ろうそくの瞑想

クリスマスの残りの、短くなったろうそくに火をつけた。

ろうそくの火を、凝っと見つめながら、これまで見送った人々に想いをめぐらしていた。そしてまた、余命いくばくもない、おそらくこの地上では再び会うことのできない人のことを考えていた。

火を見つめる自分の眼を思った。火だけを感じているのではない。火と自分の身体との距離。空間の広がり。温度や湿度。自分の姿勢。胃腸や関節の調子。数えきれないほどの感覚の束を、わたしは感じている。いや、この諸感覚の束が、感じるわたしである。

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