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競争を避け、高い利益率を保つためには? -現役経営コンサルタントが全力で「経済的な堀」の作り方を考える

前回、独学で経営を学ぶために読み漁った本の中から、特にためになり紹介せずにはいられなかったビジネス書8冊を紹介する記事を書きました。(前回の記事はこちら。)
そうしたところ、8冊目の「マイケル・ポーターの競争優位」のところで説明した「差別化要因を真似されないようにする『防波堤』」について反響をいただいたので、今回は特に、そこを深堀する記事を書こうと思います。
※先日の記事では「防波堤」という言葉を使っていましたが、これはあまり一般的な表現ではなく、一般的(特に投資界隈)には「経済的な堀(エコノミック・モート)」と呼ばれることが多いため、今回は素直に「堀」の表現を使おうと思います。

「経済的な堀」の考え方は、ビジネスの強さを判断する上で非常に重要です。
僕は趣味で株の投資もするのですが、投資先を決める際も「差別化できているか?その差別化要因は維持する『堀』があるか?というのは、一番重視するポイントです。
そして実際に、大きな利益を上げてくれた投資先は、大抵非常に強い「堀」があります。

今日はそんな重要な概念である「経済的な堀」について、全力で考えていきたいと思います。

記事の全体像

今回の記事は、書いているうちに非常に長くなったため、3部作(予定)にします。
① 「堀」のパターンを11類型に分けて紹介します。(今回の記事)
② 「堀」はどう作られていくのか、ということを私見も交えて考察していきます。
(2個目の記事はこちら)
③ より深く勉強したい方のために、①と②を書く上で、参考にした書籍を紹介します。

前回のおさらい:経済的な堀ってなに?

まず最初に、前回の記事をおさらいします。要点は3つありました。
・他社と同じような製品を出している(=差別化ができていない)と、価格競争をせざるを得なくなり、利益が減る。
・高い利益率を保つためには、他社と差別化をしたうえで、競合が真似してくるのを防ぎ差別化された状況を維持するための「堀」が必要
・「技術が高い」、「いいものが作れる」というのは、差別化要因にはなっても「堀」にはならない。高い技術はいつか真似される。堀を築くには、真似されない「仕組み」が必要

経済的な堀のパターン

11のほりの類型

経済的な堀は、いくつかの類型に分けることができます。
私の知る限り最もその類型を網羅的に書いている本「千年投資の公理」から、その類型を解説します。

1.ブランド

強いブランドは、それまでの活動の積み重ねによって作られているので、非常に真似することが難しいです。下手に真似をしようとすると、「模倣品」、「まがい物」と認識され、むしろマイナスイメージにつながることもあります

強力なブランドはたくさんありますが、代表的な例としては、コカ・コーラやフェラーリなどがあげられます。

コカ・コーラのブランドの強さを表す印象的なエピソードがあるので、紹介します。
1970年代、コカ・コーラの競合であるペプシ・コーラは、目隠しした消費者にペプシ・コーラとコカ・コーラを飲み比べてもらい、美味しいと思う方を指し示してもらう、というテストをしました。全米を回ってテストを行ったところ、結果はなんとペプシの圧勝でした。
事態を重く見たコカ・コーラ社は味を変えた「ニュー・コーク」を開発し、販売しました。
しかし意外なことに、消費者からは「こんなのコーラじゃない」、「昔の味を返せ」と抗議が殺到。結局味を元に戻すことになりました。そして今日もコカ・コーラは、炭酸飲料市場のシェアトップを守り続けています。ペプシに負けた味のままで
要するに、人々は「おいしいコーラ」が飲みたいのではなく、「コカ・コーラ」が飲みたいのです。競合は、どんなに品質を上げても勝てない。これこそが強いブランドです。

2.特許

特許により、技術を真似されることが防げるため、強い技術力を持つ企業にとっては非常に効果的な「堀」になります。
製薬会社は業界全体的に利益率が高いといわれています。これは薬に特許がかかっており、他社が類似品を製造できないため、高い価格で薬を売ることができるためです。

なお、特許は永久ではありません。有効期限が決まっており(原則20年)、特許が切れると他社が真似してよいということになります。
例えば製薬業界では、特許が切れると、他社が効果が同じ製品を安く販売してくる(これをジェネリック薬品と言います。)ため、その薬では利益が得にくくなります。

3.規模

規模の大きさも、強力な「堀」となります。

例えば、100万円の機械を使って作る製品Aがあるとします。製品Aを作るのに、材料費が2,000円だとして、他に経費はかからないとしましょう。(実際には広告費とか事務費とか他にも色々かかりますが、今回は簡略化のためないことにします。)

この時、製品を100個作る場合の製品A1個あたりのコストは、
・機械の購入費1万円(100万÷100個)+材料費2,000円=12,000円
となります。

一方で、製品を200個作る場合の製品A1個あたりのコストは
・機械の購入費5,000円(100万÷200個)+材料費2,000円=7,000円
となり、100個しか作らないときに比べて半分近くまで下がります

この、たくさん作れば作るほど一個当たりのコストが低くなることを「スケールメリット」と言います

機械を買う費用だけでなく、研究開発費も、広告費も、製品を売れば売るほど1個当たりの研究開発費・広告費が下がりますし、ものを作る場合だけでなくサービス業の場合でもそうです。
また、大口顧客になると、仕入れをするにも値引き交渉がしやすくなり、仕入れコストがしやすくなるというケースもあります。

スケールメリットは経済学にも出てくる概念で、割と馴染みのある方も多いと思うので、説明はこれくらいで留めますが、多くの大企業が活用している、非常に強力な「堀」の一つです。

4.ネットワーク効果

私が知る限り、今回紹介する堀の中でもトップクラスに強力なのがこのネットワーク効果です。

ネットワーク効果とは、同じ製品やサービスを利用するユーザーの増加により、その製品やサービス自体の効用や価値が高まる効果のことを言います。

◆Amazonの例

例で言うと、AmazonなどのECプラットフォームがあります。
皆がAmazonで買い物をするのは、Amazonには沢山の製品とその売り手がいるからです。
一方で、売り手がAmazonで出品する理由は、多くの人がAmazonで買い物をするからです。
このように、大量の買い手が売り手の効用を高めてさらなる売り手を呼び、大量の売り手が買い手の効用を高めてさらなる買い手を呼ぶ、と言うポジティブなループが出来ています。

このような「鶏が先か卵が先か」が成り立つ事業では、後から参入する業者は非常に追いつくのが大変になります。買い手がいないECサイトに出品する売り手はいませんし、売り手がいないECサイトで買い物しようとする買い手はいません

前回の記事で紹介したiPhoneもこのパターンですね。沢山のユーザーがいるから多くのアプリ開発事業者が参入してきますし、多くのアプリがあるからユーザーもiPhoneを使うというループが出来ています。

◆マスターカードの例

クレジットカード事業もこのネットワーク効果のメリットを享受しています。
例えばマスターカード。私達がマスターカードを持つのはマスターカードで決済できるお店が多いからですし、マスターカードで決済できるようにしているお店が多いのはマスターカードを使いたがるお客さんが多いからです。このような強力なネットワーク効果を背景に、マスターカードは営業利益率57%、純利益率48%という異常ともいえる利益率を叩き出しています。(2019年度の数値です。Yahoo Financeを参照しています。)
他にも、東証やS&Pなどの取引所や、FacebookなどのSNSもネットワーク効果が働く例ですね。

そう考えると、Amazon、Apple、Facebookなど、ここ10年くらいで大きく業績を伸ばした企業はネットワーク効果を有効に活用しているところが多いですね。
最近、プラットフォーム型事業がとても注目されていますが、ネットワーク効果を効かせやすいというのがプラットフォーム型事業の強みです。

5.法規制

参入に法規制がある業界は、新規参入者が簡単には入ってこれないため、競争が緩やかになります。
例としては、電力・通信などのインフラ系はそれに該当します。

法規制は、特許と違って基本的には永久的なものです。
一方で、競争が緩やかなのを良いことにあまりに多額の利益を稼いでいると、規制している役所の方から価格を下げろだのと介入が入ることもあるため、面倒も多く、必ずしもメリットばかりとは言えません。

6.場所・アクセス

これは、廃棄物、水、セメント等、重いものを取り扱う業種で重要になります。
このような重いものは、製造・加工場所と使う場所が離れていると輸送費がかさむため、各事業者の商圏は製造・加工場所から近い範囲に限定されます。そのため、他社と商圏を争うことになりづらいのです。

一方で、自身も狭い商圏から抜け出しにくく、守りやすいが攻めにくいという状況になりやすいため、注意が必要です。

7.限られた資源

石油、天然ガス、金等の資源は、埋蔵されている場所が限られているため、それらが手に入る場所の所有権を持っていれば、ライバルに対して非常に強い立場に立つことができます。
多分この記事を読んでくれている方は油田や金鉱を掘り当てる予定はないでしょうから、このテーマはこの辺にしておきます。

8.高い乗り換えコスト

乗り換えコストとは、例えば、社内で今使っているシステムAを、他社製品のシステムBに切り替えるような場合のコストを指します。AからBに切り替えるコストが高いほど、Aは競争上優位になります。
ここでいう「コスト」は、お金がかかるかどうかという話ではなく、乗り換えにかかる手間や、乗り換えがうまくいかないリスクのことを指しています

例えば、企業の人材管理システムを切り替えようとしたとします。人材管理システムは、社員のデータをデータベースに大量に持っているので、新しいシステムを入れるとなれば、そのデータを新しいシステムに移さなければなりません。
しかし、一言に社員のデータと言っても、システムによって項目、順番、表記の仕方(半角か全角か、数値データか文字データかなど)が違うため、移行は結構大変です。場合によっては、上手くデータが移行できず一部のデータが消えてしまうというリスクもあります。

このため、このようなデータ移行を伴うシステムは、「なんだかあっちのシステムの方がちょっと便利みたいだけど、データ移行大変だし、別に今のシステムにそんな不満あるわけでもないから、今のままでいいかなあ」となりやすく、競合を撃退しやすいのです。

別の例としては、ソフトを切り替えると、新しいソフトの使い方をまた1から覚え直さなきゃいけない、というのも切り替えコストに当たります。今のソフトに慣れていればいるほどそのコストは大きくなります
例えば私は、ほぼ毎日マイクロソフトのエクセルやパワポを使って仕事をしていて、操作方法やショートカットなどは完全に慣れています。
慣れすぎているので、ちょっと操作方法やショートカットが変わっただけでも、ものすごいストレスになり、これが、私がWindowsを使い続ける理由になっています。
この先、エクセルよりちょっと便利な表計算ソフトが出ても、アップルよりオシャレなPCが発売されても、僕はWindowsを使い続けるでしょう。

切り替えコストのイメージ、伝わったでしょうか?

9.バリューチェーン

バリューチェーンとは、「企業が製品を設計、生産、販売、配送、サポートするために活動の集合」です。(前回紹介した「マイケル・ポーターの競争戦略」P107からの引用)

これだけだとよくわからないと思うので、例を出して説明します。

◆サウスウエスト航空の例

有名な例に、元祖LCCのサウスウエスト航空があります。

サウスウエスト航空は、中都市の空港と大都市の二次的空港という短距離2点間を結ぶサービスを、それまでの航空券価格に比べ非常に安い値段で提供し、他の航空会社に衝撃を与えました。

サウスウエスト航空が他社よりも安い価格でサービスを提供できる背景には、以下のようなポイントがあります。
空港使用料(航空会社が空港に支払う場所代)が高い大空港を避け、中都市の空港と大都市の二次的空港を利用する。
機内食やファーストクラス、ビジネスクラスのシートは提供せず、オペレーションを簡略化することで業務効率を高める。
乗継客の荷物は移送せず、自分で運んでもらう
乗継便との時間調整はしないことで、待ち時間などを減らし、効率的かつ安定的に飛行機を飛ばすことができる。
ボーイング737へ統一し、メンテナンスを効率化する(機体が色々あると整備の仕方を機体ごとに覚えなければならず手間)ことで、空港についてから次に出発するまでの時間を短縮し、少ない飛行機でより多くの人を運ぶことができる

ざっくり言えば、とにかく「空港から空港に人を運ぶこと」に特化したのです。

このサウスウエスト航空の動きを見て、多くの従来型の航空会社が真似をしようとしましたが、結果的に失敗に終わりました。

なぜ他の航空会社には真似ができなかったのか?ここでポイントになるのが、トレードオフです。
つまり、成功している事業の真似をしようと思うと、自分の今のサービスや強みを何らかあきらめなければならない、という状態のことを言います。それがなければ、優れたバリューチェーンでも真似できてしまいます。

従来の航空会社の利用客には、2点間の短距離移動だけでなく、そこから国際線へ乗り継いで長距離移動をする人も多く含まれていました
そのため、サウスウエスト航空に比べ、
・乗り継ぎのためには、多くの国際線が集まる大空港にとまらなければならないため、空港使用料の安い中都市の空港と大都市の二次的空港に絞ることはできない。
長距離を移動するため、機内の居心地やサービスの重要性が高く、機内食やファーストクラス、ビジネスクラスのシートをなくすことは難しい
乗り継ぎ時の荷物移送ニーズが高く、自分でやってくれとは言いにくい。
他の便から乗り継いでくる利用客も多く、それらの利用客を待たずに先に出発することは困難
といった特徴を持っていました。

サウスウエスト航空の真似をしようと思うと、上記の問題をなんとかしなければならないわけですが、自らサービスの質を落とすとも思えるこの決断を多くの航空会社は行うことが出来ず、結果としてサウスウエスト航空のバリューチェーンは、真似のしにくい強固なものとなりました

今でこそLCCの航空会社は増えていますが、LCCと通常の航空サービス両方をやっている会社というのはあまり見かけないのを見ると、やはりこのトレードオフは今も強力に働いているということなのだと思います。

◆Amazonの例

別の例でいうと、Amazonもまた難しいトレードオフを乗り越えて、他社には真似のできないバリューチェーンを作りあげています。

Amazonの良いところに、「今日買ったものが明日届く。」というものがあります。これは、Amazonが自ら倉庫を持ち、物流網を持っているから可能なサービスです。このサービスは、他のECサイトには真似することが難しく、Amazonの地位を守る強力な「堀」となっています

なぜ他社はAmazonの真似ができないのでしょうか?
ECサイトは、メルカリや楽天を思い浮かべていただくとわかりやすいかと思いますが、これらのサイトは「売り手と買い手を結びつける」というプラットフォーム機能や決済機能を持っているものの、役割としてはあくまで仲介であり、商品の在庫管理や郵送は出品者に任せられています。
そのため、メルカリや楽天が「この商品を今買えば明日中には必ず届けます!」と勝手に約束することはできません。それは出品者次第です。

プラットフォーム事業というのは非常に優れたビジネスモデルで、プラットフォーム上で取引する人がいればほっといても手数料収入が発生するため、一度軌道に乗れば非常に効率的に利益を稼ぐことができます。

一方で、固定費の割合はできる限り減らし、在庫は極力少なくすることがビジネスのセオリーです。
固定費率が高いと、少し売上が下がっただけで利益が大きく減るためリスクが大きいですし、在庫を抱えると需要が急に減った時に安値で売らなければならなくなるリスクが大きい、単純にものをとっておく場所の確保にお金がかかる等のデメリットがあるからです。
つまり、莫大な投資を行って自ら倉庫と物流網を作り上げるというAmazonの選択は、セオリーを考えればある意味「邪道」であり、プラットフォーム機能の提供に特化する方が正統派なのです。そのような背景があるため、Amazonの真似をして「明日までに届けます!」と言いたくても、そのために自前で倉庫と配送網を持つ方向に踏み切るのは非常に難しいのです。

なお、公平を期すために補足をしておくと、超有名成長企業であるAmazonは、実は決して利益率の高い会社ではありません。「利益を出すくらいなら投資する」というスタイルで、数年前まで長らく赤字を続けてきました。最近でこそAmazonは黒字を出すようになっていますが、この利益もクラウド事業が儲かっているからで、ECでたくさん稼いでいるというわけではありません。そのため、Amazonのビジネスモデルが楽天やメルカリよりも優れていると一概には言い切れません。

しかし、Amazonのバリューチェーンが非常に真似がしにくく、かつユーザーの利益に直結する優れたものであることは事実なため、ここで紹介しました。

バリューチェーンについては語り始めるとキリがないほど奥深いので、ここら辺で止めておきます。続きの記事で参考文献を紹介しようと思うので、「もっと知りたい!」とご興味持っていただけた方はそちらをご覧ください。

10.プロプライエタリ・テクノロジー

ここからは、「千年投資の公理」で紹介されたもの以外の「堀」について紹介していきます。

プロプライエタリ・テクノロジーとは、開発メーカーなどが独占的に保持しており、情報が公開されていない製品やシステムの仕様、規格、構造、技術を言います。

例としては、Googleの検索アルゴリズム等です。

シリコンバレーの有名な起業家、ピーター・ティールは、著書ZERO to ONEの中で、独占企業(≒持続的競争優位を持つ企業)が持つ特徴として①ネットワーク効果 ②規模 ③ブランド ④プロプライエタリ・テクノロジー の4つを上げており、プロプライエタリ・テクノロジーを「ビジネスのいちばん根本的な優位性だ」と述べています。

一方で彼は、プロプライエタリ・テクノロジーは「本物の独占的優位性をもたらすようないくつかの重要な点で、二番手より少なくとも10倍は優れていなければならない」と述べています。
逆に言えば、2、3倍優れいている程度のインパクトでは他社と差別化できずに埋もれてしまうということです。
技術力を磨いて製品・サービスの品質で真っ向勝負することの難しさがよくわかりますね。

なお、プロプライエタリ・テクノロジーは「他社より優れた技術」という点では先述の特許と似たところがあります。
プロプライエタリ・テクノロジーの場合、特許法等の法的制約によって真似ができないのではなく、どうなってるかが公開されていないから真似ができない、という点が特許と異なります。

高い技術を開発したときに、特許を取得するか、プロプライエタリ・テクノロジーとして扱うか、どちらを選択する方がメリットが大きいのかは、正直なところ僕自身も一般的な回答を持っていないのですが、そのタネを知られずにいることが難しいような技術であれば、特許をとった方がよいでしょう。
例えば、その技術が使われている製品を買った人が、その製品を解体すれば大体タネが割れてしまうのであれば、隠すことは困難です。

11.顧客データ

ビジネスにおけるAIの活用が進むにつれて、顧客データの重要性は日増しに大きくなっています。

今のAIの主流である機械学習は、ざっくりと言えば「大量のデータから統計分析によりパターンを把握し、そのパターンを活用して、ある事象に対し最適と思われる回答を返す。」ということをしています。

先ほどからAmazonばかりで恐縮ですが、わかりやすいのでまたAmazonを例にすると、
・A、B、CさんはAmazonで過去に買ったものを分析すると、似た商品を買っている。
・似た商品を買っているということは、好みが似ているのだろう。
・A、Bさんは商品Xを買ったことがあるが、Cさんはまだ買っていない。
→Cさんに商品Xをおすすめしよう
というような感じです。

ここで重要なことは、どんなに優れたAIも、パターンを把握するための大量のデータがなければ意味がない、ということです。

Amazonが私たちの好きな商品の傾向がわかるのは、過去に誰が何を買ったかの膨大なデータをAmazonが持っているからです。
Facebookが高精度で「知り合いかも」にあなたの知り合いを表示させられるのは、誰と誰が知り合いなのかの膨大なデータをFacebookが持っているからです。
そのため、AIを有効に活用するためには、顧客のデータが必要なんです。

注意しなければならないのは、AIにデータがなければならないのと同様に、データばかり集めても、活用方法がわからなければ意味がない、ということです。顧客データは、サービスの向上と結び付けて初めて意味があります

Amazonの商品おすすめや、Facebookの「知り合いかも」の例の他にも、
・普段の生活データをAIで解析して、どのような生活習慣病のリスクが高いか、その対策としてどのような行動をとるべきか教えてくれる医療サービス
・テストの結果をAIで解析して得意分野や苦手分野を把握し、苦手分野を重点的に教えてくれる教育サービス
などがあります。
このようなサービスは、データをとればとるほど的確にリスクの高い病気、勉強の苦手分野を把握できるようになるため、サービスの質がどんどん上がっていきます
仮に今後、素晴らしいAIアルゴリズムを引っ提げて競合が入ってきたとしても、データが蓄積されていない参入直後は、大量のデータを食べて成長した先行企業に勝てず、使われないでしょう。使われなければデータは貯まらず、データを貯めてよりよいサービスを提供するライバルとの差は開くばかりです。

このように、顧客データと、データを活用してサービスを向上させる仕組みが組み合わさった時、非常に強力な「堀」ができるのです。

まとめ

というわけで、今回は、利益率を高く保つための「堀」の類型を11個に分けて解説しました。
本当は全部一つの記事で書く予定だったのですが、長すぎて分割することにしました。続きも近日中に公開しますので、そちらもよろしくお願いします!

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