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元旦から嫌われる夫_100日後にZINEをつくる、70日目

3時過ぎに息子と共に布団に入るも、長女と次女の夜更かしテンションの話し声で眠れず、結局5時就寝、11時半起床。
布団の上で息子をなでまわし、乱入してきた次女もこちょぐりまわしていたら昼を過ぎている。

さてさて元旦スイッチを入れますか、とキッチンに入りお雑煮づくり。大根、人参、鶏肉、かまぼこ、椎茸を白だしで煮る。となりの鍋で生姜たっぷりの甘酒をつくる。伊達巻、数の子、栗きんとん、黒豆、玉子焼き。
お正月特番はすでにお腹いっぱいなので、録画していた『ノートルダムの鐘』を観ることにする。
焼き餅を入れたお雑煮にどっさり三つ葉と柚子の皮をのせて、「明けましておめでとうございます」の、いただきます。

長女は人々のカジモドに対する仕打ちを観て「ひどい・・・」と絶句し、お雑煮に対する食欲を失っていた。わたし自身内容を全く覚えていなかったので、最後まで観て「ん?んー?なんだろう、これは。」と、首をかしげる。長女と共に「とりあえず、友人の"あの子、おまえのこと絶対好きだよ"は信じるなって話だったね。」で合意。
しかし気になってwikiったら、ディズニー版はハッピーエンドであり、ユゴーの原作はただひたすらに悲惨な話であった。原作をAmazonのほしいものリストに追加。

洗い物をわしゃわしゃとやっつけて、テーブルにみんながつまめるお菓子とみかんをセット。正月のわたしの役目は「誰にも腹を空かせないこと」。新年早々誰かに「お腹空いた」と言われたくない。
大量の洗濯物をはずして長女にたたむミッションをお願いし、大学の課題を1つやっつける。やった!あとふたつ。
子どもたちは、ディズニーのシリ―・シンフォニーのDVDを観ている。わたしも子どもの頃シンフォニーが大大大好きで、VHSが擦り切れるくらい観た。ディズニーはプリンセス物語よりも、とにかく短編が最高。

そんな中、「石川県で地震」「津波警報」のニュースが流れる。災害は正月なんてお構いなしにやってくる。実家が石川で帰省中だった夫の友人も山へ避難していた。今この瞬間に緊張と不安で「日常」から遠く離れてしまっている人がいる中で、のんびりお正月を過ごすことの不謹慎さとはどう向き合えばいいのか。
どのチャンネルでも「津波にげて」の表示が点滅していて、もうこれ以上見たくないという気持ちと、テレビを消して「ないことにする」ことの罪悪感とで葛藤する。

そうこうするうちに18時。とりあえず夕飯の準備をしよう。昨日仕入れた大量の肉で焼肉。夕飯時には長女リクエストで『コンフィデンスマンJP~ロマンス編』を観る。

贅沢な夕食で浮かれきった夫がいつも以上に酒をのんで、いつも以上にずっと喋ってる。
わたしがこの世で最も嫌いなもののひとつが、酒に飲まれる人。

夫は元旦からわたしに嫌われていることなど露程も想像せず、長女に何回も何回も「この人は死んじゃったんだからな。この人も死んじゃってもういない。この人は浮気した人で、この人は死んじゃったんだよ。」と言う。しつこく言われすぎた結果、長女は生きてる俳優を観て「この人死んじゃったんだね。」と言ってる。カオス。

「死んじゃった人」というフレーズを元旦から1年分言って満足したのか、今度は「オレは誕生日にタラバガニを5万円分食べる!死ぬほど食べる!約束しろ」と言い出す。
とにかくわたしはこの人のせいで映画の内容が全く頭に入ってこない。
酒に弱い酒飲みは嫌いだ。

後片付けを終えたら22時。子どもたちを布団に促して、入浴。
お風呂から出ると夫の部屋から爆音。ゲームに負けてテレビを叩き、テレビ本体のイヤホンジャックを壊していた。耳にイヤホンをつっこんでいるのに、テレビのスピーカーからも大音量の戦闘ゲームの銃撃音が鳴り響いている。彼曰く「イヤホンからも音聞こえてるから大丈夫!」。あんた以外は誰も大丈夫じゃない。

頭にきたので、テレビのスピーカー部分をガムテープでぐるぐる巻きにして、大音量を普通音量に下げる。「イヤホン専用テレビになっちゃうから、そんなことするのやめろ!」と騒ぐ酔っ払いは無視。これならドアを閉めれば、テレビの音も気にならない。

テレビと格闘して寒くなったので、濡れた髪を乾かす。ドライヤーを止めると、今度は銃撃戦ばりに大音量のいびき。テレビだけじゃなくて、口にもガムテープ貼ればよかった。
起きててもうるさい人は、寝ていてもうるさい。

家族って、この「心底迷惑」を積み重ねて「家族」になるのだろうか。
それとも家族だから「心底迷惑」でも一緒にいられるんだろうか。

人と人が同じ家で暮らすって、本当にめんどくさいことだよ。
しかし毎日この騒々しさの中で生活しているからこそ、わたしは自分の中の孤独を愛せる。

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