歌詞用の詩9:柘榴の木の下には

手は届かね
手は届かね
こんにゃろ柘榴の手は
もう届かねェ

手は追いつかね
手は追いつかね
こんにゃろ黒ばんじまって
もう追いつかねェ

塀のあっちにも
あなたさんにも届かねぃ
蒸発していく血ィと
すかすかの柘榴だョ

手は届かね
手は届かね
それに
感じねんだもうなんも

天使だとサ、赤子だとサ
言われたこともあった
無邪気な言葉よりもサ
欲しいもんがあった

手は届かね
手は届かね
胸ェ這う虫にすらョ
もう届かねェ

手は追いつかね
手は追いつかね
こんにゃろ柘榴の実ィ
落ちて、なくなった

天使とか赤子は
ここで遊ぶのかねぇ
このサ百年の庭の
百年分の日陰でサ

そしたら
一本の柘榴の木は
墓標にもなれずにサ
あなたさんを、知れずに

(柘榴の木の下には屍体が埋まつてゐる!)
だって。

放られてサ
放られてサ
放られてサ
放られてサ
ひょっこり実を結ぶだけョ
むっと死を匂わせるだけョ
ハ、ハ、ハ、ハ、

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