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おみくじの話


初詣は毎年、場所こそ違えど必ず京都の神社に詣でている。

今年は最初、伏見稲荷大社に行った。
つい数年前まで伏見稲荷大社からほんの徒歩数分の場所に住んでおり、初詣でもそうでない時も何回か来たことがあった。ので、今回もかって知ったる自分の庭の如く慣れたもので駅から参道をスイスイと歩いて行った。(実際は外国人観光客が多すぎて、歩いては止まり、歩いては止まりを繰り返していたが。どんどん増えてる気がする、外国人)

初詣は毎年旦那さんとふたりで行く。付き合っているときからずっとそうだ。
旦那さんは屋台で食べるじゃがバターと神社のおみくじが大好きだ。しかしながら大社の裏参道にズラリと並ぶ屋台の中にじゃがバター屋さんを見つけたことはまだない。一度花見の時に八坂神社で見つけたくらいだ。
なのに、彼は今年もキョロキョロと周りを見回しては「…やっぱりない」と頭を垂れていた。

おみくじは神社備え付けの番号が入った長方形の箱を振り、出た番号を巫女さんに申告して紙をもらうシステム。最近はどこでもそうらしい。彼はその箱を「お願いします」「お願いします」と一生懸命に振っていたが、反対にわたしはあまりなんべんも振ることはせず、軽く振って出てきた番号を巫女さんに伝えた。

いっせーの、で紙を開く。
わたしは大吉。彼は凶のち吉だった。
のち、吉と書いてあるのに、彼のおみくじにはなかなか救いようのないような悲しいことが書いてあった。文章だけを読むと大凶レベルの。


彼は凹んでいた。あきらかに。河原町に移動してOPAのカプリチョーザで大好物のライスコロッケを食べながらも「自分でもなんでこんなにへこんでるか分からへん…」と頭を下げていた。

彼のおみくじには「その選択早まったんちゃうん?ちゃんとせな、取り返しのつかんことなるで」みたいなことが書かれていた。(意訳)
彼の人生を左右する大きなイベント。
って、
私たちの結婚かなぁ。
と、お互いの頭に浮かんだのは2人とも分かっていた。私たちはつい二月前に結婚した。
めっちゃタイムリーやん。逆にこの事しかなくない?と思った、ことを彼に言った。
彼は「そうやんなぁ」とへにゃりと笑ったあと、ふいにスマホを取り出しこの次に行く神社を調べ始めた。
伏見稲荷大社のおみくじは無かったことにするから。次が本番やから、と言った。

次はえびす神社に行った。
わたしはおみくじは引かなかった。彼のおみくじは小吉だった。

最後に市比賣神社に行った。
ここはおみくじは無かったが、とても可愛らしい方に出会った。

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家に来ていただくことになりました。

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おしりからおみくじが出ます。

結局彼のテンションが上がることはなかった。参拝中、彼が何を祈ってるのか分からないけれど、大吉の私が幸せにすれば良いのだ、とふと思った。

※写真は八坂神社です。(後日旦那さんと行きました。おみくじは中吉でした)

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