自分で作る、大阪のおっちゃん

ある夏の事だった

青年部の先輩から仕事の依頼

そこで、陽気な大阪のおっちゃんと出会う事になる

どうもヌノタケ電気です

聞けば都内から引っ越してきて

中古物件をリフォームして住みたいのだそうだ

なるほど、それではお見積もりの流れ

後日持っていくと、おっちゃんがせっせと解体したりしている

「おう、あんちゃん、これか？自分でやるんですわ」

なるほど、なかなかやるやないけ

感心する電気屋に、早速値下げ談義が始まる

なんて感じのいいおっちゃんだ

別にそこまで気に乗る仕事ではなかったのだが

おっちゃんの気さくさに惚れた

ええで、やったろやないけ

真夏の猛暑の中、激熱の天井裏に上ったりと工事を進めることに

エアコンの工事は電源工事と取り付けのみ

本体は自分でご用意するそうだ

さすが浪速仕込みのドケチさや

負けずと電気屋も追加工事を吹っ掛ける笑

言わばドケチに対抗する電気屋の意地である

しかし向こうも手ごわい

そんな小競り合いを繰り返しながら

酒を酌み交わすまで仲良くなる

ガスコンロでフライパン

そこで焼くベーコンは格別だった

そして饒舌で話すおっちゃん

競馬で儲ける方法とか、この家は愛人とのためだとか

話し出したらキリがない、夜は更けていく

しかし、そこには一種の寂しさを垣間見た

家族を残し、一人で越してきた

別に仲は悪くないと言うけれど

家族をここに呼ぶのはまだ検討中だそうだ笑

それにしても器用なもんで

ほとんど内装など自分でやってしまった

庭にはキャッチボールできるようにマウンドまで作っていた

見上げたあっちゃんである

それからしばらくして、漏電騒ぎで呼ばれたことがあった

「ごめんやっしゃー」

と
電気屋は負けずに明るい挨拶で玄関突入

そこには静まり返った暗い部屋に

冷たくなったおっちゃんが横たわっていた

思えば、あの電話の声はどこかおかしかったようなそうでもないような

ある夏の、ちょっと切ないストーリー

ごめんなさい、今もおっちゃんは元気です

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