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15分で作る即興小説「幸運、つづくつづく」

クソみたいな事ってのは、いきなり起きるもんだ。
豪華とは言えない普通の客船から落っこちた。海にだ。
ちょっとはしゃいでいてね。大人げないよなそうだよな。わかってる。


もちろん船に戻ることはできなかった。エンジンやファンのようなものに巻き込まれなかっただけ良しとしよう。
そこからは大変だった。アジア系の国に寄って観光をして船へ帰った直後に落ちたからさ、そこの国の陸まではたどり着いた。ホント幸運だよ俺は。

海に落ちたのは不幸じゃない。俺がはしゃいでいたから俺のせいだ。必然だったんだ。その他のことが幸運だということだ。


だがここからだ。もう腹が減って狂いそうになってきた。海辺のやつに「何かを食べる」ジェスチャーを行ったら、ニコニコとグーサインを出してきた。
なんだよ、案外国際交流いけちゃうんじゃないか俺?

そこから首を傾げながらふぐを持ってきた。見たことないのか?
そうしたらさばいてくれた。べっちょべちょのねっちょねちょの刺し身の完成だ。


さて、どうしたものか。ニコニコと差し出してくれたのは毒まみれの刺し身だ。食ったらヘコロドヒミノン?みたいな名前の毒で死ぬということは俺でも知っている。意外と博識なんだ。
もう一つ知ってるぞ?人の好意をないがしろにしてはいけない。そういうもんなんだよ。

刺し身を食って人間としての尊厳を保つか、逃げて他の食料を探すか。


答えは簡単だよな?

食う

ここまで幸運続きで死なずにすんだんだ。今回もなんとかなる。そういうものだ人生は。


さて刺し身を掴んで……待てよ。これ絵じゃねーか!

「ソーデス」

誰だ!

「ワタシハ ニホンゴ チョトダケ デキル ゲンチノ ヒトデス」

なるほどね。それなら喋れるわな

「ソレハ イマ カキマシタ オイシソウ デショウ?」

いやうまそうだが。死ぬところだったぞ。

「ジョーク デス」

Oh~

「ハヤク イラスト クエヨ」

え?

「カミヲ クエ」

は?

「いや、その絵を食えっつってんだよ。物分かり悪いんか?お前」

はい……食べます……

俺は紙を食った。それは油の味がした。
あと喉に詰まって死んだ。


これは現地の人に無理やり紙を食わされて死んだので不幸の一種です。


この小説は即興イラストのステマです。もしよろしければ即興でイラストを書いてみませんか?
興味のある方はこんなの読んでないでイラスト書いてください。

気持ちとしてのお金は時に人の気持ちをより良くします