中国広告紹介「くず拾いなのにロマンティック?!」
みなさまこんにちは!
今年も『笑ってはいけない』がないので、 年末どう過ごそうか悩んでいるソラです。
さて、この記事のタイトルを見て、おそらく皆さんは「ロマンティックなくず拾いってなんだ!?」という疑問を持たれたでしょう。
たしかに「くず拾い」と「ロマン」はあまりにもかけ離れていて、ありえない組み合わせですよね。
しかし、そんな固定概念を覆し、「ロマンティックなくず拾い」をキャッチコピーにした広告が中国にありました。
こんなキャッチコピーで広告を打つことを考えらたのは一体何者でしょうか。
なんと本屋さん?!
そう、その名は『多抓魚(déjàvu)』。2017年に設立され、主に中古書籍取引を手掛けるプラットフォームです。
当初はWechat(中国版LINE)を通じた中古書籍の売買サービスを提供していましたが、従来の書籍の分類基準を変え、古い雑誌、教科書、児童書、マイナー分野の絶版本など、新たな価値を生み出しました。さらに書評や読書ノートの機能で、『多抓魚』での中古書籍の売買は単なるビジネスではなく、より人間味のある個性的なコミュニケーションの場となっています。
遊び心と専門性を兼ね備えたサービスによって、サービス開始1年目に30万を超えるユーザーを獲得しました。年間売上高も1億元(約20億円)を突破し、プラットフォームでは1日平均2000冊の書籍を売り上げ、ユーザーのリピート率は32.91%に達しています。
これぞ臨機応変!!
中古書籍の売買からスタートした『多抓魚』が、中古品取引の需要が徐々に高まっていく中国市場の中で、「このまま書籍を販売しているだけではだめだ!」という危機感を感じ、いち早く衣類やデジタル用品など、多くの領域に手を伸ばし、中古品全般の取引サイトに変革しました。
オフラインでの展開を積極的に進める『多抓魚』の最初の一手は、2021年9月~10月に、北京・上海などでレトロフリーマーケットをオープンしたことです。
奇想天外!「ロマンティックなくず拾い」
2021年9月19日から10月10日まで、トレンドを追いかける若者の間に人気の、北京にある「三里屯」というマーケットプレイスで、毎日13:00 ~ 24:00まで営業するレトロフリーマーケットを期間限定でオープンしました。
チケットのデザインから内装まで、1990年代の中国を再現し、隅々までレトロ感が漂う空間になっています。
大きな横断幕に「我在都市里浪漫拾荒」(都会の中でロマンティックなくず拾いをする)という今回のキャッチコビーが書かれていました。会場内の看板などに書かれた文字のフォントも1990年代っぽいですね。
この斬新なオフラインイベントが、すぐに中国の2億人以上のアクティブユーザーを持つSNSプラットフォーム『RED(中国版lemon8)』でユーザーたちに拡散され、話題になりました。ただのマーケットではなく、レトロ好きな若者たちの中で「オシャレなインスタ映えスポット」にもなり、写真を撮るためにわざわざ行く人も少なくはありませんでした。
『多抓魚』は「本当のいい物は、もう一回買われる価値がある」のスローガンで、中古品の独特なレトロ感とエコな理念を愛するユーザーの心を掴みました。
今回のイベントのように、「気持ちを込めた内容でターゲットの感情を動かす」ことが最も重要なポイントだと考えられており、あえてビジネスの色を薄めて、『多抓魚』ならではの個性と感性を兼ね備えた内容によって、消費者に興味を湧かせ、イベントに参加させ、その体験と面白さを自発的にSNSに投稿させることに成功ました。
今回の事例では
① 消費者の心を読め!
立ち上げ当初の『多抓魚』は、欲しい本が見つからない、欲しい本があっても購入できない消費者に向けて、どんな分野の本でも扱われている売買システムを作りあげました。そして中古品取引の需要が高まる趨勢に向けて、オンラインのプラットフォームだった『多抓魚』はすぐに危機感を感じ、オフラインでの展開を積極的に進め、中古書籍だけではなく、各種中古品市場に事業を拡大し始めました。
常に消費者の心を読んで、消費者の需要に合わせ素早く戦略を変えることが出来るかが成功のカギと言えるでしょう!
② 人間の感情を利用しよう!
コンテンツ制作において、ターゲットは性別も年齢も違うので、共通するもの、つまりいかに人の感情を動かせるかが非常に重要なポイントです。『多抓魚』が開催されたレトロなフリーマーケットのメインターゲットはもちろんSNSを頻繁に利用しているレトロ好きな若者ですが、30代・40代・50代の人たちにも懐かしさを感じてもらうことができ、さらに品物は激安で実用性も高いため、幅広いユーザーにリーチすることが出来たと考えられます。
③ SNSの影響力がすごい!
今回のように、『多抓魚』のレトロフリーマーケットがオープンしたあと、すぐにSNSプラットフォーム『RED』で拡散されバズったように、これがいわゆるSNS循環型マーケティングの効果である(レトロなフリーマーケットが素敵→SNSに投稿する→他の人が見て、行きたくなる→また拡散する)
オンライン+オフラインの相乗効果は無限大で、うまくキャンペーンやイベントなどを利用できれば、KOL施策と合わせることで、さらに大きなブランディング効果を期待できます。
こちらの3点が学びのポイントであり、みなさまの今後の中国向け広告に生かすことが出来るポイントとなるのではないでしょうか?
「インバウンドの再開で中国人に情報発信してみたいんですが、中国人消費者の習慣・好み・心理が分からないー( ´;ω;` ) 」と悩んでいる方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?
ぬるぬるでは弊社山下智博が率いる対中国マーケット状況分析チームにおいてこれまでに様々な中国向けの案件で実績を残しており、各領域で奮闘してきたメンバーが集まる専門チームはお客様のご要望に応じて的確な提案から案件にピッタリのKOL起用まで、すべての課題をぬるぬる視点の鋭いマーケット感覚でクリアにいたします!
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