時間が長かった中で遊んだゲーム。ソフトをネットで落とすことがスタンダードになったおかげで、1万円弱する大作ゲーム以外も遊ぶ機会が増えたことは喜ばしい。
チックタックは2人プレイの謎解きゲームなんだけど、2台のSwitch(スマホ版もある)を使うものの、なんと通信は無し。それぞれ違うものが映っているSwitchを見ながら、口頭でコミュニケーションして謎を解いていく。相手には何が見えているのかわからないので、どこまで同じものが見えて何が違っているのか、何を前提にしてどうコミュニケーションを取ればいいのかに頭を使う。これこそ真のコミュニケーション能力が問われるものかもしれない。
相手の画面を見る必要はないので、離れた人とも電話繋ぎっぱなしにすればプレイできる。数時間でクリアできるので、予定のないお休みの日に是非。
■映像研には手を出すな(マンガ)
遅ればせながら、である。友人をして「(僕が)読んでいないとか考えられない」と言われたぐらいの、本当にドンピシャな作品だった。20年ぶりに単行本でマンガを購入した。
見開きで挿入される設定画は細部まで見て動きを想像してしまう。そういえば昔から設定画を見て可動やギミック、変形を頭の中でトレースするのが好きだった。自分で考えた/作ったものについて「ここは実はこうなるんですよ」と説明するのはとても楽しいもの。
映画とは演出の連続である、という浅草氏の言葉も1つのアハ体験だった。自分はそんなことも知らなかったのだ(もしくはなんとなくの理解)。この言葉以降、映像作品を見る目が確かに変わった。各画面には作る人の意図がある。丁度この部分を読んだ直後に「逆襲のシャア」を観たのだが、アムロとシャアの立場と考えの違いを画・アニメとして表現しまくっているのが初めてわかった。マジか。映像を生業にしている人はこんな風に映画を観ていたのか。そりゃ同じ映画を何回も観るわけだ。
一番好きなところ、刺さったところはここだ。思い返すだけでうるうるしてしまう。僕の全ての考えの根幹かもしれない。なんならその齟齬に耐えきれず会社を一度辞めている。このコマを手元に置いておきたいから単行本を購入したのだった。
■有吉の壁
https://twitter.com/ariyoshinokabe
どの番組も収録が出来ず、特にロケは今でも解決していない。その間に現状でも作れる番組をと各局が趣向を凝らしていたが、その中で「有吉の壁」は素晴らしかった。
この状況下で生まれた企画「なりきりの壁を越えろ! スターの自宅公開選手権」は、今までの番組の企画を出演者がリモートで何とかするのではなく、このリモートの状況だからこそ面白く、だからこその画を生み出していた。リモートである設定を活かしながら、受け答えのラグ等のリモートを意識させない。リモートゆえに成り立つのだが、リモートを意識せず笑ってしまう。非常に高度だと思う。
誰もが大絶賛だったとにかく明るい安村さんの温泉ロケの練習も、この状況下でなければ「ここが自宅である」というフリを十分にしなければならなかったし、そうすると勘のいい人は気づいてしまうし勢いが減る。その後のアドリブ…というか頑張りはこうでなければ面白くなかった。
この企画でもう1つ大好きだったのが第2弾のパンサー尾形さん(ガンジー)と菅さん(関羽)の回。これもこの状況下での自宅だからこそ生まれた展開で、最終的に尾形さんが菅さんに関羽の武器を突きつける展開と動きは最高だった。正直テレビでは有吉の壁が1人勝ちだったと思う。
■さらば青春の光のラジオ
6/6放送の"伝説回"の噂を聴いて聴取開始。
この日のコーナー「東ブクロの嫁決定戦」から始まるレイヴの破壊力は凄かった。その後のラジオでもこの回に触れてくるし触れて欲しい。森田さんが言うようにこれは中毒だ。TBSラジオのアプリ「ラジオクラウド」ならまだ聴取可能なので是非聴いて欲しい。
■霜降り明星のラジオ
せいやさんの件があった週の放送もすごかったけど、その次の回(つまり先週放送回)も良かった。ようやくちゃんとその話に触れる、ネタにしていくラジオだった。何より好きだったのは粗品さんの「俺は友達やからめっちゃ面白かったけど〜」という言葉。いい2人だよ全く。
また、個人的な仕事(?)で映像収録されながら喋る機会があった。インタビューは今までもいくつかあったけど、映像収録はほぼ初めてで、想ったことを爆速で文章にして口から出力する難しさを改めて実感した。噛みまくりだった。ダメダメだった。その動画はいずれ公開されるので観ていただければと思うが、全くの新しい体験と伸び代の存在(全然鍛えていない能力があった!)ことに少し胸が高鳴った。
なかなか機会の創出が難しい状況なので、下半期はこの辺りも積極的にやっていきたいなーと思う。