見出し画像

Vol.6 『商店街再生へのアプローチ方法』

みなさん、あけましておめでとうございます!
ふじわらです。

早いもので、卒業制作として投稿してきた本シリーズは、あとがきやまとめを除いて、これで最後の投稿となります。この記事をきっかけに出会えた方には、是非Vol.1から読んでいただきたいです。

そして今回の記事は、商店街再生への具体的なアプローチ方法について、お話ししていきたいと思います!

個店と商店街が向き合う

ヒアリングしている様子(イメージ)

以前投稿したVol.3の記事にて、‟商店街は個店の抱える問題について干渉しない”実態があることを紹介しました。

私はこの実態を問題だと感じています。商店街という組織は個店がいなければ成り立たないというのに、放置してどうする!と。

商店街と個店は、組織としての意識を持ち続けるために、お互いの近況状況を知る仲にまではなるべきだと思うのです。

そこで以前、参考例として挙げた谷中銀座商店街では、商店街活性化のためにどのようなことを行ったのか調べてみました。
谷中銀座商店街がリニューアルを行った際に作成された報告書があり、そこには商店街の振興組合員が店主たちに‟ヒアリング調査”を行ったとの記載がありました。
また、この報告書は各個店にインタビューという形で意見や提案を聞いていき、谷中銀座商店街全体で作り上げたものである、とも書いてあります。

店主同士では、世間話で商店街に対する考えや不満などが共有されることはありそうですが、それが商店街管理組織に伝わることは意外と少ないのではないでしょうか?

ヒアリング調査をすることは、商店街管理組織と個店の考えを共有する場としても成り立ちます。また、店主たちに商店街に対して仲間意識を持たせ、商店街を盛り上げるためには何ができるか、アイデアを考えるきっかけ作りにもなるのです。

そのため、ヒアリング調査は商店街管理組織と個店をつなぎ、商店街全体を一緒に盛り上げていくには、非常に有効な手段といえるでしょう。

そして、

ハード=商店街の外観
ソフト=商店街が人を呼び込むための施策

と位置付け、それぞれの面でどのような取り組みが必要なのか述べていきたいと思います!

ハード面

交通安全や利便性の観点で、商店街再生においてハード面の整備は重要です。

交通安全と利便性

街路整備のイメージ(亀有駅近くの商店街)

・歩道や車道の整備
荷物の搬入のためには車の進入が必要になりますが、車が通らず、歩行者が安心安全に通れるに越したことはないと思います。
早朝や深夜などの指定の時間以外は自動車の通行の制限や、歩道と自転車専用の道、車道をしっかり分離するなどの歩行者に寄り添った安全の確保が大切です。

・駐輪場や駐車場の整備
近隣住民の中には自転車で商店街を来訪する人が多く、特に駐輪場の設置は必須です。
アーケード商店街だと、商店街の両脇がお店と歩道で、中央を車道が通っているパターンが多いですよね。お店の前に駐輪を認めてしまうと、車道にまで影響が及ぶ可能性があるため、専用の場所を設ける必要があるでしょう。

また、商店街のターゲット層を観光客に置く場合や、大型スーパーなどが商店街にある場合は駐車場の確保も必要になります。大型スーパーの場合は屋内駐車場があることが多いですが、観光に特化した商店街を目標にする場合は、地元民だけではなく遠方からの来客も予想されるため、駐車場の設置を推奨します。

コンセプトに合わせたレイアウトの統一

東京大塚のれん街(東京大塚のれん街公式HPより引用)

こちらの写真は東京大塚の一角にあるのれん街で、どこか懐かしく、あたたかな雰囲気に包まれていますね。こののれん街は大塚の街づくりの一環として2018年に誕生しました。この写真に写っているお店のほかにも、あと8店舗あり、それらをまとめてのれん街とされています。
こののれん街の店舗の共通しているところは、懐かしさを感じさせる背の低い建物とあたたかな雰囲気の電飾です。

公式HPに活性化のヒントが載っているかもしれません。
是非のぞいてみてください!

やはり統一感を出すというのはかなり大事で、商店街を大きな一つのまとまりなのだと認識されやすくなります。商店街の場合、一番分かり易いのがアーケードで、「アーケードが続いているところまで、行ってみよう」という気持ちになりますよね。

統一感を出すために揃えるものは、言ってしまえば ‟なんでもいい” のです。
ただ、お店に入らずとも、商店街に入ってすぐ分かるものでなくてはなりません。統一感を出すのなら、のれんやお店の看板などの外観の整備することが集客につながると思います。

ソフト面

ハード面の整備は多額の費用を必要としますが、ソフト面では低コストでできることが非常に多いです。パソコン一つで始められるものもあるので、試してみる価値は大ありです!

イメージ作り

イメージ作りは非常に重要です。漁港が近ければ、ほぼ間違いなく、獲りたての新鮮な魚を売りにしている店が集まっていると思いますが、特にこれと言った名産物もない・・・という場所もきっとありますよね。

そういった場所に商店街があり、活性化を望んでいるとしたら、名物は作り出してしまえばいいのではないでしょうか。きっと、どんな場所にも名物になる卵はあって、長くその土地に住み続けていると当たり前すぎて、それに気が付かないことが多いです。
そのため、図書館でその土地の歴史が書かれた郷土資料を調べるなど、遠くに住んでいる友達や何かしらの方法で外部の人を呼び、その街を堪能してもらってください。その人たちからの意見で、新たな気づきや発見があるはずです。

また、「こんなイメージ作りをしたい!」から始まり、そこから名物を作ってしまっても良いと思います。

私も架空の街を想像して考えてみたのですが、‟健康”というワードを名物にした健康のテーマパーク(商店街)を作りたい。ヨガやピラティスのお店やスパが多く、体に不足しがちな要素が十分に摂れるご飯屋さんやカフェ、イベントではヨガフェスや、スーパーフードなどの食品を使ったフードフェスを開催。物凄い需要ありそうじゃないですか?
(誰か作ってください!)

すいません、少し話がそれてしまいました。0から1を作り出すことは簡単なことではありません。もし地元の人たちの力だけでは厳しいようでしたら、街おこしに特化した企業やプロが山ほどいるので、そのような人たちに頼るのも良い方法だと思います。

ポイントカード

商店街と個店が顧客を獲得する方法の一つとして、ポイントカードの導入が挙げられます。紙媒体で行っている商店街はすでに多いと思うので、ご高齢の方用にそれは続け、それと併用でLINEなどのアプリを使ったポイントカード制度の導入もおすすめです。
カード忘れの問題もなくなり、キャッシュレス化している世の中で、極力お財布を分厚くしたくない方もいます。時代に合わせたポイントカード制度をぜひご検討ください!

イベント開催

・季節のイベント

夏祭りの様子(イメージ)

夏祭りやお正月イベント開催は必須ですね!
地元の毎年恒例となるイベントを商店街が開催出来たら、地元の人たちから愛される場所にもなり、出店を通して店主同士の交流にも繋がります。
また、話題性があれば遠方から観光客の来訪も見込めます。

・街バル

街バル(イメージ)

飲食店が集う商店街では活性化を目的に、チケットを片手に来訪客に食べ歩きをしてもらうイベントが行われています。普段入りづらいお店も、お得なチケットがあることで「入ってみよう」という気持ちになり、顧客の獲得や店舗の誘致にも繋がります!
街バルは商店街が開催というよりも、お店同士が協力して行ったり、イベント会社や街おこしに強い企業が行ったりする事例が多いです。
商店街の組合だけではなく、企業が関わって運営していくことで、より高い集客効果が見込めます。

また、骨董市やアート展などは流行に敏感な若者だけでなく、30代からご年配といった幅広い世代も楽しめる内容であることが多いと、経験して感じました。

このように上記で挙げたよく聞くイベントだけでなく、その商店街でしか楽しめないオリジナル性溢れたイベントも是非考案してみてください!

ワークショップへの参加

ワークショップの様子(イメージ)

「地元の商店街をどうにかしたい!でも、いざ何をしたらいいかわからない・・・」と言う方向けに!
なんと中小企業庁が企業と協力して、こんなワークショップを開催しているようです。

商業施設の移り変わりだけでなく、やはりコロナの影響で衰退してしまった商店街も多く、商業者向けに時代に合わせたイベントも開催されています。

商店街活性化のための人材育成や課題対策について学ぶ、非常にいい機会なので、是非積極的に参加してみてください!

------------------------------------------------------------------
さてここからは、商店街だけでなく、個店も参考にしていただけるようなお店作りの方法をご紹介していきます!
------------------------------------------------------------------

決済方法の多様化

QRコード決済(イメージ)

どこかお店に食べに行くとき、雰囲気やメニューはもちろんのこと、決済方法が選択できるかによって、お店を選ぶ方も多いのではないでしょうか?
「ご飯美味しそうなのに、現金決済しか対応してない・・・(お金おろすの面倒くさいから)断念。」なんてこともあります。

そんなことでお客さんを逃さないように、決済方法の種類を増やしてみてはいかがでしょうか。お客さんからすれば、決済方法がたくさん選べるのは良いことですが、お店側からすると手数料なども毎月かかってしまうところが懸念点ですよね。
しかし、それで更なる売上が見込めるならいかがでしょうか。最低、現金決済+カード決済さえできれば、かなりの顧客獲得が見込めます!

実際私も、カード決済さえできれば通うのに!というお店があるので、是非ご検討いただけたら、顧客の幅も広がるのではないでしょうか。

惹きつけるHPの作成

検索している様子(イメージ)


お客さんがある特定のお店を調べたいときに参考にするものは、大体ホームページです。商店街なら、どんなお店があるのか、どんなイベントが開催されるのか、飲食店であれば、どんなメニューでどのくらいの価格帯か、また予約はできるのか、それらの情報を知りたいときに公式サイトがあれば非常に助かりますよね。

サイトを一から作るのはプログラミングの技術が必要になりますが、今では少額、または無料で簡単にサイトを作成することができるんです。

おしゃれなテンプレートもあるので、難しい作業はせず、お店の魅力を伝えることができます。
パソコン一つで、他のお店との差別化を図ることができるので、まだサイトがないお店はぜひ作成してみてください!

SNSの活用

SNS(イメージ)


お店の宣伝方法としてSNS運用がよく挙げられますが、使い方や運用方法、お店のターゲットに合わせて使い分けなければあまり意味がありません。

InstagramやTwitter、またTikTokなど様々なSNSがあり、お客さんの投稿や口コミから‟バズる”ことがあれば最高ですが、ハッシュタグを活用して定期的に短いスパンで投稿し続けることがもっとも重要です。
集客効果だけではなく、お店公式のSNSがあればそこで、キャンペーンの予告や、急な休業も伝えることができます。

「あなたのインスタにお店の様子を掲載したら、もれなくドリンクかデザートを一つサービス!」
など、工夫をこらせば、活用方法は無限大ですね!

販売方法の多様化

出前サービス利用の様子(イメージ)

この3年間で、人々の生活様式は一変しました。コロナ禍で、テイクアウトと出前需要が一気に増え、それに合わせて販売方法を多様化させたお店が多いのではないでしょうか。

販売方法として、店頭販売はもちろんのこと、それと合わせてオンライン販売も挙げられます。

これらのサイトは飲食店だけでなく、衣類店にも対応しているオンライン販売サイトなので、簡単に始められておすすめです。
(わたしはBASEを使って、「Nue.」というブランドを運営しています!)

また、テイクアウトでは、持ち帰り用の入れ物をお洒落にしたり、お店の名前やロゴが入ったデザインにすると、写真を撮ってSNSにあげてもらえたり、それによって集客効果が見込めます。
そして、いまではUberEatsや出前館などの出前サービスが充実しているので、そこに加盟してみるのも良いのではないでしょうか。


----

以上が商店街再生へのアプローチ方法でした!
いかがでしたでしょうか?ご紹介したアプローチ方法が基礎中の基礎に見えても、意外とまだ手を付けていないことが多かったのではないでしょうか?お金をかけずにできることも多いので、色々なことに是非挑戦してみてください!

今回のVol.6をもって、この卒業制作は最後の予定でしたが、最後はまとめとあとがきで締めようと思います!

今回もお読みいただきありがとうございました!

《引用・参考文献》
・Web幹事(2022).「【飲食店向け】おすすめのホームページ作成ツール8選!徹底比較 | Web幹事」.Web幹事. https://web-kanji.com/posts/restaurant-homepag-tools(参照 2022-12-19)
・谷中銀座商店街振興組合(1999).『東京都ふれあい商店街 リニューアル事業報告書&活性化事例』.谷中銀座商店街振興組合
・辻井啓作(2013).『なぜ繁栄している商店街は1%しかないのか』.阪急コミュニケーションズ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?