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また、私の口の中にいらないものが発生しました。

頑丈な体を先祖から受け継ぎましたが、

歯だけは異常に弱いです。

数ある弱点の中で、三本の指に入ります。

三本指

いる?この三本指の写真↑↑


20代のころ、勤務先の近くの小さな歯医者に、しょっちゅう通っていました。

「きみ、僕のこと好きだねえ」

と、おじいちゃん医院長にいつも言われていました。

「おじいちゃんが好きなわけじゃないよ。おじいちゃんがいつも私の歯を完璧に治療しないから、また虫歯だよ」

「また虫歯かい。前回チョコレートを塗っておいたんだけど、それが効いたね」

チョコレート、塗ってたんかい。

確かに、治療を頑張ると、チョコレートくれました。

歯医者なのに。

ストレスが、口内環境に即ダメージがくるタイプなんです。


抜歯がうまい歯医者は名医

という言葉は誰かから聞いたのか、実体験として自分で結論を出したのか忘れましたが、

親不知4本と八重歯1本。

おじいちゃんは、ぽんぽんぽんぽんぽーんとほとんど出血せずぬいてくださいました。

私が麻酔でほぼ熟睡の域に入りそうになるのを

ほっぺをつねって起こしくれて

「もう抜いたよ」

と。

え?いつ?

麻酔が切れても、ほとんど痛くなかったのを覚えています。

まさに名医です。


まだ時代はセクハラという言葉がないころでした。

その名医。 名医なんですけどね。

何かと口のお悪い、とっても失礼な方でした。

「おじょうさんの胸は、道具を置くのにちょうどいいから」

といって、診察台であおむけになっている私の胸に

先がとがったカリカリと歯をいじる道具とか

棒のついた鏡とかを

遠慮なく置くのでした。

確かに、道具たちは、先生の手からもっともちょうど良い場所に

おとなしく横たわっており、

どちらの方向にも滑り落ちていきませんでした。

それを扱う先生の処置は、

全く無駄のない動作で、稲妻のような速さでした。

そして必ず、

「それつけたまま帰っていいよ。似合ってるから」

と言って、さっさと次の患者に行ってしまうのです。

って、これデンタル用紙エプロンだから。

歯医者2

「おじいちゃん、ゆるすまじ」

と言って自分で外すのでした。


あまりにも歯医者に通うので、歯医者と結婚するのがあらゆる方向からしてよいと判断した私は、

おじいちゃんに息子がいないかどうか聞いてみました。

「いるけど、おじょうさんはだめだね」

「なぜ。イケメンでないのはわかってる。おじいちゃんの息子がイケメンなわけがない」

「何言ってるの。僕に似て、イケメンすぎるんだよ」

「はい?」

「奥さんになると大変だから、息子はだめね」

なんか、わかるような気がしたから、やめました。


今はない歯医者さん。おじいちゃんももう鬼籍の方となりました。

あの世でも、たくさんの女の子をおちょくって遊んでいると思います。

とても好きでしたよ。おじいちゃん。


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