マインドセットを培う為に②

※マインドセット『やればできる』の研究(キャロル・S・ドゥエック著書)より

一世代前であれば親の教育方針も違ったりする。
自分が子供の時、褒められなかった不満から、息子のことをやたら「頭がいいね」と褒めてしまう親もいる。

子供にとって「自分の頭の良さや才能が自慢なんだ」と思わせてしまうような褒め方ではなく、頑張って成し遂げたことに対して褒めるようにする。

しなやかな観点に立った褒め方はいくらでもある
「一生懸命に頑張ってたな。集中して終わらせることができて偉い」
「この絵はきれいな色をとてもたくさん使って描いたんだね。色の使い方のことを話ししてくれるかな?」
「この作文には自分の考えがたくさん書いてあるね。シェークスピアが別の角度から見えてくるようだね。」
「心を込めて弾いてくれて本当に嬉しいわ。ピアノを弾いている時ってどんな気分?」

子供の研究に生涯を捧げたハイム・ギノットもやはり、
「褒める時は、子供自身の特性ではなく、努力して成し遂げたことを褒めるべきだ」と言う結論に達している。

数学の授業中、生徒たちに偉大な数学者の業績と障害について話して聞かせた。
その際「その数学者たちは情熱を傾けて数学と取り組んだ末に偉大な発見をした人たちだ」と紹介すると生徒たちのマインドセットはしなやかになり裏のメッセージである
「一生懸命に努力してこそ、技能を磨き、何かを成し遂げることができる」が伝わった。

当たり前のことだが素早く完璧にできなければ賢いと思われないのなら難しいことには手を出そうとは誰も思わない。

子供が素早く完璧に数学の問題を仕上げてしまった時には褒めるよりむしろ「あら、簡単すぎたようね。時間を無駄にさせちゃったわ。今度はもっと実になるものをやりましょう」とでも言おう。

「頭がいいのだから」「才能があるのだから」と言う言葉は子供にとっての励ましの言葉にならない。

成功した時に褒めるのは、それほど大変なことではない。失敗した時にどんな言葉をかけるのかの方がはるかに難しい。


この本では9歳で初めての体操協議会に挑んで入賞すらできなかった女の子に対してあなたならどう言葉をかけるかという選択肢があった

①私は、お前が一番うまいと思う。
②お前が入賞するべきなのに判定がおかしい。
③体操で勝とうが負けようが大したことではない。
④お前には才能があるのだから次はきっと入賞できるはずだ。
⑤お前には入賞できるだけの力がなかったのだ。

しなやかマインドセットに育てる為の回答はスペースを開けて以下に載せたので、実際に考えてみて欲しい。






あなたならどの言葉を選択しただろうか。
ちなみに私はここまでこの本を読んでおきながら③を選んでしまった。


正解は⑤。


この状況で言うにはあまりに冷酷な言葉のように思われるが、しなやかマインドセットの父親が娘に伝えたのはそう言う趣旨の言葉だった。

「気持ちはわかるよ。入賞目指して思い切り演技したのにダメだったんだから、そりゃ悔しいよな。でも、お前にはまだそれだけの力がなかったんだあそこにはお前よりも長く体操をやってる子や、もっと懸命に頑張ってきた子が大勢いたんだ。本気で勝ちたいと思うなら、それに向かって本気で努力しなくちゃな」
さらに父親は、楽しむだけに体操をやりたいのなら、それはそれで構わないが、競技会でみんなよりも優れた成績を取りたいのならもっと頑張る必要があると言うことも娘に言って聞かせた。
つまり、本当のことを伝えるだけではなく失敗から何を学ぶべきか、将来成功を勝ち取るには何をしなくてはならないかということを教えた。まやかしの褒め言葉は将来の失望を招くだけだ。



大人になり、職場の人間と話す時「さすが!」「今日も気合入ってるね!」と言われるが素直に嬉しく思えない自分がいる。
それは、基本的に人間は本音を表に出さない生き物で「本当はどう思っているんだろう」と疑ってしまう自分がいるから。日本人は特にそういうところがあるからだとも私自身認識してるからだと思う。
皆様もそうではなかろうか。というより、日本の国民性がそうだから自分を育てた親から小さい頃、他の子供を評価する時「素晴らしい絵を描きますね」と相手の親を目の前にした時には猫をかぶってるが家に帰ると「お母さんは、本心ではあなたの方がうまいと思ってるわよ」などと褒めそやされたりしていなかっただろうか。

子供は敏感で、その一言だけで「本当にお母さんはそう思ってるのかな?うまくないといけないのかな」と思ってしまう。
そうして硬直マインドセットの人間が形作られていく。
話す相手が変わっただけで矛盾したメッセージを伝えてることが問題なのだ。

こうやって日本独自の社会性を子供の頃から身につけていくのかもしれないが、そこで相互のコミュニケーショントラブルや、いじめなどが起こる原因となる子供へストレスにもつながってるようにも思う。
子供の頃から親の教育によってマインドセットがしなやかな人間は「結果ではなく努力すること」が大事だという思いで成長し、結果や周りの評価ばかりを気にする親の元で育つとその子供も周りの評価ばかりを気にして卑下される可能性を避けるために積極性のない人間になる。
始めたばかりの頃はうまくいかないのが普通だ。それはわかっていても動きだせない。皆、補助輪なしで自転車を乗る時には何度もコケたはずなのに。

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