番組『素顔のギフテッド』視聴感想

noteでは初めまして、知的ギフテッド(IQ133(WAIS-Ⅲ))×発達障害(ASD)の成人女性です!
ギフテッド×発達障害=2E(Twice exceptional)です!2Eについての日本語の記事はほとんどないから、今は言葉の意味だけ覚えてくれたら嬉しいな!よろしくね!

ボロ泣きしながら番組の感想書いたよ!はいどん!

1人目(11歳の少年)

世間の「ギフテッド」イメージ通りの天才少年だな…という印象。
数学は研究者レベル、音楽も音大合格レベル、番組内では触れられてなかったけど地図や生物図鑑も壁に貼ってありましたね。
何事にも広く深く興味関心を掘り下げるタイプなんだろうな。

学校には行けていない理由は「授業がつまらない」から。そりゃそうだろう。40歳が4歳児に混じってあいうえおの練習やらされる感覚なんじゃないか。
しかし日常生活や他社とのコミュニケーションの様子は、良い意味で“普通”に感じる。
彼の高度な数学トークにお父さんはついていけてないけど、それを責めるでもなくふ〜んってな具合に上手に流してる。
このあたりの振る舞い、2人目の少年(後述)と比較すると顕著な違いがある。

推測だが、彼が学校生活に支障を感じるのは「知能が高すぎて、学習スピードに合わない」いわゆる“浮きこぼれ”であり、他の障害を起因とした不登校とは性質が明らかに違うのでは?
彼は「困り感(障害)のない」純然たるギフテッドっぽい。
お父さんが話していたとおり、普通級に押し込めると潰れるので、どんどん飛び級させるとよさそう。
私は彼ほどの神童ぶりはなかったけれど、確かに小1当時から授業の進みが遅くてイラついてました。
「つまんない」「早く次進んで」って素直に言っちゃったらどうなるかを想像できたので、聞いてるフリしてずっと空想してた。
そのおかげで「勉強とは、つまらないけど大人を怒らせないためにやらなければいけないもの」とインプットされたし、見事に嫌いになりました。
(ノ゚Д゚)八(゚Д゚ )ノイエーイ

2人目(7歳の少年)

知的ギフテッド×ASDの2Eですね。たぶん。自分と似すぎてて見ながら頭抱えた。
以下に共通点を挙げていきますと

(1)学年相当ではない難しい漢字が書ける。しかもなんか楽しそう。
(2)集団行動が苦手。離れたところでポツーン。校長室に避難。
(3)致命的なほどに時間感覚がない。「今は○○の時間」と人に言われても、言われた通りにすぐ取り掛かったり止めたりすることができない。自業自得なのに周囲に八つ当たり。
(4)自分の感情やモチベーションをコントロールできない。
(5)先生や母親と適切なコミュニケーションを取れない。お互いに一方通行で腹落ちしていない。
(6)興味関心の対象がバラバラ。模写、科学、楽器(ジャンルまで自分と一緒…!)。そこそこに上達するが、一点特化して飛び級できるほどの神童ぶりは発揮されない。
(7)異様なのめりこみ。スマホから目を離せない。(あれたぶんスマホ依存じゃなくて過集中)

ここで特筆すべきは「1人目との共通点は(1)しかない」ことなんですよ。
(2)(6)(7)も共通点っぽく見えますが、1人目の子の場合、(2)は数学という共通の趣味コミュニティでは楽しそうにやってるので協調性はありそうですし、(6)は言わずもがなの神童ぶりですし、(7)は親に「ごはんよー」って言われてちゃんとごはん食べてるので全然違います。食べねえんだわ。止められねえんだわ。異常なぐらい言うこと聞かねえんだわ。
だから1人目はギフテッド、2人目は2E。と私は判断しました。

お母さん…大変ですよね…。1人目みたいな子だったらとにかく本人の興味関心分野をガツガツ与えておけば3人目(後述)のように正当進化してくれるんですが、2Eなんでね。そうはいかんのですよ。知能は浮きこぼれてるし、社会性は落ちこぼれてるし、向こう20年は苦難の連続だと思います。つらいね。つらいよ。
お母さん、彼の心が死なないよう、できるだけ理解者になってあげてください。でもお母さんも自分の幸せを大事にしてね。自分の精神や家庭が潰れないように。
あとスマホは奪わないであげて…彼がいま夢中になってググってるそのキーワードが彼の命を救う仕事につながる可能性がワンチャンあるから…。Windows98とPHSが私の小学校生活の数少ないオアシスでしたし、その原体験が今の仕事に繋がっています。

3人目(30歳男性・京都大学教員)

1人目の育成成功例って感じですね…。
同僚や奥様とも良好な信頼関係を築けていますし、本人もこれといった困り感を訴えていませんし、純然たるギフテッドだと思います。
エネルギーと騎士道、まったく関係のない分野に深く興味を示すことが不思議と同僚さんは評していましたが、これはギフテッドあるある〜な感じします。本人の中では1つの源流に繋がっているんですよね。他人にとっては支流しか見えないからバラバラに感じるだけで。
私の場合、マーケティング、トレンド、広告、クラシック音楽、サブカル、デザイン、ファッション、心理学、知能、精神障害、ダイバーシティに興味があるんですが、源流はひとつです。こうやって並べるとまとまりねえな。

余談かつ持論ですが、京都大学は「知的ギフテッドと2Eが日本一集まりやすい場所」だと思ってます。私は京大卒ではないですが、縁あって京大周辺に短期滞在し、滞在中に複数の京大生とみっちり関わったことがあるので。。肌感でそう思う。
なので、京大のカウンセリングルーム、2E支援のナレッジが溜まっているのでは?と感じます。
↓これとか実に素晴らしい記事です。不登校状態の高校〜大学生と新たに知り合ったときは、まずこの記事見て!ってURLを送ってます。
https://www.gssc.kyoto-u.ac.jp/counsel/ryunen.html

4人目(20歳男性・東京藝術大学中退)

発達障害かどうかはわからないけど、1人目や3人目とは明らかに異なる社会不適合を抱えており、2Eっぽいな〜と思いました。
(「常識的にやってはいけない」表現活動を繰り返し、退学させられてるので、ぶっちゃけASDっぽいな〜と)
ハイリーギフテッド、何事も速くできすぎてしまうので、人並みの努力や忍耐がわからない(そりゃそうでしょうね…)。でもたぶん全部が全部そうとは言えず、IQで測れないところに障害があるのでは…?という印象を抱きました(失礼)。番組内では具体例が取り上げられていなかったけれど。彼自身でまだ分析・言語化しきれていないんじゃないか…?IQ173とはいえ若干20歳ですし。
彼の場合、たとえば面接の場面で、履歴書を用意して、スーツを着て、ノックは2回。みたいな「本質的な意味は全くないが、社会性を示すためだけに強制される慣習的行動」に耐えきれないのでは。という想像。あんなもん、まともに考えたら悪ですからね。見当違いならごめんなさい。
(私は耐えきれない人だったので新卒面接はやってませんし今も私服勤務です。さいこ〜)

5人目(16歳の少年と、彼のカウンセラー)

共通点や共感を通り越して、もはや実家のような安心感。
少年とカウンセラー、形は違えど両方とも似たような体験をしてきたので、特筆するのも難しいのですが、ただ言えることは「このような当事者と支援者の出会いの場が増えて、世間に広く認知されて、当たり前になりますように」という願いだけです。
カウンセラーの竹中さんを秒でフォローしました。IQと職歴が私のそれとあまりにも似ていて震えた。生き別れの兄弟ですね!(脊髄反射)

6人目(59歳男性)

まさに「素顔のギフテッド」ですね。この方で締めてくれてよかった。
大手企業での勤務。まだギフテッドという言葉すら存在せず、気軽な転職も許されない時代、大変な苦労をされてきたのではないでしょうか。
障害を抱えていてもいなくても、周囲とは衝突の連続だったと思います。
早期退職という選択、うつ病ゆえに素直に受け入れられたのか、それとも。

幸運にも社会的な名声を得たギフテッドにとっての最大の難関は「キャリアを閉じること」ではないかと考えています。私はまだこれからなので、わからないけれど。
死んでしまった私の父、そして祖母は、私の見立てでは2Eです。
ともに「自分の意思でキャリアを閉じられなかった」人でした。
彼らは自身の衰えを受け入れられなかった。プライバシーに関わるので具体的な言及は避けますが、悲惨でした。今もその余波は続いています。それを傍で見届けることは過酷でしたし、正直トラウマです。
私もいずれああなるのではないかという恐怖が呪縛のように纏わり付き、私の首を締めてきます。おばあちゃんも、お父さんも、あのおじさんみたいに穏やかな老後を受け入れてくれたら、すべてが違ったのに…と思うと涙が止まりません。

最後に

予告を見た時点では「妙な取り上げられ方をしているのでは」と心配しましたが、杞憂に終わりました。邪推してごめんなさい。
ギフテッドを特集する番組に予算を振り分けてくれたNHK、当事者の方に密着取材したスタッフ、そして出演した当事者・家族・支援者の皆様、ありがとうございました。
人生がうまくいっている人、いっていない人、自身のギフテッドネスに肯定的な人、否定的な人、すべてひっくるめた「素顔」そのままを取り上げられていて本当に良かったです。

要望を挙げるとすれば、Twitter上で既に何人か指摘していますが「女性の当事者がいないこと」「2Eに言及されていないこと」の2点です。
前者(女性)については、番組未視聴時点にも関わらず前のめり気味に「次回制作があればワイ出るやで」とツイートしました。(ADHDかよ)(そうだよ)
私、家族や会社には取材許可どころか、2Eであるとすらロクに話していないので、実際に出るとなったら交渉が面倒ですが、私の描くゴールと一致しているので、全然やります。やらせて。
私が「あまり一般的ではない」と言える特徴は、出自・学歴・知能(障害)ぐらいなので、番組的な見せ場に値するか不安ですが、最後のおじさんはスーパーでウキウキショッピングしてるのがメインカットだったので若干ハードル下がりました。そ…それならできる…。

後者(2E)については賛否両論ありそうですが、その上で「やっぱり触れてほしかったな〜」と思います。
一般視聴者はギフテッドや発達障害に関する知見はほとんどないはずで、その状態でギフテッドと2Eを同時に並べて見ると「1人目の子供と2人目の子供の違いはなに?」と混乱すると思います。
2人目は1人目ほどの強烈な超人的才能はなさそう、でも1人目も2人目も学校には合わなさそう、え〜なんで〜?性格の違い〜?う〜んわかんない!
というモヤモヤエンドを迎えているんじゃないかな。一般視聴者は。
2人目はASDのクロか、良くてグレーでしょう。「あれはギフテッドネスではなく障害特性やで」ってちゃんと着地点をつけてあげてほしい。
(※主治医ではない人間が障害鑑別をすることは本来タブーです。すみません。)

あれこれ書きましたが、民放では絶対やらないだろう、他のメディアでは予算調達的に難しいだろう「ギフテッド当事者の密着取材&放映」に携わられた皆様に、改めて感謝の意を申し上げます。

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