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ぐるりと四国旅日記 その4 「宇和島・宿毛」編

14時過ぎに松山駅を発ったJR四国予讃線特急「宇和海」は一路愛媛県西部に向かう。伊予市 内子 伊予大洲と国鉄末期に開業した新線(とはいえ1980年代の話し)を快適に飛ばし、九州への航路が発着する八幡浜、かなりローカルムードが濃くなる卯之町 伊予吉田と停まっていく。

この特急宇和海、おおむね2.3両で編成されるミニ特急で、筆者が乗った便も2両だったが、終日に渡り1時間毎に走っており、地域の足としての貢献度は高い模様で、そこそこ座席が埋まっている。

16時過ぎ、予讃線の終点・宇和島に到着。今宵の宿は駅ビルのホテル。チェックインして荷物を軽くしてからまた駅にとって返す。

宇和島の一駅松山寄りの北宇和島駅から高知県の若井駅を結ぶ地方交通線・予土線。人口希薄な地域を通り運営は楽ではなさそうだが、四万十川沿いなどの風光明媚さを売りにした観光列車が走っている。

ちょうど16時台に宇和島を経て、途中の近永駅で折り返して宇和島に戻れる便が、その観光列車のひとつ「鉄道ホビートレイン」であったため、乗ってみることに。もっか使用中の「四万十・宇和海フリーきっぷ」の自由乗降区間に含まれるため追加運賃も発生しない。

この「鉄道ホビートレイン」。東海道山陽新幹線のかつての主力、丸い前頭部でおなじみの「0系」をモチーフにした外装を施しており、なんとも愛らしい。内装も実際に新幹線で使用していた座席を設置したり、鉄道模型が展示してあったりと遊び心満載。

宇和島を定刻発車。乗客は自分のほかに地元の中学生グループのみ。夕方にしては空いているかな?

運転席に座っているのは、まだ独り立ちしていない新人運転士さんのようで、教官役の指導運転士さんに、路線の特徴やブレーキの掛けどころなどを細かく教わっている。勿論真面目に取り組んでおられるのだが、やわらかい印象の伊予弁での指導なので、なんとなくほのぼのとしてしまう。

北宇和島を出るとほどなく山間部に入るが、割とすぐに隣町。秋の夕暮れの田園風景は実に美しい。

片道40分、近永で折り返して宇和島へ戻る。どうやらこの往復運用は、近永と途中の伊予宮野下から宇和島方面への高校生の帰宅需要に応えたもののようで、座席が8割方埋まるくらいの乗車客があった。

18時過ぎ、空が暗くなりかけてきた宇和島駅に帰着。そのまま駅近くの郷土料理店「ほづみ亭」に向かう。昨日に引き続き、愛媛、とりわけ南予の味を楽しむ。新鮮な刺身、分厚い鬼じゃこ天、宇和島名物鯛めしなどを平らげ今日もお腹パンパン。いやはや、うまかった!

帰路、ライトアップされた宇和島城を遠目に眺めて、また早めに休むこととする。

翌朝、ホテルの朝食はまた宇和島鯛めし。結構なボリュームと味で十二分に満足してチェックアウト。

ここからはバス旅である。宇和島駅前を8時30分に発車する宇和島自動車の宿毛行き。

宇和島駅を出ると、市内中心部の要所を細かく回ってゆく。貨客混載輸送も実施していて、途中からなにやらの段ボール箱が乗ってきた。

それにしても宇和島市。人口は7万人台とのことだが、南予地域の中心都市だけあって、それ以上の規模に感じる立派な街である。駅前で見かけた市内バスの本数も県庁所在地レベルのものだったし。

市街地を一巡したのち、バスは国道56号線へ。郊外型店舗が立ち並ぶ地域を抜けると、南予の山と海と小さな町を縫って南へ南へと向かう。

南予地域は海ギリギリまで山が迫り出して複雑な地形を成す、いわゆるリアス海岸。東北地方の太平洋側、三陸海岸がとみに有名だが、こちらの景勝もなかなかのもの。

木の枝のような細長い半島がいくつも連なり、その岬の方まで点々と小さな町が見られ、さらに向こうに九州らしき大きな島影が見える風景は、人生半世紀の中でも見たことのない幻想的なものであった。

バスは宇和島市から愛媛県最南部の愛南町へ。ここまで宇和島から一時間以上、県都松山から三時間、さらに一昨日いた香川県境からは五時間はかかる計算で、愛媛県の広大さをあらためて実感する。

高知県境に近い城辺(ぐすくべ、ではなく、じょうへん)で乗務員交代。さらに進み、県境のトンネルを抜けるとそこは高知県宿毛市である。

宇和島駅からたっぷり2時間、宿毛駅前でバスを降りる。いわゆる普通の路線バスなので身体はカチコチ。ほぐしがてら駅前を散歩していると、一軒の喫茶店を発見した。「花時茶」。

入った時はコーヒーだけでも、と思ったが、この地域を含む高知県の喫茶店はモーニングが充実しているようで、この店もサンドイッチ、トースト、おにぎりなどから選べるモーニングセットが大充実。

はい、いただきました。ハニートーストセット。コーヒーにトースト、サラダ、ゆで卵、味噌汁!までついて650円!満腹に満腹を重ねて再び宿毛駅へ。お次は高知市に向かうのだがどうなることやら(笑)


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