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【VOY@GER】アイマス16周年MVの凄さを、言語化させてくれ。

2021年7月26日(月)に、シリーズ16周年を迎えた「アイドルマスター」

その日から一ヶ月後、8月25日(水)に公開された「アイドルマスターシリーズ コンセプトムービー2021『VOY@GER』」

アニマスのチームが再集結!という触れ込みのMV。

これが、凄まじい映像体験だった。


未視聴のプロデューサーは、まず見てくれ。


「アイドルマスター」が目指す、

新たな地平が、新たな宇宙が、新たな次元が、新たな世界が、新たな未来が、

この8分間の中に、ある。




昨年、15周年PVを見た後、こんな記事を書いた。


あのPVも最高だったが、『VOY@GER』もまた、最高だった。



15年間の「これまで」を凝縮した15周年PVに対して、
16年目の「これから」への、新しい一歩を踏み出した『VOY@GER』。


これまで辿ってきた、すべてのアイマス文化への讃歌
その翌年にもたらされたのは、これから辿る航路を示し、アイドルとプロデューサーを導かんとする、コンパスのような船頭歌だった。

まさに、「シリーズコンセプトムービー」の名に相応しい。



素晴らしい作画にキャラデザ、生き生きと歌い踊るアイドルたち。
縦横無尽なカメラワークに、美麗でハイセンスなステージ演出。
アニメーションとしての良さを上げたらキリがない。

しかし、そんな言葉じゃまだ足りないすべてのカットに込められたアイがあればこそ、こんなにも視聴者の胸を打つ。



なんどでも泣かされ、なんどでも笑顔にしてくれた15周年PVから一年。

もう一度、このタイトルで言語化できることに、心から感謝して。



【VOY@GER】アイマス16周年MVの凄さを、言語化させてくれ。

私なりの祝辞と、恩返しを。



今回の言語化は、映像演出の巧みさの他に、意図や哲学、すなわちコンセプトを紐解いていく。いわゆる“考察”っぽさがある。

ので、独自の解釈が多々含まれる、許して。

「君はそう思うんだね。」と、宇宙のように広い心で読んでほしい。



以下、最後の前置き。

もう誰かのプロデューサーであるあなたにも、
まだ誰のプロデューサーでもないあなたにも、

『VOY@GER』に積み込まれた「アイ」を感じ取り、「もう一度、アイドルたちと8分間の航海に出たい」と思ってもらえる、その燃料の足しになればと思い、書きなぐります。


そしてこの記事を、最高のMVを描いてくれたあなたに捧げる。



では、始めよう。

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1, ARグラスをかける。(0:00~0:10)

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待ってくれ、いきなり情報量が多い。

……1つ1つ要素が盛り込まれており、スルーできない。


大変申し訳無いが、しばらくアイドルは出てこない。

私もアイドルについて言語化したくてたまらないのだが、MVのコンセプトを言語化するために、まずは、文字列の解読を、します。


忙しいプロデューサーは、↑の目次リンクからジャンプできる。おすすめだ。




冒頭、ARグラスをかける、という演出から映像が始まる。

「VR」ではなく、「AR」というのがポイント。

AR(Augmented Reality)=拡張現実
VR(Virtual Reality)=仮想現実

現実世界の延長線上にあるARと、仮想世界に飛び込むVRと。

ARスタジオビューイングレボリューションの違い、みたいなことなのだ。たぶん。


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このARグラスの存在はすなわち、
「アイドルたちが生きる世界は、我々が生きるこの世界と地続きにある」
「アイドルたちは、我々と同じ世界に存在できる」という表現だと思う。


この哲学は、『VOY@GER』MVを言語化する上で外せない。




次に左上、右下、右側の文字群について。
ARグラスに紐づく様々な機能が書かれている。

かいつまんで行こう。



●左上

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「no.62-70-5002」
2005年7月26日、つまり初代アケマスの稼働日、「はじまりの日」の逆読み。


●左下

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「package」として、15の「character」が読み込まれていく。


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239.28ミリ秒を経て、「VOY@GER v2021.8.25」のインストールが成功。
公開日の日付になっているのが、これまたニクい。


●右側

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な、長い。分割します。



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「s-05-1977 / 12:56:01」
1977年9月5日は、宇宙探査機、ボイジャー1号が打ち上げられた日。
12:56:01はUTC(協定世界時)に合わせた発射時刻。

ボイジャー1号は1977年9月5日に打ち上げられ、2021年現在も運用されている。
同機は地球から最も遠い距離に到達した人工物である。

―Wikipediaより引用

もうめっちゃ示唆的じゃん。


曲名でもある「VOY@GER/ボイジャー」は、この楽曲とMVの重要なモチーフとなっている。

何度も反復されるので、ぜひ調べてみてほしい。


ちなみに姉妹機のボイジャー2号は、16日前の1977年8月20日に打ち上げられている。



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Ultraviolet Spectrometer=紫外線分光計

……?????
わからん。ググろ。




なんかNASAのボイジャー号のページがひっかかったんですケド!?


……わからないなりに調べた所、


光に対して、プリズムとかを用いて、スペクトルを得て、対象物について調べる分光法ってのがあって、

対象に紫外線を選ぶ方法・機器があって、

ボイジャー1号には、惑星の大気とか成分の分布とかオーロラ活動とか、いろんな特性を調べる紫外線分光計が採用されてた。


?????
自分でも何を言語化してるのかわかってません。

そして、『VOY@GER』MVの中の何を指しているのか。


プロデューサーさんの中に、副業でNASAとかJAXAやってる方はいらっしゃいませんか!!!



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Calibrating aurora device=オーロラデバイスの較正・調整。


aurora deviceってなに……。
ググっても出てこない。


あれ、でも、ここに並んでる英語……。
どっかで見たな


・IMU 慣性計測装置(Inertial Measurement Unit)
・Mics マイク
・Depth Module 深度モジュール
・RGB Camera RGBカメラ
・Illuminance sensor 照度センサー
・Distance Sensor 距離センサー
・Battery Level バッテリー残量



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IMUbattery


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Depth Camera、Mics




…………あ?


これ、

AR glasses=AuRora device、ってことか!?



言われてみると、ARグラスに必要なもののように思えてくる。

・IMU 慣性計測装置(Inertial Measurement Unit)
・Mics マイク
・Depth Module 深度モジュール
・RGB Camera RGBカメラ
・Illuminance sensor 照度センサー
・Distance Sensor 距離センサー
・Battery Level バッテリー残量


オーロラというと、不確かで不明だが、神秘的ですべてを凌駕する美しさがある現象、みたいなイメージがあります。

突飛な超常現象ではなく、いつかきっと解明できる自然現象。
研究が続けられていて、人工的なオーロラを作り出すことすらできている。

そんなオーロラの観測を、最先端の技術を用いたライブの鑑賞に見立てる。

その象徴・具体化として、ARグラスにAuRoraデバイスの意味と機能を込めた……のでは。


オシャレすぎん?



さらに、気になる記述があった。

分光
オーロラの光そのものを分析し、何が光っているのかを調べる研究もなされていた。だがこのアプローチは、分光学そのものの発展を待たねばならなかった。オーロラ分光学が始まったのは1850年代、そして最も代表的な緑白色の光の波長が正確に測定されたのは約70年後の1923年である。

―Wikipediaより引用


あ〜〜〜〜〜

……ッ……あ〜〜〜〜〜〜〜(言語化をしろ)


謎の存在だった、
Ultraviolet Spectrometer=紫外線分光計 は、
オーロラのようなアイドル・ライブを観測するために、ARグラスにインポートされた機能。

そう考えると辻褄が合う気がしてくる。


NASAのボイジャー号のページにも、

To investigate night airglow and auroral activity.
(訳)夜間の大気光とオーロラ活動の調査

とあり、「aurora device」に込められたニュアンスが見えてくる。


……深読みかもしれない。

でも、あれだけのMVを出してくる創り手が、「なんとなくそれっぽい単語」を選んで羅列するハズがない。すべてに意味がある、ハズ。


まぁ私の解釈がハズレてるかもですが!



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・Running network diagnosis ネットワーク診断の実施
・Checking system requirement システム要件の確認
・Establishing network connection ネットワーク接続の確立

意味がわかる言葉が出てくると安心する。

このARグラスは、なんらかのネットワークと接続して、ステージ演出の数々を見せてくれている、ということだろう。





……ゼェ……ゼェ……。
文字群の解読が終わりました……。


冒頭シーンに関しては、あと1つだけ。



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画面下部に、我々視聴者に向けたテロップが表示されている。


Welcome to the world of THE IDOLM@STER!
(訳)アイドルマスターの世界へようこそ!
This is a world of the near future.
(訳)これは、近未来の世界。
The five shining stars invite you to this wonderful journey.
(訳)5つの輝く星々が、あなたを素晴らしい旅へ誘います。


もうめちゃめちゃ良いじゃん。



そしてラストは、


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"Are you ready?"


I'm LADY!



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セッティングを終えたARグラスが向かってくる。

画面右端に注目すると、文字=UIを超えて描かれているのが分かる。

映像の中から飛び出して、現実世界の我々自身がメガネをかける、という演出。



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いざ!




ちなみに、ここまでで約10秒。やばい。




2,カウント“アップ”、前に進む。(0:10~0:42)

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アイドルたちが映り込むプリズムをくぐり抜けながら、「1」から「16」まで、順にカウント"アップ”していく。

単なるスタート合図のカウントダウンではなく、16年目のその先への歩みを示す。


各ブランドが順番に登場。タイトルロゴが配置されている。

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『THE IDOLM@STER』(2005)


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『アイドルマスター シンデレラガールズ』(2011)


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『アイドルマスター ミリオンライブ!』(2013)


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『アイドルマスター SideM』(2014)


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『アイドルマスター シャイニーカラーズ』(2018)


このカウントアップのバックに流れるのは、各ブランドの代表曲のメドレー。

「これは“本気(ガチ)”の映像だぞ……!」と身構える。


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監督:錦織敦史

我々は、あなたを待っていた。



……それにしても、「これまで」が詰まったプリズムの中を屈折しながら駆け巡る糸のような赤い光は、一体なんなのだろうか?



3,↑と∞。(0:42~0:50)

カウントアップを終えると、真っ白な画面に。

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アニメ『THE IDOLM@STER』でも象徴的だった↑(矢印)が……、


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∞(無限大)へと変化。


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掲げられるコピーは「未来へ!!!!!」。もちろん「!」の数は5つ。


矢印から発展して、赤帯に白字。
アニマス1期OPの「READY!!」を思い出す。

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前進する↑に始まり、「未来へ」の言葉の向こう側に∞を配置する構図。

さしずめ、
「この先の未来は、無限大の可能性を持つ」
「これから始まるステージには、無限大の輝きがある」
というメッセージだろうか。


この∞マークから始まる演出が、後々の「無限大なんて言葉じゃ まだ足りない」という歌詞にスーッと効いてくる。




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∞の中央に赤い光が走ったかと思うと……、


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幾何学的な模様でデジタルに消えて……、


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左右に分かれ……、


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現れるのは、浮遊する巨大なパネルたち。


∞とTo the future!!!!!は、このパネルに映し出されていた、デジタルサイネージのようなものだったことが判明する。

「映像」的なコピー文字の表示から、シームレスに繋がる「ステージ」への導入。惚れ惚れします。


このパネルこそが、『VOY@GER』を支える影の主役。
MV中の様々な演出をまかなう究極の舞台装置である。

よ〜〜く覚えておいてください。



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パネルたちが左右にハケていき、拡がった視界の先に見えるのは……。



4,アイドルたちの顕現。(0:50~1:29)

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六角柱の集合体。それはステージ。

天から落ちる糸のような赤い光が、細かい周期で動いている。


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光の動きに合わせて、誰かの脚が形成されている。


この演出は、まさしく3Dプリンターのように見える。

3Dプリンター(スリーディープリンター、英語: 3D printer)とは、3次元的なデジタル・モデルをもとにして、(現実の)物体をつくりだすことができる機械のこと。
―Wikipediaより引用

デジタルデータを元に、現実の物体を出力する機械。


つまりこれは、仮想存在であるアイドルたちを、現実世界に顕現させているという表現に他ならない。偶像の受肉だ。

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や。

……ちょっと待ってほしい。


赤い光の糸、これ、冒頭のカウントアップで出てたアレではないだろうか?


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赤い光は、アイドルたちが映るプリズムをくぐり抜け、いろんな方向に反射し屈折しながらも、最後は1つに収束している


この16年間の歴史の中でプロデューサーたちとアイドルたちが紡いできた「これまで」が、いま、アイドルを顕現させたという表現、そう捉えることはできないだろうか?




泣かすな。




いま目の前にいるのは、実在するアイドル。

だとすると、私たちがかけているARグラスには、何が映るのか。


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「_FOOT」「_HAND」「_BODY」「_FINGER」「_ARM」と、身体の部位が出来上がっていく。


そしていよいよ表示される、

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「HARUKA AMAMI」。最初のアイドルの名前。

このワクワク感、ハンパない。




さてここで、各パーツを囲う黄緑色の枠と、パーツ名の横の数値にご注目。

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よく見ると、数値が上がったり下がったりしている。私が貼る順番を間違えているわけではない。


初見時はデータのローディングや、形成の進捗のパーセンテージを示す数値かと思った。

が、明らかに形成は進んでおり、「数値が下がる」のはおかしい
0.6→0.9と飛ぶのも不自然だ。
もっと言えば、なぜ枠線は時折消えてまた現れるのか。
そしてなぜ、どの角度から見ても読める向きの文字表示になっているのか。


このMVはリアルなライブ感が徹底されているのに、この枠線だけがバーチャルで、レイヤーが1つ上の存在になっている。



思うにこれは、「ARグラスが認識・照合する、各パーツ・各アイドルへのマッチング度合いの変動」を示す数値だ。

ARマーカーやQRコード、カメラで撮影するときの顔認識システムのようなイメージを持つと分かりやすいかも知れない。


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徐々に形成される各部位・各アイドルたちを、ARグラスが現実のものとして認識し、該当部位・該当アイドルにデータがマッチするかどうかを照らし合わせている。

形成中は、照合に多少のブレが発生するとすれば、数値の増減や飛躍、枠線の現消にも納得がいく。



アイドルとその身体を、AR表現の基準位置になるマーカーとして認識し、それをトラッキングしたバーチャルな演出が、ARグラスを通して見えている。

『VOY@GER』は、そういう近未来に実現可能なリアリティを持つライブなのではないか?



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3Dプリンター表現も踏まえると、アイドルたちは確かにそこに実在しその肉体を基準にしたAR演出が繰り広げられている、ということなのだろう。


ARグラスは、視聴者が生きる現実世界を拡張させ、仮想のアイドルを可視化するためのデバイスではなく

同じ世界に立つアイドルたちに、仮想のライブ演出を重ねるためのデバイス。
プロデューサーとアイドルが共に生きる現実世界を拡張するためのデバイス。
そのように描かれている。


冒頭に読み込んでいたのは電子的なアイドルデータではなく、ライブ演出のデータ。

3Dプリンターによって顕現した彼女たちの姿に、ARグラスを通した無限大の夢を重ねて見る。

まさしく偶像、まさしくアイドルマスター。




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「1.0」で照合が完了し、対象アイドル・部位の判断とトラッキングが可能になると……、


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枠線は表示されなくなる。

枠線と赤い光が表示されなくなってから、あえて約2秒、比較的長めの間を持たせていることからも、その狙いが伝わってくる。

形成も照合もコンプリートし、ライブの準備OK!というわけだ。


なおイントロの間、パネル群が次のポジションに移動することで、まだ動き出せないアイドルたちの代わりに、画面に動きを付けている。



そして、顕れたるは、


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『THE IDOLM@STER』より、


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天海春香


納得の貫禄だ。史上トップクラスにカッコいいわた春香さんだ。

顔を上げ、眼を開く一瞬、無音のタイミングに合わせているのが鳥肌モノ。





お待たせしました。やっとアイドルが出てきました。





5,「この空の向こう側には どんな世界が待ってるの?」(1:29~1:57)

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歌い出しは上手側のカメラ視点から。

フラッシュのような光で、擬似的に春香がソロになる瞬間を作り、注目させているのがうまい。


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その奥では並行して、4人のアイドルの3D形成とAR照合が進んでいる。

冒頭から映っていた画面右端のは、一足先に完了したようだ。


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視点は下手側へ。

春香の次にお目見えするのは、
『ミリオンライブ!』より、高坂海美望月杏奈

杏奈のアホ毛がアンテナのようにビビッと立ち、スイッチONになっている。

こちらも奥で形成&照合中。
左端の彼女の、頭上の赤い光と、照合フレームが消える。


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ついにカメラは正面へ。一気にアイドルの数が増える。

水平線を引き、その向こうを示す、このMV最初の大きな振り付けを披露するのは、
『SideM』より、Beitの鷹城恭二。
『シャイニーカラーズ』より、ノクチルの浅倉透。
楽屋で「温めますか?」「財布ないわ」とかやってるかもしれない。

この2人は、春香の次に形成が始まっていたアイドルだ。

歌い出しからここまでたった3カットなのだが、既に情報のボリュームアップのスピードがすごい。

イントロのタメから転じて、次々とアイドルたちが現れるので眼が離せなくなる。
最初にじっくりと3DプリンターとARグラスのエフェクトを見せているので、その数が増えてもノイズにならない。

しかもまだアイドルの大半は静止している。


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流星を追って手を伸ばすのは、
『SideM』より、Legendersの古論クリス。
『ミリオンライブ!』より、白石紬。

クリスは新アイドル発掘オーディションで、紬はシアターデイズで、それぞれ新しく事務所に加入したアイドル。



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さあ立ち上がるのは、
『シンデレラガールズ』より、新田美波と塩見周子、そして久川颯。
『SideM』より、神速一魂の黒野玄武。
二つ名みたいだな(それは氷刃)。

15名の中で最も高身長の玄武(190cm)と、低身長の颯(151cm)隣同士にするポジショニングには舌を巻く。

ここまででSideMの3名が登場済だが、その身長差にも関わらず画的なバランスが保たれている。
し、変に揃えないことが、逆にリアルなライブ感に繋がっている。


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立ち上がって走り出す振り付けすき。


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シンデレラガールズ、クール3人組の間を縫って……、


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春香が再びセンターに。


そして、正面からのカメラは5人のアイドルを捉える。

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春香に続いて、透→颯→恭二→周子が、順番に振り向いてこちらを見据えてくる

「旅に出よう 私と」、そう呼びかけてくれている気がする。


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遠く、遠くまで。

春香が指し示すのは、
この空、そしてその向こう側。



6,タイトルロゴ(1:57~2:10)

ここのモーショングラフィックスだけで765杯は飯が食えます。

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星のような、光のような赤い粒子が集まり……、


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直線的なラインが光る。


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ラインは「VOY@GER」の文字の外枠を囲い、その上からステンシルで色を塗るようなエフェクトが入る。


ここで同時に、衣装にもメインカラーの「赤」が入る。
(映像のラストを考えると、アバンタイトルの間は灰色が重なっていた、が正確かもしれない。)

ロゴのモーション、音楽の変化、衣装の変色、そしてパネルのエフェクト。全ての動きが一体となって気持ち良い。



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ステンシルは右に駆け抜け、赤いラインが整う。


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外枠のガイドをなぞるように、VOY@GERのフォントの赤が入ってくる。



それはそれとして、眼をぱっちり開いた、杏奈のアホ毛の躍動を見てくれ。

劇場版を観たあの日から、これを待っていた。



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先程のステンシルの色味と赤いラインがかけ合わさり……、


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ニュッと現れる「VOY@GER」の中を、左から右に色が駆ける。


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赤い色に染まり、


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『VOY@GER』のタイトルロゴが完成。

この間わずか2秒。
複雑な段取りを、流れるように見せる。カッコいい。


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別カメラへ。


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登場とは逆のエフェクト順でロゴが退場していく。

一連のモーションでタイトルは強く印象に残り、それでいてスピーディーに退場してアイドルたちの邪魔は一切させない。感服です。


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タイトルロゴの後に、まずセンターに映るのは、
『THE IDOLM@STER』より、四条貴音。
銀髪のアイドルはこの16年間で何人もデビューしたが、彼女を見る度に「銀色の女王」と呼べるただ一人だと思わされる。


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続いて、
『THE IDOLM@STER』より、菊地真。
「真、まことの王子様」。


この部分、ターンして→右手を挙げる振り付けはカメラ手前のアイドルから順番なのに対し、右手をおろすのは同じタイミング。

この時の並びは、ステージ最前が春香、その後ろに真、貴音と逆三角形型に続いている。

前から後ろにウェーブしていく振りで、それを2カットで断片的に見せてくれているわけだ。こういう細部へのこだわり全体のリアルを増強する。


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腕の回転、指先の動き。複雑な振り付けもしっかり見せていく。


さて、ここに至るまでの背景パネルの仕事ぶりにお気づきだろうか。
映し出されるエフェクトは、音楽に同期して多様に変化している。

最初はフィンガースナップに合わせて赤い光が走り、
ロゴモーション時には、低音に合わせたノイズが走り、
↑のシーンでは、ベースのリズムに合わせて正方形のエフェクトが走る。

初見時はアイドルに目が行くし、パネルもそれを望んでいると思う。
が、良ければ一度、その奥でステージを彩る舞台装置に注目して、見返してみてほしい。



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初の俯瞰。
正六角形が敷き詰められたステージに立つアイドルたち。

ここで位置関係を把握でき、直前のカメラの視点と振り付けの意味をつかめる。


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次のポジションへと移動するアイドルたち。

それぞれの距離に合わせて、走っていたり歩いていたり、歩幅も動きも異なる。


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細かな動きの違いが、リアルな人間の挙動、ライブの“生”感を作り上げている。

MV『VOY@GER』は、一本のライブ中継を、大量に設置されたカメラの視点で見ているようだ。




7,展開する音楽、変化する衣装。(2:10~2:38)

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ッ!? おい!

今、とんでもない美女がカメラを通り過ぎていかなかったか!?


憂いを帯びた顔つきでカメラをかすめたのは、
『シャイニーカラーズ』より、放課後クライマックスガールズの有栖川夏葉。
赤みがかった髪がよく目立つ。

この後のクリスのポーズから推測するに、ひざまずくために落ちていったのだろう。
常に全力の夏葉が生み出す表情と、それを捉えたカメラマンが作り上げた一瞬。ピントを夏葉→美波にキッチリ合わせるのってすごいのよ!


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好奇心のライトを灯す美波。振り付けもそれを表してるっぽい。


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周子の特徴的なキツネ目の魅力が、いかんなく発揮されたカット。


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5ブランドのアイドルが、個性を保ちながら、1つのステージに同居できているキャラデザの賜物。

春香と真が2005年にデビューしてから、透がデビューした2020年までの15年間の変遷が伝わってくる。



さぁ、ここからもパネルの仕事が光る。画面奥に目を向けて。


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4つがひとかたまりになったパネルの下部に光が集まっていき……、


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六角形のステージの表面に、光が移動して……、


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今度はその光が、ステージから衣装へと移っていく。


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衣装が光をまとい……、


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カラーチェンジ!

あまりに自然なので自発的に変色したかと錯覚するが、実際にはパネルがエネルギーを生み出し、それがステージを伝ってアイドルたちの衣装に届いている。


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パネルに表示されていた幾何学エフェクトが、衣装上でも繰り返される。模様と色が変わって楽しい。

推論が正しければ、これもAR。
アイドルをマーカーにして見え方が変化している、はずだ。衣装そのものが発光したり、プロジェクションされているのではなく。


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この辺りでパネルに映っているマークは、惑星記号星座記号、或いは占星術のアスペクト記号っぽく見える。




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左手を斜め上に押し出す春香。
カメラワークも相まって、視聴者を加速装置に乗せてくれる。



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再びカメラは俯瞰に。

そしてまたもパネルから光が飛び出して……、

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アイドルたちの足下から、2度目の衣装替え。




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ステージを横切って……、


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躍り出るのは、
『シャイニーカラーズ』より、黛冬優子。
今回、楽屋での振る舞いが気になる1人だ。


ここで一瞬入る、足元のカットがやはり見事

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ステップを踏み出す足、そこから連続してステージを横切るアイドルたちを見せることで、迫力とスピード感が増す

それまでのシーンとの緩急もバッチリ。ここに衣装チェンジの仕組みの説明まで乗せてるわけで。



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星座を繋ぐ振り付けすき。


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ここの透の髪の動き、すごく綺麗。インナーカラーが映える。


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3度目の俯瞰。おや?画面左上と右端に……、


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またパネルが仕事してる……。3度目の衣装チェンジです。

ここ、初見時にはやけに情報量が多いな〜と感じたのですが、
・前列と後列が入れ替わるステップ
・大きめな振り付け
・アイドルの人数
・衣装の変化
に加えて、背景の動きもあるので、そりゃそうだわなと。

かと言って目が泳ぐなんてことはなく、4人のアイドルがちゃんと目立つ。

特に玄武と紬。高身長の彼と銀髪の彼女に視線が誘導され、この画面をリードしてくれている。



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振り返る(一周してくれる)ターン。



ここからの海美→紬への、ワンカット長回しバトンタッチは必見。

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うみみ……。


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ずるくね? なんだそのファンサは。ここ2フレームだぞ!!



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女子力あふれるパフォーマンスを見せた海美がフレームアウトし……、


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紬が、前方で重ねた手を、ぐっと胸元に引き寄せる。
海美のパフォーマンスを受け取り、次に繋げるかのように。


そんな裏でひっそりと、パネルたちがあつまりウォールを作っている。

ここまでは抽象的なエフェクトを映していた彼らだが、ここからはまた違う表情を見せてくれる。



8,夜空へと飛び出す。(2:38~2:52)

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夜空の瞬きを見やるのは貴音。趣味は天体観測。


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周子の艶っぽいリップが美しい。


……とか思ってたら、なんか背景の情報量が加速してませんか。


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イメージで語るが、なんとなく宇宙船の発射シーケンスっぽい。


画面の左右上部にネジのようにはまっていく数値の単位は「ERPS」

Electric Rocket Propulsion System
電気ロケット推進システムなのでは!?(なのでは!?)


画面左右下にあるのは、スピードメーター的な、何らかの計器に見える。



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画面左奥にも英文が。

・DETECTION:GEOMAGNETIC STORM
 検出:磁気嵐
・CONSULTATION:CLEAR FOR PASSING
 相談:通過許可

……?


磁気嵐が発生すると人工衛星の電子精密機器の故障無線通信の障害などの悪影響が出る場合がある。

―Wikipediaより引用


つまり、磁気嵐(あぶない)が検出された(やばい)から、それを通過するかどうかを相談してる……みたいな?


プロデューサーさんの中に、副業で宇宙船のパイロットとかやってる方はいらっしゃいませんか!!!!



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ここで衣装のエフェクトも変化。
星のきらめきが美しい。


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画面左上。

・OUTER SOLAR SYSTEM PROBES
 外部太陽系探査機

外部太陽系とは、太陽から見て木星以遠の呼称。

ボイジャー1号が最初に向かったのは木星、その次は土星。ボイジャー2号は更にその先、天王星、海王星への接近に成功している。

PROBES複数形なのは、その2機を指しているから?


そして、その付近にある赤い円とそこから伸びる直線は、世界初の人工衛星、スプートニク1号のアウトラインのようにも見える。




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細かいところだが、床や足元にある○、+、✗、〉などの記号は、ネジのようにも見える。宇宙船のパーツ?







……いかん。

そろそろアイドルの話をしよう。



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この「君も私も」の颯の振り付け、たぶんアドリブか自由形だと思います。


『VOY@GER』MVを通して、「君と」「私と」に類する歌詞の振りは、「重ねた両手を胸元に寄せる」統一されている

ちょうど、画面右の真のように。


直後に走り出すので、手の動きがすぐに崩れるシーンではあれど、隣の真と違う振り付けを指示される、というのは考えにくい。

MV全体のCoolなトーンを考えても、やはり真の振り付けの方が自然な気がするし、なんなら颯のそれは少し浮いている気すらしてくる。

しかし紛れもなく、この動きによって印象的なワンシーンに昇華されている。


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準備はできている 君も私も
飛び出そうよ さらに

ステージに夢中になった颯が、この歌詞を自分なりに感じ取り彼女なりに表したのが、この「行くよ!」「行こうよ!」的ポーズなのではないか。

「正統派」アイドル・久川颯だからこそ生じた、彼女自身の魅力の発露なのではないか、と思うのだ。


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もちろん、真横で14年差の大先輩、菊地真が支えているからこそ、でもある。


真相はどうあれ、この颯と真の動きの違いが、また1つライブのリアル感を醸し出しているのは間違いない。



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準備ができ、駆け出すアイドルたち。


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ここでも1カット、行き交う脚を入れるのが巧み。


直前の駆け出しとこの脚の動き

そして……、

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ステージの再背面から……、


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春香の頭上を過ぎ去り……、


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一気に最前面へ!

このドローン的な大迫力のカメラワーク最後のひと押しとなって一連の疾走感を高め、サビに向けて盛り上げてくれます。

「飛び出そうよ さらに」にも、完璧にマッチ



ところで、この最前面、宇宙船の先端のようにも、見えませんかね……。




さぁ、いよいよ最初のサビへ。





9,「キラキラなんて言葉じゃ まだ足りない」(2:52~3:19)

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組み立てられていた外殻がバラバラに割れて……、


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天井ごと吹き飛び、頭上に広がる宇宙へと飛散していく。

ロケットの切り離しシーケンス、に見えなくもない。気がする。



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同時に衣装もCHANGE!!!! 。


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再び、メインカラーの赤色が基調のスタイルに。


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吹き飛んだパーツと、パネルが映す直線的なラインが後方に流れていくことで、アイドルたちを乗せたステージが前へと進んでいく感じが出ています。


そこまでで作り上げたものを破壊し、飛び散ったパーツを置き去りにして前方へと推進していく表現は、「キラキラなんて言葉じゃ まだ足りない」と求める歌詞に合っている。


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贅沢な4連カット。サビに相応しい豪華さ。


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六角形のスキマを走る赤い光も後方に流れ、前進感を補強


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ここの玄武と透、そして次の恭二とクリスが映る2カットで注目したいのは……、


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脚なっが。




……失礼しました。



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玄武と透、恭二とクリスが映るこの2カットで注目したいのは、背景のパネルの上部が途切れていること。そしてパネルがパネルと分かる切れ目があること。

ここだけやけに現実的なステージっぽさがあって、『VOY@GER』は何でもありの仮想空間じゃない、リアルなステージにアイドルは立っているんだ、と理解させるシーンなのだな、と思います。


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凪さん、どう思われますか? この笑顔。


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ステージを走る赤い光と効果線のようなラインが、前方からの視点であることを認識させてくれる。


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クリスのたなびく髪が美しい。まるでタツノオトシゴのよう。


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ここのぴょこぴょこはーちゃんめちゃすき。


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春香と真の眼が逢う瞬間……、


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互いの意図を察するようなアイコンタクト。


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春香が真の肩に手を添えて……、


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…………。


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ありがとう監督。





まだまだサビは終わらない。

16年選手2人のファンサにも負けない、後輩たちのパフォーマンスが続きます。


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vivid_rabbitこと杏奈がキメる、うさぎのポーズ!! ラブラビキューン♪


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続いて、夏葉と冬優子が……、


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「その眼」を指し示す。

ここ、夏葉は片手なのに冬優子は両手
2人とも「らしさ」が出てますし、冬優子なりの“解”が両手だったんだろうな、と思います。


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その眼を 離さないで
私と行こう 今

両手で両眼を指してから、この「離さないで」をキメている姿を想像すると……。
あぁ、「ふゆ」だなぁ……と思う。


「ふゆから絶対、目を離さないでよね!」



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ここの紬と透の口の形、かわいい。


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このカット、あえて颯の顔を見せないのがめっちゃオシャレです。作為的な感じも無くなる。


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最初のサビのラストを締めるのは、海美とクリス。

カメラは上方に向かっていき、ここからの大きな場面転換に繋げます。



それにしても、歌いだしの緊張感すらある春香の表情から、サビを終えてみればアイドルも視聴者もみんな笑顔に。

このコントラストグラデーションも、『VOY@GER』MVの秀逸さだと思います。




10,そこは宇宙。パネルとステージの正体。(3:19~3:31)

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赤いレーザーが飛び交う中、ステージとパネルが分離していく。


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パネルは宇宙へと飛んでいき……、


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六角形のステージはセクションごとに、離れたり段差をつけたり。


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アイドルたちの頭上、パネルが後方に集まっていく。



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宇宙空間を漂うパネル……。








…………ん?


このパネル、宇宙を背景にしてみると、なんか見たことあるような……?




…………んん??


これ、ひょっとして、




宇宙探査機とか人工衛星についている、羽なんじゃないだろうか?





ちょっと参考画像を並べてみよう。



小惑星探査機_はやぶさ2_CGモデル


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いや、マジか。

『VOY@GER』の演出を担当するこのパネル、宇宙機のパーツがモチーフだったのか。




該当の羽のようなパーツは、「太陽電池パネル」が集まった、「太陽電池パドル」というものらしい。

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・パドル/Paddle…船を漕ぐための櫂(かい)



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でっか……。






しかしこうなると、六角形のステージも気になってくるな。







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あった。これだ。

きく8号のアンテナ。



「きく8号」に搭載されているアンテナは19メートル×17メートルという実に大きなもの。 
テニスコートがすっぽり収まってしまうほどのこのアンテナは、打上げ時には折り畳み傘のようにたたまれて、直径1メートル、長さ4メートルほどのコンパクトな状態で収納されます。
そして打上げ後に宇宙空間で切り離され、まるで花が咲くように美しい大きなアンテナを展開するのです。

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でっか……。



多彩なエフェクトでライブを華やかに魅せてきたパネルも、アイドルたちを支え続けて、時にパネルと衣装の仲介を果たした六角形のステージも、

『VOY@GER』でアイドルたちが立つ舞台は、宇宙を飛び交う探査機や人工衛星をモデルにしていると思われます。


太陽光を変換し、エネルギーを生み出す太陽光パドル。
情報を送受信し、人と人とを繋げる巨大アンテナ。

彼らは、ステージの上でアイドルたちを助けているようにも、MVを見た我々が受け取る恩恵を示しているようにも思えてきます。


総じて、宇宙とそのロマンを歌う『VOY@GER』において、これ以上ないモチーフであり、「宇宙開発」に対するリスペクトに溢れた舞台設計だと感じるのです。


これに気付けただけでも、言語化に挑戦した意味はあったな、と思える。





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パドルとアンテナが、立体的なステージを構築していく。


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アイドルたちが立つ舞台の意味を知ると、このステージ・このMVに込められた意図が、また1つ見えてくるような気がする。




11,「飴色のレコード鳴らす」(3:31~4:12)

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春香がセンターに立ち、2番を歌い出す。

ライトでパッと明るくなり、それまでの暗さとの対比によって「2番が始まりましたよ!」感を出している。


この「飴色のレコード」は、「ボイジャーのゴールデンレコード」のことだろう。

ボイジャーのゴールデンレコード (Voyager Golden Record)、またはボイジャー探査機のレコード盤とは、1977年に打ち上げられた2機のボイジャー探査機に搭載されたレコードである。
地球の生命や文化の存在を伝える音や画像が収められており、地球外知的生命体や未来の人類が見つけて解読することを期待している。

―Wikipediaより引用


この宇宙のどこかにいる、地球外生命体に向けたメッセージが収められたレコード盤で、凄まじいロマンに満ちた代物である。
その“良さ”から、様々なSF作品で取り上げられており、ご存知の方も多いかも知れない。


このレコードは、『VOY@GER』において、最重要のモチーフ。私はそう思っている。



さて、2番はソロパートのバトンタッチが続く。

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春香と入れ替わりでセンターに立つのは……、


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颯。ソロで歌い上げる。

散々語られているが、アイマスの原点である天海春香と入れ替わりセンターに立つのは2019年にデビューしたばかり、本MVで最年少14歳の久川颯、という超絶エモシーン。

アイマスの進化、発展、そして根源……。色んなエモを見出してしまう、本MVきっての名カット。

背中で語る春香の貫禄も凄まじい。


その後方ではさりげなく、海美、冬優子、夏葉のステージが降りてきており、この後の合流に繋がる。


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続いては、夏葉
降下するステージで華麗なステップを見せる。


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見ているこっちの胸の鼓動が溢れ出しちゃう。
勘弁してくれ。



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そこから引き継ぐのは海美
この2人には、撮影中も筋トレ談義に花を咲かせてほしいものである。


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得意なリズムに乗っかって、ビシッと決める海美。

この2人のバックで出番を待つ、冬優子のアンニュイな表情も良い存在感だ。



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カメラがグッと左上にパンして……、


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木星の雲でステップを踏む真、紬、貴音、恭二を捉える。

さらに後方ではパネルたちが、木星のホログラムを映し出している。


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背景の宇宙に輝くのは、星々とオーロラか。


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16年経っても色褪せない、凛々しい歌声に惚れ直す。
ダンサブルなステップも相まって、真にドンピシャなソロパートだ。


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真たちが指差した先には……、


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土星の輪っかをステージにする、杏奈、透、玄武、周子

ここも、真たちの指差しを受け止めるような手の形から……、


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くるっとターン。土星の輪っかを表す振り付けだろうか。かわいいね。

背景のホログラムも、木星から土星に変化している。


木星、そして土星が舞台になるのは、もちろんボイジャー1号の航路から。


ちなみに、ボイジャー2号は土星の雲の発見に成功している。
それがこちら。

アイドルたちの足元にあるのも六角形。

図らずも、土星の雲をステージにして、ステップを踏んでいることになるのかもしれない。



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真からバトンを受け取り、ソロパートを歌う杏奈。

かつてバックダンサーとして、輝きの向こう側を垣間見た望月杏奈が、あれからどのようにして「理想のアイドル像」を見出し、この大舞台で実践しているのか。

春香→颯に負けないくらい、真→杏奈もエモの塊・名シーンだと思うのです。

応援するよ!



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透が手を伸ばし、次のソロへ渡す。

真たちの指先に続き、透の手の先にいる次の主役を示す、良い振り付け。



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現れる主役は……、


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冬優子……、


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いや、「ふゆ」だ。


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ふっ……、


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冬優子ォォ!!

ここでリアルタイムで叫んでしまったことを告白します。


みんなをふゆの虜にしてあげる。

彼女が追い越さんとするいつか見た流星は、傍らに立つ先達たちなのか、このMVを見るであろう彼女たちなのか、はたまた。



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ソロパートのアンカーを務めるのは……、


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美波。いつか見た流星が降り注ぐ。


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輝きの先、君を連れて行く、しなやかな指先。


MV中、「遠く」「先」と、天を指差す時にセンターに立つのは基本的に春香で、他にはここの美波だけ。大役を預かっている。

事務所は違えど、かつてリーダーとして奔走し、悩み抜いた2人にこそ指し示せる、「先」があるのかも知れない。



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美波が手をほどき、下げていく後ろで、パネルが分離していく。


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しれっとパネル群に焦点を移し、観客のアテンションを舞台転換へ誘導している。うまうま。


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パネルの群体が形を変え、アイドル達がステージを移動し、ステージも1つを残してせり下がる大掛かりな転換。


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残ったのは、海美、冬優子、夏葉、真、貴音、そして颯。


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パネルはひとつなぎのリングになって、ステージを囲んだ……、

と思った次の瞬間、


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!?


超光速に達したのか!?亜空間航行か!?超空間跳躍か!?

とにかく、これが輝きの先へ向かうワープのような演出だということは分かる。

エフェクト演出からワープまでこなすパネル。




12,ワープ、そしてサイバーダンス。(4:12~4:25)

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一瞬にして6人の衣装が変化。一気にサイバーでカッコいい。


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ゴーグルは、光速移動時に眼を保護するためだろうか。

もともとアテンダントをモチーフとした衣装だが、パイロットとのハイブリッド感がある。


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6人のアイドルたちの中から……、


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まず派手にアクションしてくれるのは、真と海美。

2人の高い身体能力が発揮される、パーフェクトアピール。

亜空間なのを良いことに、360°好き放題に旋回しまくるカメラ。
おかげで、MVの中間地点にある本パートの印象を、それまでの「ライブ」からガラッと変え画的なバリエーションが生まれている。


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続いて、夏葉、貴音、冬優子、颯たち。


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カッコいいアイドルの顔面を、4連続&超スピードでぶつけてくるんじゃないよ。

1人数フレームしかなく回転が速すぎるので、「なんか今とても美しいものを見た気がする……」という印象だけを残して、私たちの心を連れ去っていく。


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速すぎてブレるヒール。躍動感。


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実はフィンガースナップしている颯。


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それに続く夏葉。指先から目つきまで、バチバチに決まってます。


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6人のアイドルたちの姿が、幾重にも折り重なる。

これは、スピードの臨界点に到達している、ということか。





超光速移動をくぐり抜けた先に見える景色は……、



ティザーPVを見た時から、楽曲をフルで聴いた時から。
どう描かれるのか、最も楽しみだったパート。



オレたちのステージ! 始まる今!

315!




13,サイコー!の亜空間ラップ。(4:25~4:41)

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恭二……、


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玄武……、


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クリス……、


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『SideM』の男性アイドルたちによる、圧巻のパフォーマンス!!!

まさか3人だけに絞ってくるとは思わなかった。

しかし、このパートのパワフルなアクションを見ると、名采配だったと言わざるを得ない。



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古論クリスの……投げキッス……。鱚ではなく……。


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ここの恭二のクイクイッって動きすき。

緑と青のオッドアイが背景の銀河や衣装の光とマッチし、一層美しい。


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女性アイドルパートと同じく、360°を動くカメラ。

ワープを終えたらしき背景からも見て取れますが、カメラと画面のスピードはかなり落ち着いている。それが逆に、3人の安定感・存在感を引き立てている。

カメラスピードで迫力を出す女性アイドルと、自身の動きで迫力を出す男性アイドルとで見せ方を分け、それでいて両方に通じるカッコよさを出しているの、本当に巧い。



ここからの「Across the universe」の歌詞に合わせた一連の動き。ここにSideMパートの魅力がギュッと詰まっている

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センターに立つ恭二が、まず玄武と応じ合い……、


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振り向いて、反対側のクリスとも。


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アイコンタクトでバチッと決める。

さぁ!やってやろうぜ!という気合いがほとばしってます。


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そして極めつけは……、


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この、SideM キック!!!


もちろん女性陣にもキックができるメンツはいますが(いっぱいいるな……)、大柄な身体を活かしたこのモーションは、やはり彼らなればこそ。

ここまで伸び伸びとしたボディパフォーマンスを見せるために、SideMのソロパートを作ってくれたのには、本当に感謝です。

「ア・クロース・ザ・ユゥニバース」、と歌に合わせたカット割りになっているのが、これまた気持ち良い……。



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3人が立ち位置を回しながら……、


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バシッとターン!

ここも、女性アイドルはカメラ側が回っていたのに対して、自分たちで動き、回るのは良い対比。



そしてラストのキメ!

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「アイ がほらじきに巻き起こすさ シンギュラリティ(ラリティ……)」に合わせ、亜空間を映し出していたパネルが分離。

ブワーッ!と一気に、それでいて規則的に降下していくパネルにはプロ根性すら感じる。

これのおかげで、決めポーズが映えるし、ラストステージへの転換の合図にも、そして「下降」する動き自体が、直後にせり上がってくるアイドルへの伏線にもなっています。



あと、「シンギュラリティ」を、『SideM』が歌うの、最高です。





14,形成されるラストステージ。(4:41~5:06)

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まずは京都と京都?の面妖コンビ。

ぐんぐん上昇していく後ろには、高さを示す目盛りと数値が見える。


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妖艶なミステリアスさ漂う2人。
でも楽屋では八ツ橋食べる?とかやってるかもしれない。


後方では、大活躍だったパネルたちが退場していき、同時に電子のキューブが湧き上がってきている。

これが、ラストステージの景色の構成要素となる。


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高さ300を過ぎて、せり上がってくるのは……、


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海美と真。
今度は、真が海美の肩に手を添えている。


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「君となら行ける きっと」。

眼を合わせ、肩に手を置き、ほほえみかける姿は歌詞にピッタリ。

目盛りは500までを示し、ステージはより高みへと昇り続ける。


さて、この一瞬、

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誰か2人が通り過ぎている。

ワンピースルックの衣装と、この後の位置関係的に夏葉春香かな……? わからん。 


カメラの前を高速でかすめる何かで、スピード感をつける、みたいなもっともらしい技法の話はあるけど……。

でも、この角度でカメラ回したら、そりゃ映っちゃうのよ。

だってそこにいるんだから、生身のアイドルが



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紬と颯の眼がまず合い……、


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互いに笑いかける。ここの紬の表情変化がマジでフェアリー。なんなん?


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そして反対側の透も……、



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正面→背面の2カット越しに笑い合う。左右に笑いかけるはーちゃん。

この後、「叶えたいよ 全部!」に合わせて、それぞれが自由にポーズを取るが、そのためのアイコンタクト。


この時の背景の変化も是非見てほしい。

キューブ体が構成するビル群のボーンが完成し、テクスチャが乗るようなエフェクトが、手前から奥へ走っていく、と同時に……。

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最奥の空までもが、電子的に組み上げられていく。


冒頭にあった通り、これは近未来の景色なのだろう。

明確な単位は見当たらないが、仮にメートルだとすると日本には500mを超えるビルなんてないし、世界中を見渡しても数えるほどだ。

或いは、銀河を超えて、宇宙を超えた、地球に似たどこか別の星でのルーフトップ・ライブなのかもしれない。


「全部」の歌詞に合わせて手を広げる、3人の眼前には……、

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5ブランドのロゴ、そして各事務所のアイドルたちが登場。

街中っぽい、ストリートっぽい、宣材っぽい、屋外広告っぽい写真が選ばれている。


よく見ると、画面右端に961プロがちゃっかり入ってる。

黒ちゃん、よく許可出したな。

「我が961プロではなく、どこの馬の骨とも知れん弱小プロダクションども、ましてやしょぼくれた765プロとかいう三流事務所がセンターだとォ〜〜〜!??」とか言いそうだもんな。




まぁ961は置いといて。


この一連のシーン、めちゃくちゃ美しいと思うのです。

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何億光年だって 君とならいける きっと
無謀な夢を見て 叶えたいよ 全部

この歌詞と共に、全てのプロダクションを映すのは、

それぞれのプロダクションが、
そこに所属する全てのアイドルたちが、
全ての担当プロデューサーたちが、
「叶えたい夢」を歌い上げているように思えるし、

アイマスというコンテンツそのものが、
無謀だと言われても叶えてきた夢、
叶えたい夢
について語っている、気がする。


もう1つ特筆すべきは、ここに映る三人のアイドルたち。

紬も、颯も、透も、今回出演するアイドルの中では、それぞれの事務所の中で、最も新しく所属した、いわば後発組


「すっかり色あせて、霞んでいた、幼い頃の……たわいもない夢」を叶えにきた白石紬。

「みんなに好きって言ってもらえるアイドルになりたい」久川颯。

「のぼってものぼってもてっぺんに着かない へんなジャングルジムの夢」を見る浅倉透。


彼女たちが、目の前に広がるアイマスの歴史を前に、「無謀な夢を見て 叶えたいよ 全部」、と高らかに歌い、宣言するのは、本当に美しいと思う。


「全部」を示す手の動きの違いにもまた、各々の夢への、それぞれらしい想いが込められているかのよう。



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外側から順に中央を向き、天を指す。


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ここ、『SideM』組の「もっと遠くへ(低音)」に合わせてレーザーが散乱するの、ぴったり揃っててただただカッコいい。


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先程振り向いた杏奈、冬優子が左右に、
中央には透、颯、紬。

直前と同じアイドルが映るので、意識しないでも自然に位置関係が把握でき、場面の連続性を感じ取れる。本当に見る側の引っかかりがなく、心地よい。


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ステージに立つ14人のアイドルたち、その外側のビル群に浮かぶ全てのブランド、全てのアイドルたちの想いド真ん中で受け止め

「銀河を超えて 宇宙を超えた 先」を指差すのは……、


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このアイドルしかいない。



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空に浮かぶ、UFOのような巨大な舞台装置をアイドルたちが指差し、ステージから放たれた赤いレーザーが収束していく。

夢、願い、そしてアイが幾重にも重なり、1つになるかのように。


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その時 空から、不思議な光が降りてきたのです……。

ここ、地上から放たれたサーチライトと、意思疎通してるみたい。


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このUFO、スピーカーが取り付けられており、照明ユニットの役割も兼ねた、最後の舞台装置・超巨大バトンであることが分かる。

ここにきて、宇宙のロマンの代名詞であるUFOを選ぶ。そのセンスたるや。


実在すら怪しまれる存在でありながら、いつかコンタクトを取れると夢見てやまない、未確認飛行物体。

頭上のUFOに乗っているのは、或いは乗ってやってきたのは誰?
光と音を通じて、コミュニケーションを取っているのは誰?

色々な想像をかき立てられる。



荘厳かつきらびやか。
光と音を放つ、巨大な宇宙船。
そして、光と音を通じたコミュニケーション。

真っ先に思い出すのは『未知との遭遇』だ。

奇しくも、ボイジャー計画と同じ「1977年」に公開されたこの映画。

ファクターとなるのは「音楽」である。


さらなるスーパー余談だが、同年にはスペース・オペラ『スター・ウォーズ』第一作も公開されている。


人々が宇宙に果てない浪漫を寄せ、それがエンタメとしても大成していたのが「1977年」だったのかも知れない。




15,「アイ MUST GO !」(5:06~5:33)

この時に春香が歌う歌詞、これもまたVOY@GERにおいて重要な意味を持つ。

I must go 君と見た夢の続き

行かなければならない、君と見た夢の続きへ。

アイ マスと GO

この震える掛詞は、もちろん、
10周年記念曲『アイ MUST GO !』へのオマージュだろう。


この道の向こう 進んだ先は
どんな未来があるのだろう
その未来を確かめるため 歩いてゆくよ


あれから6年。

この道の向こう、進んだ先の未来で、

この空の向こう側に、輝きの先に、銀河を超え、宇宙を超えた先にある未来へ向かって、アイマスは未だ歩いている。


あの頃への憧憬、あの曲へのリスペクト、そしてあれからの進化、歩んできた道筋、その全てを内包した歌詞。

そしてそれを、2015年と同じく、天海春香が歌う。嗚咽が止まらん。



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春香の背中を引き継ぐのは……、


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紬。

I must show 君を連れていく光

見せなければならない、君を連れていく光を。

アイ マスと しよう!も掛かっている感じ。

シアターから、新しく入った紬に、「show」の歌詞がよく似合う。



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I must see 誰もまだ知らない先

見なければならない、誰もまだ知らない先を。


seeには、sea/海が掛かっている。と思う。

ステージの麓には波立つのは、光の海だ。



今回の登場アイドルの中で、「海」と言えば……。
いっぱいいる気がするが、ここは元海洋学者の古論クリスを挙げよう。
29歳。このステージでダントツの最年長だ。


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あらゆる陸地が踏破され、地図に刻まれた現代でも、海はいまだ未知への好奇心を受け入れる深さがある、おわかりですか?
ですから私はアイドルとして、海の魅力を語りたいのです。

これはクリスの履歴書に書かれている未来に向けた決意だが、
彼が語る、根源的な「未知への好奇心」は、宇宙開発にも通ずる部分がある。


彼の海談義はすさまじく、体感としては口を開くと十中八九、海について語っている。(もちろんそれ以外の話もあるが)

海の魅力を誰よりも知り、語りたがる彼だからこそ……。
広い宇宙にも、海に通じる、ロマンを見出す。

実は、『VOY@GER』において、これ以上無い人選なのでは、と思っていたりするのだ。


だからこそ、「I must see 誰もまだ知らない先」のタイミングで、彼が画面に映るのだと思う。

このステージはまるで宇宙という大海のように輝いています。
ステージという海を活き活きと泳ぐ私たちの姿、皆さんにもご覧に入れましょう!




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せり上がる光の海。
この光の正体は……、


「君のアイが 私を照らしてくれるなら。」



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全アイドルが1列の輪になり、ステージの内側、互いを見た後に一斉にターン。
ステージの外側、客席に向き直る。


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UFOから緑色のレーザーが、ステージからは再び赤いサーチライトがフィーバー。


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そして、最後の衣装バージョンアップ!

これまでの色替えと違い、衣装ごとに、サイバーネオンな装身具が付与される。

襟、スカーフ、ネクタイ、肩章、飾り紐(肩や腰)、たすき、アームレット、ブレスレット、胸ポケットのピン……とバリエーションに富む。

アテンダントとしての衣装から、ここに来てステージ上のアイドルとしての衣装になる……というのは、こじつけかな。


少なくとも、アイドルの動きに応じてはためく空色の装飾が、ラストステージを絢爛にしているのは間違いない。


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光の粒子がパッと弾けて収束し、装飾品を象る。
音ハメも相まって変身シーンみたい。すごくカッコいい。



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さぁ、ラストの大サビだ。






16,「無限大なんて言葉じゃ まだ足りない」(5:33~6:01)

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ここ!! 無限…


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大!っなーんて言葉じゃ まだ足りーない

歌詞に合わせて腕を振り上げ振り下ろし、そしてカッ!と下を向く春香がかっこよすぎて、かわいすぎて、うつくしすぎて。

「無限…」で、春香の背後から画面前方に走ってくるパルスのような緑の正方形エフェクトも、「大!」で、垂直に上を向く赤いサーチライトも、

全ての画面の動きと、音楽が完璧にマッチして互いの本領を120%引き出す!これぞMV!


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ステージの全方位、全ての観客に顔を見せ、顔を見てくれるフォーメーション。
七色の光の海が、より一層激しく。



さて今回、一番震えたの手の動きがこちら。

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ハァ!? 玄武それどうやってんだ。

文字にすると「玄武くんが手をくるくるパってやってるやつ」としか言いようがない。わずか2秒で目を離せない、指先まで魅せきる身体能力。やっぱ体の基本は医食同源なのか。

ここもまた、腕の動きと同じタイミングで走るエフェクトがめちゃくちゃカッコいい!

「まだ 足りない」の歌詞と口も手の動きもエフェクトも全部合ってて、これぞMV!!


これでもコマ飛ばしてるので、実際はまだあります。
YouTubeでは「、<」と「。>」のキーでコマ送りできるぞ!!!



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こちらも、冬優子、真たちが立つ地面に回転する、緑色の三角形。

背景が床なのに、エフェクト入れてラスサビに相応しい画的な盛り上げを作るってどういうこと!?
太さも回転の向きも実は変化していて、芸が細かい。


君となら もっと遠くまで」で観客を指す振り付け、良いですよね。



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ここも、さり気ない足元のカットですが、ステップに応じて広がる光の波紋。

ダンスに連動した、デジタルライブの技術力の高さ、しかし実現不可能には見えないリアリティが出てる。



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そして、歌い踊るアイドルたちに呼応して、熱狂する、七色の光の海の正体こそは……、


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観客。

アイマスにおいてそれは、我々プロデューサー。


そしてここでアイドルから告げられるのが。

「見ていてね。」


ここ、初見時にもめちゃくちゃ感動しました。


15周年PVもそうでしたが、必ず、我々プロデューサーの姿を入れてくれるアイマス。
明らかに、「見ていてね。」をプロデューサーへのメッセージだと認識させるために確保された長めの尺。


アイドルたちを囲み、照らす、次元も時間も超える光は、我々プロデューサーの「アイ」が表出したペンライトなわけです。


そこに告げられる、「見ていてね。」

見ていますとも。いつまでも。



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宇宙人っぽい頭部の同僚が目立つ。

近未来だからか、はたまた遠い宇宙の果ての星だからなのか。
単純にそれをテーマにしたライブグッズなのか。

まぁ、どこぞの電車で向かえば1時間な距離の星人が混じっている気もしなくもないですが。



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周子の手の動きに合わせて、ブレスレットを起点にした光のリングが広がる。


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美波たちの手の動きにも……、


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春香たちの振り付けにも。

アイドルの前方にも後方にも発生するので、これ生で全員を視認しながら見たら別の綺麗さがあるんだろうなぁ……と想像します。


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春香がなぞる指先に合わせて、光が弧を描く。


やはり、この辺りの演出は極めてAR的

予め用意された舞台から発される光源ではなく、アイドルたちの動きに合わせてトラッキングされ、リアルタイムに浮かび上がる光の演出。
ステージ全体の一体感を、より強固にする。



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ご覧ください、この“美”を。
どこを切り取ってもバズりそうなオーラがある。


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ちなみに、私が彼女のことを褒めちぎる文面を推敲している最中に、浅倉透はタガメがナシの味かどうかについて話してた。おかげで全部吹っ飛びました。ジャングルジムは忘れても、このことは一生忘れないと思う。

「センキューベリーマッチ」。



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夏葉たちが指をクロスさせるのに合わせて、背中と足元で三角形のエフェクトが回転。

ポーンと広がる円形のエフェクトと、シュッと収束する三角形のエフェクトが良いメリハリを作ってる。



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果てしない希望の中を指し示し、いよいよフィナーレを迎える。

次のカットがオーバーラップする演出は全編を通してここだけで、「いよいよ、終わりますよ」感がにじみ出る。




17,消えゆくステージ、旅の幕切れ。(6:01~6:24)

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UFOが光の粒子になって溶けていく。


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まずは『ミリオンライブ!』。
落ちてくる光の粒子が、彼女たちのラストを彩る。

輝く時間をありがとう。



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『シャイニーカラーズ』。

翼を広げて 君とどこまでも。


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そして『シンデレラガールズ』。


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この時、背景のビルやネオンが順番に消灯していき、少しずつ旅の幕切れを予感させている。さり気ないフェードアウト。


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光降り注ぐ 明日へ向かうために。


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『THE IDOLM@STER』の後ろに『SideM』。

自由にもっと輝いて。


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そして最後は、『THE IDOLM@STER』。

歌を歌おう 一つ一つ。
踊り踊ろう 一歩一歩。



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旅に出よう、君と。



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遠く、


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遠くまで。


天海春香、ただ一人が残る。



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白い光が走ると、ステージも消えて……、


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真っ白な空間に春香が立ち、幕。




ここで、『VOY@GER』のMVは終わる。


終わりなんです。MVとしては。



しかし、ここからの10秒間こそ。

6分間のステージの、すべての意味を変え

『VOY@GER』が、アイドルマスターが秘めたメッセージを形にした、

「コンセプトムービー」たる、仕掛けなのです。



18,私たちは、プロデューサーだから。(6:24~)

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春香の周囲が白んでいき、朝焼けのような光に包まれる。


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と、


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唐突に現れるのは、撮影スタジオ


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先程までとは打って変わって、こじんまりとしたステージに、グリッド線が表示される。
いや、映すのをやめたステージに、グリッド線が戻ってくる。


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お辞儀をする春香。

妙に生々しいカメラとスタッフが、これを現実の撮影風景なのだと自覚させる。


地味な蛍光灯が照らす狭苦しい空間に、先程までの華々しいステージは、影も形もない。






度肝を抜かれた。

驚嘆の声が漏れ出た。



込められた多層な意図を瞬時に理解することはできなかった。

脳の処理は何一つ追いつかなかった。



だけれど、1つだけ、確信を持てたことがある。


私は、僕は、俺は、

プロデューサーなんだ。




昨今の情勢を加味した、個人ごとの撮影風景。

このMVが創り上げられる過程にあった、モーションキャプチャの再現。

現代の技術によって見せることができるステージ、その裏側の種明かし。

全ては虚構であり、作り物であり、架空であり、現実ではないというテーゼ。

逆に、アイドルに実在感を与えるための、メタ的な示唆。


いろんな捉え方ができるだろう、そこに正解も間違いもない。




しかし、ただ一つ、私に言えることがある。


「このカットが、私たちをプロデューサーにしてくれる。」


観客には見ることのできない、見せることのない、舞台裏で。

アイドルと同じスタジオに立ち、「おつかれさま」と声をかけるプロデューサーに。


このカットがなければ、ただのMVで終わっていた。

我々は、ただのファンで終わっていた。



我々がプロデューサーとしてその場に立てるということは、
宇宙のように広いこのステージ、この芸能界で、
アイドルたちを、一人にせずにいられるということ。



普段は交わることのないアイドルたちが集まった『VOY@GER』。
15人の誰が欠けても、誰が違っても、
そして、我々の誰かがいなくても、
きっと、このMVは生まれなかった。


僕たちはアイドルに夢を見て、

私たちはアイドルとともに歩み、

俺たちはアイドルを輝かせられる、

たった一人のプロデューサー、なのだから。




これこそが、アイドルマスターに必要なラストシーン。

アイマスがアイマスでいられる、ラストシーン。



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運命の出会いを
信じてる?



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この笑顔は、ファンにでも、スタッフにでもなく、

プロデューサーさん、あなた、ただ一人に向けられたものなのだと。

すべてのアイドルを代表して、天海春香がそう言ってくれている。

アイマスの象徴たる天海春香の笑顔に、担当アイドルの笑顔を重ねて見る。





余韻に浸る間も無く、本当に最後のエンドロールへ。

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ラストを締めるのは歌マス『THE IDOLM@STER』

いつまでも変わらない、アイドルたちの原点の曲。



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監督、そしてすべてのスタッフに、ありがとう。




19,アイマスにとっての「飴色のレコード」。

最後に。

『VOY@GER』がどんな曲で、このMVは何を示そうとしたのか。
私の主観にまみれた感覚を、つらつらと言語化してみる。


今回のテーマは「未来への航路」
それは15周年を迎え、長い年月を乗り越えてきた「アイドルマスター」というブランドが作ってきた轍、
そこからさらに飛び立ち、加速して時代を越え、テクノロジーを越え、
物理的、次元的な距離さえも超えていく存在
になってほしい…
そんな壮大な願いの下で作られています。5つのチカラがあつまればなんとやら、です。
嘘っぽいですか?…いいんです、夢はでっかく!だからこその「コンセプトムービー」なのです。
楽曲の方もそんな願いとワクワクが詰まった壮大な楽曲に仕上げていただきました。感謝です。




「この空の向こう側には どんな世界が待ってるの?」



天海春香が、アイドルたちが、
『VOY@GER』MVの中で何度も見上げ、何度も指差す、空の向こう側
銀河を超えて、宇宙を超えた先に広がるのは?

彼女たちがどれだけ願っても、どれだけ生きても
辿り着くことは叶わないかも知れない、無謀な夢は?

そこに生きる、出会ったことのない生命体とは?


天の海。そのはるか

つまり、それは、

画面の向こう、現実世界。
そこに生きる我々を、指しているのではないだろうか。


AR的な表現も、実体化するアイドルも、そして最後の撮影風景も。

全ての特徴的な演出が、
「アイドルたちが次元を超えて私たちにアプローチしている」と、
そのような思考をもたらして止まない。



「星」、「光」、「先」、「未来」、「夢」、「輝き」、「キラキラ」……。

プロデューサーなら、これらの言葉に触れたのは一度や二度ではないはずだ。
あなたの担当も、きっと一度は口にしたり、何かしらで関わっていると思う。


『VOY@GER』には、それらを超えようとする、
野心的な歌詞が頻繁に登場する。

しかし、この歌で彼女たちが真に超えようしているのは、
時間と空間、そして次元にまつわる、あらゆる距離、なのだと思う。



ここで私は、ボイジャーのゴールデンレコードのことを思い浮かべる。

かのレコードは、
果てしない時を経て、いつか遠い遠い未来に、
友となれるかもしれない未知の存在
へ向けて送り出した、我々が生きた証跡だ。


これは小さな、遠い世界からのプレゼントで、われわれの音・科学・画像・音楽・考え・感じ方を表したものです。

私たちの死後も、本記録だけは生き延び、皆さんの元に届くことで、皆さんの想像の中に再び私たちがよみがえることができれば幸いです。

われわれは宇宙に向けてメッセージを送りました。

銀河には2000億個もの星があり、いくつかの星には生命が住み、宇宙旅行の技術を持った文明も存在するでしょう。

もしもそれらの文明の一つがボイジャーを発見し、レコードの内容を理解することができれば、われわれのメッセージを受け取ってくれるでしょう。

われわれはいつの日にか、現在直面している課題を解消し、銀河文明の一員となることを期待します。

このレコードではわれわれの希望、われわれの決意、われわれの友好が、広大で畏怖すべき宇宙に向かって示されています。

—アメリカ合衆国第39代大統領ジミー・カーター



私たちとアイドルたちとの間にある距離は、
そう簡単に縮まるものではない。

だが、いつか必ず届く。そう信じている。
時間も、空間も、次元をも超えて。


そんな想いを詰め込んだ、アイドルたちにとっての「飴色のレコード」としたのが、この楽曲、そしてこのMVなのではないだろうか。




『VOY@GER』。

これは、私たちの元に届いた、アイドルマスターの飴色のレコード。







20,むすびに


長い!!!!!!!!!


3万文字だぞ!!!!!!!!!!!!!!!やはり私はバカなのですか????!!!!!!!!!


ありがとう!!!!!!!!!!!!!


MVをハード化して出版して!!!設定資料集だしてくれ!!!

コンテ集出して!!!!全部言い値で買うから!!!!!!!おねがい!!!



おわり!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!アイマス最高!!!!!!!!!!!!!!!!





いやさすがに、これだとダメだな。むすんでないわ。





はい、というわけで。

ここまで、稚拙な文章にお付き合いいただいたプロデューサーのみなさん。
本当にありがとうございました。

なんとか夏の終わりに間に合いました。ヤバすぎて5日かかった。


完璧なMVに対して、すっっごい頑張ったけど、6割くらいしか言語化できてない。気がする。


ってか毎回思うけど、言語化するのって無粋の極みでは?大丈夫か?

だけれどもしかし、書かないと、言葉にしないと気付けないこと、それが散りばめられたMVだったんだ。少なくともそれは、私にとって燦々たる事実なんだ。(ゆるして!!!!!!!!!!!!!!)





15周年を迎えてからの、この1年間。
アイマスを取り巻く環境は、激変の一途をたどっている。

新しいアイドルを迎えた事務所もある。
ポップなリンクもできるようにもなりました。


しかし喜ばしい話題の一方で、我々を襲う未曾有の事態のことも忘れられない。
現地で会えなかったアイドルとプロデューサーの悔しさは計り知れない。


しかしさらに一方で、そんな環境が生み出したARライブが、
このMVのヒントになっているのだろう、とも思う。




怒涛の15周年イヤーの締めくくり、16周年イヤーの幕開けに、
アイドルマスターの根幹を示しながら、一方で新しいコンセプトを提示した、

先の見えない大海に、先の見えない宇宙に、先の見えない未来に向けて、進むためのMV。



改めて、『VOY@GER』を創り上げた、あなたに伝えたい。

ありがとう。

周年の定番にしてほしい。毎年気軽に越境してくれ。

来年の「コンセプトムービー2022」が、今から楽しみです

よろしくお願い致します。







あなたにとって『アイドル』とは?

あの時から変わらない、この問いの答えを君と見つけるために、

私たちはまた、16年目の、その先の旅に出る。


BON VOY@GE!




またどこかのステージで、アイドルとともに、アイましょう。



ありがとう、アイドルマスター。
これからも、アイドルマスター。




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