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ちょっと気分の調子がうまくいかなくなると、必ず愛犬だったコロちゃんを思い返します。コロちゃんの生き方はそのまま私の御手本となっています。

いつか保護犬を招き入れて、すけさんとかくさんという名前を付けるのが夢です。

今は、人間4人でわたしが手一杯。

学費が払い終わったら、家族として来てほしいなあ。


小さい頃から、鳥やら犬やら猫やらが家にいました。

もちろん母が育てていました。

(なので、こどもたちが「わたしが面倒見るから!」というのは500パーセントあてにならないことを、私は身を持って知っている)

十姉妹が増えに増えて、鳥籠の中で一気に死んでしまったり、

インコが脱走して泣いて探し回ったり、

猫が全く懐かなかったり。


その中でも、私の中で最も大きな気持ちの変化をもたらしたのが、

柴犬のコロちゃん。

とても美人の血統で、山口百恵さんの「赤いシリーズ」に出ていた柴犬の娘でした。

推測するに、このあたりです。

赤いシリーズ犬

このわんことか・・・

赤い疑惑犬

このあたりかと。

シュッとした感じが、コロちゃんとそっくりです。このワンコの活躍はわたしが全く存じ上げませんが、コロちゃんは大したオンナでした。

まだ、犬が番犬として活躍していたころ。庭で飼うのが当たり前。家の中に入れるなど、もってのほか。という時代です。

柴犬は、もともとが番犬なので、よく吠えます。ちゃんと道行く人たちに吠え付いて、きちんと番犬の役目を果たしていました。

夜中によっぱらいのおやじに絡まれたりしました。相手は自分より大きく、自分は鎖につながれていたのに、果敢に戦っていました。

どれもこれも今は、大事件ですね。

それ以外は、基本的に犬小屋の前で、空気の中に鼻をひくひくさせながら、凛々しく座っていました。

そんなコロちゃんも、夜になると家の雨戸がしまるのを、切なそうに見ていました。わたしはなかなか閉められず、結果、蚊を大量に部屋の中に招き入れ、家族の顰蹙を買っていました。

何しろ、外飼いでしたから。よその犬がやってきます。まだ野良犬がいくらでもいて、こどもは必ず一度は犬に追いかけれらて泣いていた時代です。

時期になると、雄犬がやってきました。あっけなくやられたコロちゃんは、外の犬小屋で、誰も寄せ付けず、たった一人で子犬をうみました。一晩中、聞いたことのないうめき声が聞こえていました。

朝起きたら、コロちゃんは子犬をぺろぺろなめていました。

「コロ」

と呼ぶ私に、コロちゃんは少しだけ微笑みました。

それ以来、ずっとずっと子犬はコロちゃんにまとわりついていました。足の間にはさまり、おっぱいを飲み、庭を走りまわっていました。

ころちゃん、基本的に、何もしない。ほぼ、ぼーっとしています。でも目の端っこには必ず子犬を入れていて、少し遠くに行ってしまうと子犬の首をくわえて元に戻し、鼻でちょっかいを出しながら遊んであげていました。あまりに子犬がまとわりつくと、「ぎゃん」と吠えていさめるのです。鶴の一声とはまさにこのこと。

様子を見に来た風のオット犬には、歯をむき出して警戒し、見事に追い返しました。尻尾を巻いて逃げる犬を、私はこのときはじめてみました。

子犬が別の家にもらわれた後も、コロちゃんは飄々と生きていました。

その後も一度、こどもを産みました。

飄々と、こどもを産み、飄々と育て、飄々と生き続けました。


コロちゃんは、強かったけれど、一度だけ泣いたことがあります。

最後の出産のときは、子犬が二匹でした。

一匹はモックと名付けられた道楽息子。モックは、そのまま我が家にいることになりました。

もう一匹は、2日も生きられなかった。おっぱいを吸い上げられなかったのです。

わたしは、ペットショップへ走り、事情を言って、哺乳瓶を買い、ひたすらミルクを飲ませました。

コロちゃんからその子犬を離すと、コロちゃんはきゅうきゅう鳴くのです。

胸が痛くて、コロちゃんを玄関にいれ、ずっと一緒にいました。

でも、子犬はとうとう亡くなってしまいました。


そこから一晩。

コロちゃんは、前足で子犬を抱いたまま小屋にうずくまり、

一晩中離さなかった。わたしにさえ、牙を剝きました。

そして、きゅうきゅうなきつづけました。

「鳴く」ではなく「泣く」でした。


次の日、子犬をコロちゃんからはずし、

土に埋めました。


そして、コロちゃんは。

その後からは、いつもの通りに小屋の前に凛々しく座り、

飄々と生き始めたのでした。

あれは、すごかった。

わたしが、まだめそめそ泣いているところを

ころちゃんは、いつもどおりに空気の中に鼻をくんくんさせて

凛々しく座っていました。


その姿勢は、そのままわたしの手本となっています。わたしはコロちゃんから全てを教わりました。大好きなコロちゃんでした。母に怒られて「外に出ていなさい!」と言われても全然怖くなかった。コロちゃんが一緒に外で座ってくれていました。頭を撫でてあげると「いくらでもどうぞ」というように耳を倒して目を細めていました。


媚びるようなことは一切しませんでした。


ちなみに、その息子モックは、母に甘々に育てられ、「しつけをしないとこういう子になる」という悪い例そのまんまの犬となりました。母は、ずっとこのモックに苦労していました。でも、本当にかわいかった。

そう、モックは、頭をなでてあげたときの顔が、本当にうっとりとしてかわいかった。もっとやって、もっとやってと甘え上手で、いくらでも撫でてあげたいと思わせるような犬でした。でも、おばかさんでした。

馬鹿な子ほどかわいい、というのは一理あります。

みんな、虹の橋を渡りました。

我が家に、助さん角さんがくるのは、もう少し後です。

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