頭が信じる、体が信じる

以前に京都の浄土宗のお寺でイベントがあって、参加者十数名でいっせいに念仏を唱える体験をした。木魚も用意されていた。

「なんまいだー、なんまいだー」と唱えながら、ひたすら木魚をたたくのだが、ばらばらにずれていた全員の木魚が、ときおり「ぽくっ!」とひとつにそろう瞬間が訪れる。それはほんとうに何打かに一打しかない瞬間なのだが、「ぽくっ!」のそのとき、わたしは頭からなにかが抜けるような快感を覚えた。頭のてっぺんから、体内にとおっている芯を引き抜かれるような快感である。おおよそ30分にわたる念仏と木魚。「ぽくっ!」が何度訪れたかは覚えていない。

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