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『照明店の客人たち』ネタバレ感想

作品のテーマ・メッセージ

生と死の境界。突然命を失った人たちの想い。

テーマの見せ方

死後の世界と現世の視点を行ったり来たりしながら描く。
時系列も意図的に前後させた描き方をすることで、観る側としては色々考えながら観るのが楽しい。
作品構成としてもちょうど折り返し点で、ほぼ何が起こったのかわかり、そこから人間ドラマに突入していく。
タイトルにある照明店は照明が一人ひとりの命を表す。現世に戻るか、死後の世界に行くかの選択のアイテムとして用いられる。これは、日本で古来から命を蝋燭で表現するやり方の亜種と言える。
死後の世界では、むしろ生きている人の方が幽霊っぽいという見せ方も上手い

作品の見所

最初はホラーっぽい展開から始まり、ミステリー、そして人間ドラマへという展開は飽きさせない。親子や恋人など異なる複数の関係性を描き、それぞれの選択が全く異なる結末につながるのが面白い。生死を扱う物語では、生きることや他の人を助けるための自己犠牲が正しいことという描かれ方をすることが多いが、本作では生きるという選択も、死ぬという選択も是非を明らかにすることなく描かれる。愛する人を現世に送り返しても、一人残された孤独と哀しみから現世に憑いて来てしまう。それもまた人間らしい。

気になったところ

登場人物がやや多くエピソードもそれに伴い多い印象だが、ギリギリ冗長にならない範囲。


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