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『ガーベラの詩』

欲しいものがスーパーのお菓子コーナーで全部そろったあの頃、強く咲かせるために傷をつけられた花があることを、美しさのためにつけられた傷があることを、知らなかった、それを知らないうちがいちばん、美しく花を見ていられたって、思いたくなくて、それで私、少し、花のない世界を夢に見た。そこでは別のきれいな何かが傷をつけられていて、とても美しく、強く、私の目の前にあった、訳もなく泣いた、私の目からこぼれた涙を吸って、それは、もっともっと綺麗になった。美しさは、命取りだ。美しいってなんだろうって、そう悩んでいる私は今きっと、だれかの目の前で美しく、強く咲いていて、柔らかく弱いその瞳から、涙を吸って生きている。

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