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わたしの避難場所


「昼頃から雨」って今朝のニュースがいったから洗濯は明日にしたのに、雨ふらないじゃないか。
昨日は、傘を持たずに家を出たらどしゃぶりになったじゃないか。
ぷんぷん。
イコカです。

例えば、駅ビルの1階入り口で友だちと待ち合わせしていたとして、偶然が重なって約束の時間より30分早く着いたらどうやって時間を潰しますか。

わたしは恐らく本屋さんに行きます。落ち着くからです。
なんで落ち着くのか、考えてみようと思います。

本屋さんに入ると、本のにおいがします。
なんかちょっと草っぽいような、埃っぽいような、あのにおいです。
デパ地下の食料品売場にいくと美味しそうなお惣菜やらスイーツやらで目を奪われますが、いろんなにおいがまざって一気にやってくるので混乱してしまうこともしばしば。
ところが、本のその草っぽく埃っぽいにおいは、追いかけてきません。くるもの拒まず、さるもの追わずです。
迎えられたわけでもないけど排除されたわけでもなく、なんとなく人に馴染むような感じがして、わたしは好きです。

人と、目が合いません。
わたしは、よく人と目が会います。
特にレストランや電車の中など、じっと動かない場所ではなぜかよく向かいの人とかと目があうのです。
それが良くないっていうわけではないのに、なんだか目が合った相手に失礼なことをしてしまった気がして恥ずかしくなります。
本屋さんでは、ひとは本棚あるいは手にとった本や雑誌に眼差しを送っています。よっぽどのことがなければ目は合いません。
それとなんとなく、ですが電車でスマホに投げられている視線と、本屋さんで本をみている視線では、
後者のほうが穏やかな気がして、これまたわたしは好きです。

あたらしい出会いがあります。
わたしは、さほど大きなお店でなければ店内を一周します。
するとある言葉が目に入ったときに「あ、これこの間どっかでみたな」と、突然哲学の本を手にとったりします。
もっと単純に、装丁が好みだから手にとったりします。
「うさんくさい…」と思っている著名人の本も、パラっと目次を見てみたりします。
そうしてちょっとずつちょっとずつ、出会いがあります。
本当は、そこでその本を買って読み込めばかっこいいんですけど…そこまでいけてません。
家に積読がたくさんあります。

最近、「書店の減少」と「面白い書店」「書店は面白い」というテーマがそれぞれスポットライトを浴びているように思えます。
タウン誌や観光本の棚へ行くと『いま行きたい本屋さん』みたいなタイトルをいくつか見かけます。
嬉しいです。
わたしにとって本屋さんは、本を売っている店、だけではなく、
こころを穏やかにしてくれる場所でもあるのです。

わたしの落ち着く場所、わたしの避難場所がまだまだありますように。

この度は読んでくださって、ありがとうございます。 わたしの言葉がどこかにいるあなたへと届いていること、嬉しく思います。