見出し画像

スイートスパークスイート_240210

疲れた時は、甘いものが食べたくなる。
甘いものが無性に食べたくなった時は「あ、疲れてるな」って思う。

そういうときに欲しくなる甘いものはどんなものかというと、口に含んだところから熱を伴って、脳みそのあのウネウネの間をF1さながら駆け巡り、脳幹にガッツーン入ってあたまがぐわんぐわん揺れるような、そんな甘いものが欲しくなる(危ない)。

で、具体的には、やっぱりチョコレートを想像するのだった。
それも100均で売ってるセロファンに包まれた薄茶のやつ的なのではてんで不相応で、カカオ含有率の高い物か、噛むと中のキャラメルが歯にくっついて伸びピーナッツが香ばしいジャンキーなあれくらいのパンチが必要なのである。

そういえば、最近コンビニでもスーパーでも「機能性チョコレート」の一角が設けられていることに気付いて驚いた。というか機能性チョコレートなるジャンルの存在を最近知った。
どうやら厳密な定義があるわけではなくて、カカオ含有率や乳酸菌配合、タンパク質を補える栄養素が入っているもの等、なにがしかの健康や美容へのアプローチが期待される成分が入ってるものを指すらしい。
少子高齢化社会、働きすぎマン・ウーマンがまだまだ蔓延る日本ではその需要は高いのだろう。
かく言うわたしは東京都心の営業ウーマン時代、何の機能性も主張されていないグリコアーモンドピーク(普通の。クリスピーじゃないやつ)をカバンに常備していたことと、それを知っていた当時の部長がわたしのデスク上に設置していた「お菓子ボックス」に補充下さってたことをここに報告します。

-

さて、22時過ぎ。我慢の限界だった。
連日続いている頭がかち割れそうな程甘いものが食べたい衝動の赴くままに、先日インドカレーランチで食べきれず持ち帰って冷凍していたナンをレンジでチン。さらにトースターにいれて程よく焦げ目もつけたところで取り出し、手で上下に開き、ナン独特のほんのり甘い香りとともに蒸気があがるそこにヌテラをこれでもかと塗りたくる。
つめたい台所で固まっていたヌテラがいい塩梅で溶けて、生地にじゅわりと染み込む。

「ああ罪深い、罪深い」
そう言いながらなんの躊躇いもなく一口、もう一口。

奥歯で噛みしめるとチョコレートの甘ったるさと小麦粉の中毒性が奇跡の結合を遂げ、脳みそに行き着く度にぎゅーん、ぎゅーんと花火が上がる感覚を味わいながら、Twitter(わたしがあれをXと呼ぶ日はまだ遠そうだ)をペタペタスクロールしていると
「甘いものが食べたい時はマグネシウム不足のサイン。海藻、豆、お肉、お魚類をとりましょう!」
の画像が流れてきた。
なぜだ。なぜ、甘いものが食べたいときに必要なのは、海藻や豆やお肉やお魚なのだ。甘いものが食べたいときに必要なのは、甘いものだろう。と、ヌテラの蓋を閉めた。

最後の一口を飲み込んだ時、頭の中で小さくきらめき、ぽとりと遠くへ消えた。線香花火のように。


この度は読んでくださって、ありがとうございます。 わたしの言葉がどこかにいるあなたへと届いていること、嬉しく思います。