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あんただけは幸せになるんだよ

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    エッセイや、自分の作品を解説するセルフライナーノーツなど。

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『星のあめ』

 今夜もきっと星がふるよ  空からいっぱいおちてくるよ  夜空をじっと見てごらん  いっぱいいっぱいおちてくるよ  胸の炎をぼうぼうと  燃やしたまんまおちてくるよ  こぼれた涙の宝石を  きらきらさせておちてくるよ  渇いたのどをひゅうひゅうと  鳴らしながらおちてくるよ  そのうちみんな冷たくなって  硬くなっておちてくるよ  今夜もきっと星がふるよ  いっぱいいっぱいおちてくるよ  あんなにたくさんいるのにね  みんなひとりでおちてくるよ

    • 『ノイズゲート』

      あの星を見つめるには この街は 少し明るすぎたね レンズの向こう たったひとつ 触れない程の彼方から 一筋の祈りが差したとして 霞まない光が笑ったとして 汚れ切った網膜の上 美しく描けるか 砂に刺され 雨風に吹かれ 鏡面は既に粗くこそがれ 燃えさかる命の姿すら 16:9の影絵の中 わたしは どうすればよかったんだろうね 温もりも 眩しさも全部 都会色にくり抜かれてしまって

      • この時代において「誰かのファン」であることは不可能に近い、信者かアンチのどちらかしか選べない

        • 感想すら言えない世界なのだろうか、感想は全て賞賛か非難の二択に分類されてしまって、口を閉ざすこと以外正しくないみたいで

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        『星のあめ』

        • 『ノイズゲート』

        • この時代において「誰かのファン」であることは不可能に近い、信者かアンチのどちらかしか選べない

        • 感想すら言えない世界なのだろうか、感想は全て賞賛か非難の二択に分類されてしまって、口を閉ざすこと以外正しくないみたいで

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        記事

          『微動』

          ここから出ていく その日のことを思っている 消えかかったまま  しつこく燃え残っている いずれこの火が この街のすべてを燃やすと知っている 今笑っていたって その日は来ると知っている シャッターの向こう 重たい風が泣いている 口を閉じて その日のことを思っている

          『微動』

          『四時のループアウト』

          痛みの中に待っているものに、どれほどの価値があるというのだろう、何かを失ったから手に入れたものに愛おしさなんて初めから無くて、捨ててしまえるくらいの重さも無くて、入れ違いのような別れだけがこの手のひらにむず痒く残された、命がある限り視界は濁っていく、理解は曇っていく、キャタピラのような悪意をあなたは見つめられますか?完全なる不完全がそこにあると聞いてからも、忘れていくことを、あれを、美しい波音だと言えますか?笑えるうちに笑った方がいいから笑ったあなたのえぐぼが憎い朝、窓から差

          『四時のループアウト』

          もはや病気のせいでもない気がしてる、普通にこの世界が肌に合わない

          もはや病気のせいでもない気がしてる、普通にこの世界が肌に合わない

          この苦痛に耐えるために生存本能が出した答えが「もうこれ以上生きないこと」なんだから仕方ない

          この苦痛に耐えるために生存本能が出した答えが「もうこれ以上生きないこと」なんだから仕方ない

          人は案外他人をあっさり忘れられる

          人は案外他人をあっさり忘れられる

          自分が自分であることに自分で耐えられない

          自分が自分であることに自分で耐えられない

          コミュニティが平和でいられるのは小規模なうちだけ

          コミュニティが平和でいられるのは小規模なうちだけ

          『暁の詩』

          抜けない棘のするどい痛みで、目を覚ましながら生きている。春がもう少し意地悪だったら、ちゃんと嫌いになれるはずだった、夏のように悪さをしなよ、明け方の目にとびこむ光。あなたは自由だ、と他の誰かに伝えるとき、いつも焼け焦げた匂いがするね、あなたは自由だ、何もない、ここには、最初からあなたしかいない。愛が人を救うまえに、人が、人を救わないといけない。苦しみの中にあるものを、喜びじゃ掬い取れないこと、また彼に伝えないといけない。もうすぐ全てわかるよ、と真っ黒な言葉を渡すだけ、それだけ

          『暁の詩』

          まだ笑えるなら、笑わないことにも意味がある

          まだ笑えるなら、笑わないことにも意味がある

          エッセイ「いつまでもそこに」

          そのインタビューではKeith Jarrettが、片手で震えながら、ぎこちなくピアノを弾いていた 彼は脳卒中で倒れてから闘病生活中、左半身が麻痺しており、もう両手でピアノを弾くことは叶わないそうだ 数年前、コロナ禍で狭い部屋に閉じこもっていた頃、私は奇跡のようなピアニスト、Keith Jarrettに出会った そのあまりに優しい音に、文字通り、何度も何度も救われてきた どんなに人生に絶望しても、彼のピアノはいつだって美しい世界をみせてくれた インタビュアーは彼に、か

          エッセイ「いつまでもそこに」

          『街』

          知らない街で息をするとき すこしでも わたしが減ればいいと思った 滲むような午後の光が 街の汚れを ゆっくりと浮き彫りにしていく ここで息をしていることに 嫌気がさしたからきっと みんな恋をして あたたかな窒息を図っている ほんとうさ かなわないよ 知らない風にゆれる枝先 もう僕たちに 温もりは似合わないね 忘れてあげることが ここでは一番やさしかった

          『街』

          『夜風の詩』

          本当の美しさなんて きっと 夜には宿らない あなたに触れたことが 波紋のように今更ここに届いて 心は少し形を変える あなたすら 気づけぬまま なんだか風ばかりが 冷たく変わっていくような 小さな夜が終わり 知らない朝が始まる むず痒いこの余熱を ささやかな爪先にのせて

          『夜風の詩』