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夢詠

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2022年2月の記事一覧

夢の記号

夢の記号

〈少年の夢〉

その晩の
あまりに寒きに
少年は思ひを奪はれたり
時凍つままに
時虚しく流れ去ぬ
夢の街に槌音の絶え
木々の枝の垂れ沈む
雪凍つ晩に
思ひの灯は
灰燼に消え入りぬ

〈終末〉

戦争らしい
避難所に大勢の人たちが集まり
あわてた様子で行き交っている
野戦病院なのか
わたしが廊下を出口に向かって走っていると
涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにした女の子に出くわした
どこの誰かもわからず

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