神様に殺される！！

　ああ、またやらかした！！
　なんてことだ、あんなに気をつけていた筈なのに！何度も何度も間違える！！
　どうすればいいのかな。どうやったらもう貴方たちを困らせなくて済むの？どうしたら僕の犯した罪を償えるの？

　───死んでしまえばいいのだ！！

　なるほど、その手があったか！なら僕は早急に死ななくてはならないね。でもどうしよう。まだ僕は死にたくないよ。
　いや、でもそうか。このまま生きるのだって辛いんだから、きっと死んだ方が良いんだね。
　ああ、死ななきゃ、死ななきゃ。

　といつも思っている筈なのに、気がついたらいつもの天井で新しい朝を迎えている。どういうことだろう。僕は死ななきゃならないというのに。死ななきゃ、死ななきゃ。今日こそ、死ななきゃ。
　水音に紛れて脳に反響する
　「───早く死んでしまえ！！」
　そうだね、そうだね。早く死ななきゃ。生きてたって良いことなんかない。僕に存在価値はない！！

　そうやってほら、また新しい朝。何度繰り返せば気が済むの？
　ほら、だんだん元気になってきちゃった。どうしよう、僕、死にたくないよ。

　───それでも、君は死ななきゃならない！！

　そうなの、そうなの？僕は死ななきゃいけないんだ！大変だ、それなら早く死ななくちゃ！！でも、やっぱり死ぬのは怖いよ。僕はまだやりたいことが沢山あるんだ。

　───君の意思なんか関係無い！！全ては僕が決めることだ！！

　そうなのか、そうなのか！！なら僕はわがままなんて言ってられないんだな。それでも、やっぱり死ぬのは怖いよ。

　ああ、怖い、怖い、死にたくない。でも、そうやって生きることも怖い。

　───なら、早く死んでしまえ！！

　そうだね、そうだね！！早く死んじゃえば良いんだ！僕が死ねばみんな幸せ！！分かりきってた事じゃないか！そうだよ、僕は死ななきゃいけないんだ！！

　生きたくたって関係無い！！僕の意思なんて介入しない！！全部は貴方次第なんでしょう？そうでしょう神様！！

　───そうに決まっているじゃないか！！君の命は僕の手の中！君の意思なんて関係無い！！君の意思は介入しない！！全部はもちろん僕次第だ！！

　そうなんだ、そうなんだ！僕が生きたくても関係無い！！神様の意向に従って、僕は死ななきゃならないんだ！！

　でもどうして？どうして僕は死ななきゃいけないの？ああ、そうか、忘れてた。全部僕が悪いんだ！！僕が世界の損失を増やす、悪い子だから駄目なんだ！！そうだよ、それなら早く行かなきゃ！早く存在を無くさなきゃ！！

　怖いな、怖い。死ぬのは怖い。もう先が何も見えなくて、僕の未練も関係無い。恐怖心だって関係無い。僕は死ななきゃならないのだから！！

　───そう、君は死ななきゃならない。君の意思なんて関係無い！！君は死ななきゃならないんだ！

　それは意思じゃなくて義務。僕が果たさなければならない義務！！僕が世界に貢献できる、たった1つの解決策！！

　───さあさあ、覚悟は決まったかい？決まってなくても関係無い！！君は死ななきゃならないんだ！死にたくなくても死ななきゃなんだ！！

　そうか、そうか！死ななきゃなんだな！ああ、怖い！！死にたくない！！この世に未練しか残ってない！！それでも僕は、死ななきゃなんだね！それが僕への一番の制裁！！僕が犯してきた罪への、最も有効な精算方法！！

　さあさあ、世界は待ち侘びている！！僕の存在が消える瞬間を！世界が平和に近づく瞬間を！！

　怖い、怖い、怖い、怖い！！ああ、恐怖だけがそこにある！！それでも、僕は義務を果たさなきゃ！！自分の意思なんて関係無い！僕の意思は介入しない！！